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【TVアニメ】『シドニアの騎士 第九惑星戦役(2期)』| 感想 レビュー 評価

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PV

評価:80/100
作品情報
放送期間 2015年4月~6月
話数 全12話
アニメ制作会社 ポリゴン・ピクチュアズ

アニメの概要

 
この作品は、『シドニアの騎士』のTVアニメ版2期です。
 
1期に比べ作品の勢いが急激に衰え、細部のこだわりも根こそぎ消えてしまい、ただの凡作になり果てました。
 
つまらないということはありませんが、1期の驚異的な完成度と比較すると期待外れの出来でしかありません。
 

足りない、何かが致命的に足りない・・・

 
1期に比べ2期は日常ドラマパート、戦闘パートと両方練り込み不足で不満しかありませんでした。
 
何かが具体的に悪くなったわけではなく、満遍なく全要素からこだわりが失われモヤモヤするような感触です。
 
原因は、
 
・監督が交代して重視するポイントがずれてしまった
・キーとなるクリエーターが他作品に取られた
・1期に比べるとスケジュールがややきつめで、脚本・演出ともに細部にかける時間が足りなく甘さが残ってしまった
・アイデアを出し尽くしてしまい小手先のテクニックに走ってしまった
 
などなど、考えられる仮説が多岐に渡り、原因が特定できず終始もどかしく感じました。
 
中毒性は1期に比べやや後退し、しかも先が気になる原因は単にクリフハンガーだけでほぼ一過性に過ぎず、1期の面白さとは質が異なります。
 
戦闘シーンも相変わらずハイスピードバトルに迫力があり手に汗握るものの、危機的状況の作り方が場当たり的で浅く、単に絵的な派手さだけが先行するのみでした。
 
キャラクター同士のやり取りも、1期が軽いラブコメタッチだったのに対し、2期はやや不快なハーレム要素が増しそこも不快でした。
 
このように、1期では作品を支える柱だった箇所がことごとく強度不足に陥り、グラグラしていて安定性に欠けます。
 
加えて、構成の巧みさでグイグイ引っ張っていたドラマが強引に感情で押し通すだけの雑な作りとなり、主人公が話の本筋から切り離され常に蚊帳の外なため主人公周りの描写がほぼ無駄なエピソードだらけで、しかもシドニアという守るべき場所の描写が極端に減り、話の目的が常にふわふわしています。
 
個ではなく群として描かれていたロボット描写がただのエースパイロットが活躍して単機で敵を撃墜しまくる凡庸なものになってしまったなど、不満は尽きません。
 
最も大事な見せ場であるラストの決戦も1期とは比べ物にならないほどグダグダでした。
 
大量のザコ敵と戦う→強敵との戦闘→また同じ大量のザコ敵が出現と、同じシチュエーションを繰り返し、1期の危機的状況がエスカレートし続ける極上のスリルはどこに消えてしまったのかと思うほど単調です。
 
それに、個人的に一番許せなかったのがコミカルなシーンにコミカルな音楽を重ねて流すようになってしまったこと。すでに絵的に笑いを誘えているのに余計な音楽を足してしまったせいで説明過剰で押しつけがましく、弐瓶勉作品の味である抑制の効いたやや間を外すようなユーモラスなやり取りが安っぽくなってしまい最悪でした。
 

最後に

 
ラストが物語の途中でいきなりぶつ切りで終わっているなど、1期に比べると不満しかありませんでした。
 
それでも並みのロボットアニメよりは格段に上なのが唯一の救いです。
 
1期に気合いを入れ過ぎたせいでハードルが上がり切って、逆に続編が物足りなく感じてしまうタイプの2期の典型でした。
 

シドニアの騎士シリーズ

 
 
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