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[アニメ]転生したらスライムだった件(1期) 〈感想・レビュー〉 エイトビットの新たな代表作!

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OPアニメーション

 
評価:80/100
 
作品情報
放送期間 2018年10月~2019年3月
話数 全25話
アニメ制作会社 エイトビット

短評

 
 エイトビットのアニメらしく相変わらずほぼご都合主義でしか話が進まないシナリオに大きな欠点を抱えるものの、それを補う多数の魅力的なキャラクターのおかげで、作品への親しみやすさはエイトビット作品の中でもダントツ。
 
 『うたわれるもの』や『コードギアス』のような最初は敵として登場する者たちが次々と味方に加わり、仲間の層が厚くなっていくという鉄板のフォーマットと相まって心地良い高揚感が味わえる。
 
 アクション作画も過去作品と比較したら突出しており、見ている間中終始楽しくて幸せな気分に浸れる、エイトビットの代表作と言っても過言ではない完成度。
 

あらすじ

 
 大手ゼネコン勤務の三上 悟(みかみ さとる)は、37歳彼女いない歴=年齢ながら、後輩にも慕われそこそこ充実した毎日を送っていた。しかし、通り魔に襲われそうになった後輩を庇い、そのまま帰らぬ人となる。
 
 悟が目覚めるとそこは見知らぬ洞窟で、自分の体はスライムとなり異世界に転生していた。目覚めた洞窟には暴風竜の異名を持つ強大なドラゴンヴェルドラが封印されていた。
 
 孤独に耐えていたヴェルドラと友達になった悟はヴェルドラからリムルという名を授かる。リムルは友であるヴェルドラを封印から解放するため、異世界転生した際に取得したスキルで一時的にヴェルドラを体内に取り込む。
 
 だが、強大なヴェルドラが突如世界から消滅したことで、洞窟周辺のジュラの大森林の均衡が崩れ、大きな混乱が生じてしまう。
 
 リムルはヴェルドラの消失による混乱で疲弊したゴブリンたちに救いの手を差し伸べると、その噂がたちまちジュラの大森林中に広がり、弱き魔物たちの指導者となる。
 
 魔物・人間に関わらずあらゆる種族と友達となり勢力を拡大しながら、ゼネコン勤務で培った知識で村を発展させ徐々に大所帯となるリムル一行。そして、最初はただの小さなゴブリンの集落だった場所は、あらゆる魔物たちが種族の垣根を越え、お互いを尊重し合い平和に暮らせる国へとなっていく。
 

圧巻のスライム&アクション作画!

 
 本作の最も優れている点は、この手のファンタジージャンルに生じてしまいがちな、ファンタジー設定を見映え良く表現し切れないというストレスを極力排除できていることです。
 
 例えば、設定上凄い剣士が出て来ても作画上は別段そんなに激しいアクション作画で動くわけでもないとか、魔法使いが大規模な魔法を使っても映像から受ける印象としてはさほど威力があるように見えないなど。
 
 この作品の場合は腕利きの剣士は本当に凄まじい剣さばきを披露し、高威力の魔法なら見ているコチラ側がそのド派手さに圧倒されるほどエフェクトに迫力があるなど、設定と画面上の落差の意図を酌み、見ている側が足りない部分に配慮して気を使う必要がそれほどありません
 
 中でも圧巻なのが主人公の体がスライムであるという、ヘタにやったら終始違和感に悩まされ続けたであろう特異な設定をほぼ一話丸々費やし、見る側に馴染ませるプロセスを丁寧に描いたことです。
 
 全話中最も映像的に気合いがこもっているのが人間がスライムの体に転生したら世界をどのように認識するのかという、見る側の意識をスライムの体に馴染ませる描写で、このスライムボディ慣らし過程を冒頭に置いたおかげで、主人公がスライムであるという奇抜な設定への違和感を完全に取り除くことに成功しています。
 
 ただ、2クールのアニメで割とド派手なアクションシーンが頻繁に発生するという都合上どうしても作画の粗が目に付く場面があちこちで目立ちます。
 
 しかし、冒頭のスライムの体に映像的に意識を馴染ませる過程をしっかり描き、かつ各キャラクターの印象を決定付けるような核となるアクション部分を手を抜かずきちんと描くため、多少途中途中でアクションを誤魔化すような場面があっても絵的なしょぼさを感じるまではいきません。
 
 全体的に要所となる、この部分のアクションを適当に誤魔化してしまうと後々映像面で尾を引いてしまうという箇所に対してほぼ手抜きがなく、そのため全話満足するまで作り込めないなら、どこに作画力を集中するのかという取捨選択の巧みさが際立ちます。
 
 それ以外も、普通のアニメだったらアップの絵を切り取って誤魔化すような場面もしっかり全体が画面に納まるような豪華なロングショットで見せることが多いなど、とにかく本作は見ている最中、映像面の体感の満足度が安定して高いため、ほぼ飽きることなく見続けられます。
 

マジメな異世界ファンタジーではなくゲームパロディ世界

 
 本作は、一見すると普通の異世界ファンタジーに見えるものの、どちらかというと漫画の『ダンジョン飯』のような、ゲーム(RPG)風の世界であることを隠そうともしない開けっ広げな作りです。
 
 始まって直後からスキルや〇〇耐性(炎耐性などの属性攻撃耐性、毒耐性などの状態異常耐性など)といったゲーム用語が文字として表示され、作中の登場人物たちもユニークモンスターといったゲーム用語をさも当然のごとく使用し、どんなに傷を負い体中ボロボロになってもポーションを浴びせれば全回復するという、普通のファンタジーではありえない描写が連続し、序盤は起こっていることの意味が分かりませんでした。
 
 ファンタジーの世界でゲーム用語が突然出てくると、映画の『マトリックス』やゲームの『スターオーシャン3』のようなこの世界そのものが作り物という設定なのか、同じくゲームの『Fate/stay night』のような、持って生まれた才能や能力、後天的に身に付けた技能など、本来可視化されない情報をスキルというゲーム(デジタル)的な処理で見せるというスタイルなだけなのか判断が付かず混乱します。
 
 

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Fate/stay night PC版

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 似たようなダンジョンRPG風異世界だった『灰と幻想のグリムガル』もまったく同じで、作中に唐突にゲーム用語が出てくるのにそれがこの世界ではどういう意味合いを持つのか説明してくれず、ずっともやもやしっ放しでした。
 
 そこまで硬派志向なファンタジーでなければ、能力や技能をゲーム的に見せるというスタイルそのものは別段構わないものの、必要最低限の説明くらいは序盤で済ませて欲しいです。
 
 ただ、途中からこれはマジメな異世界ファンタジーではなく、ゲーム風設定を利用した他種族との政治交渉や、腕利きのドワーフ職人を村に誘致するとか、ポーションの製造・販売を請け負うなどの経済活動をコミカルな寓話風に描くというアプローチなのだと割り切れるようになってからはあまり細かい部分は気にならなくなりました。
 
 それでも、このゲーム原作でもない作品でゲーム用語が何の説明もされず唐突に出てくるというパターンが最近多すぎるため、もう少し出すなら出すで一工夫は欲しいです。
 

作品を蝕むエイトビットの脚本軽視の病理

 
 エイトビット作品のほとんどに共通する問題である脚本の出来の悪さは本作も手つかずのままです。
 
 とにかくシナリオが映像の足を引っ張りまくり、ストーリーに気持ちよく集中できません。同じエイトビット作品である『インフィニットストラトス』も『ナイツ&マジック』も同様の問題を抱えていたものの、ほぼ進歩が見られません。
 
 セリフの一言一言が薄っぺらく、深みも厚みも皆無で、そのせいで毎回毎回エイトビット作品の登場人物たちは元の設定より知能が極端に低く見えるという深刻な問題すら生じています。作中で知恵者という設定の人物ですら会話に知性の欠片も存在しないため、種族の長だろうと王様だろうと何の威厳も説得力も備わっていません。
 
 ただ、ナイツ&マジック同様、相変わらず愛嬌たっぷりのほのぼのとしたキャラのやり取りは眺めているだけで心が和み、この部分は非常に好きです。そのため、多少の粗があってもキャラの魅力(と、優れたアクション作画)のおかげで興味がほとんど薄れることはありません。
 
 ですが、どうしても脚本の出来の悪さを表面的なやり取りで誤魔化すだけなので、それぞれが抱えるドラマに深みが出ず、個人個人が自分の意志で行動しているというよりは段取りで動かされているように見えます。そのせいでリムルに盲目的に従っている印象が強まってしまい、多様な種族のそれぞれの考えや個性を肯定するというテーマ性が若干陰ってしまっています。
 
 エイトビット作品で何かの問題が合理的な道筋で解決されるなどということは滅多になく、ほぼ主人公が無敵などのご都合主義任せで、いい加減エイトビットは優れた作画力を雑な脚本で殺し続ける愚を改め、きっちりとシナリオを練り上げるべきです。
 

最後に

 
 上記以外も、魔物に比べ人間のキャラデザが全体的に何の印象にも残らないほど薄いとか、後半のOPアニメーションが前半に比べると勢いが後退し過ぎて変更がまったくありがたくないとか、そもそも主人公たちの国の名前が声に出すと死ぬほどダサイ(せめて、うたわれるもののトゥスクルとか語感のいいネーミングが良かった)など、不満を言い出すとキリがありません。
 
 ただ、アクション作画の質が高いのはもちろん、そもそも主人公がスライムというビジュアル面のいい塩梅のユルさなど、不思議と心地良い中毒性のある作品で、見ている間はずっと楽しく幸せな気分に浸れました。
 
 

 

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