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[レビュー]レッド・デッド・リデンプション2〈感想・評価〉 この1899年アメリカの片隅に

トレーラー

 

評価:80/100
 
作品情報
ジャンル
オープンワールド
TPS
発売日
2018年10月26日
開発(デベロッパー)
Rockstar Studios
開発国
様々
ゲームエンジン
RAGE(Rockstar Advanced
Game Engine)
 

短評

 
 尖ったコンセプトに走り過ぎた結果、前作に比べゲームとしての面白味の大半を失ってしまい、終始つまらないストレスまみれのゲームになってしまった。
 
 落ち目のギャングが惨めに疲弊していく様を追体験させられる野心的なストーリー部分や、ゲーム臭さ・嘘臭さを排し切った最高級のグラフィックの美しさは目を見張るものがあるものの、長所よりも短所が目立つ残念な出来。
 

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生命の息づかいを感じさせる見事な景観

 
 本作は、前作に比べるとオープンワールドゲームとしては極端なまでに長所と短所が別れ、どちらを重視するかで傑作にもストレスゲーにもなるという、非常に判断が難しい出来です。
 
 良い点は、一目見た瞬間この世界に魅了され虜になってしまう圧倒的な佇まいの景観です。ハッキリ言って前作のすさんだ荒野やメキシコのほうがウェスタン風味が強く、ウェスタン映画を題材にしたゲームという点においては雰囲気が出ていました(風に吹かれてタンブルウィードが転がっていたタンブルウィードという土地があるだけで、タンブルウィードが転がっていたというのは勘違いでした)。
 
 ただ、今作の景色は作り物臭さがまったくと言っていいほどせず、ゲーム画面を眺めているのにそれがゲームの世界なのか現実の景色なのか混乱してしまう瞬間が多々ありました。
 

 

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 前作でも好印象だった野生動物の狩り要素はグラフィックの劇的な進化と相まって大幅に魅力を増し、相変わらずメインミッションよりも美しい風景に見守られながら獲物を追い駆け回すフリープレイのほうが遥かに楽しいです。
 
 目に映る生き物はほぼ全て狩ることが出来るという点は、前作よりもさらにゲームに馴染み、ハンティングの面白さと同時に自然の豊かさを際立たせる機能も完璧に果たし切っており、一作目とは比較にならないほどの進化を遂げています。
 
 このオープンワールドゲームの新境地に達したかの様な、風景からゲーム臭さを完全に追い払い、作り物ではなく一つの世界と認識させるほど違和感を排除し切った完成度には不満は一つもありません。
 
 ……ただ、問題はそれ以外の全てです。
 

オープンワールドにおいて存在が前提であり、基盤(インフラ)的な重要度のファストトラベルを制限される苦痛

 
 今作は、前作の出先だろうといつでも利用できた便利なファストトラベル機能が削られました。代わりに拠点のキャラバンキャンプをアップグレードすれば拠点から主要な街へは一瞬で移動できるものの、出先では前作にもあった駅馬車や列車を使うのみに限定。
 
 このため、いくら景色が綺麗で狩りの道草が楽しかろうが、同じ道を何度も何度も何度も何度も移動させられ続ける、まるでドラゴンズドグマのような苦痛が半端ではありません。
 
 多分、豪華に作り込んだオープンワールドマップを堪能して欲しいという思いでファストトラベルに制限を加えたのだと思いますが、これが完全に裏目。ファストトラベル機能が無くなったことで、遠出すると帰り道も同じ時間掛けて戻らなくてはならないせいで、自分の場合は主要な村や街から離れたくなくなるという状態に陥りました。
 
 特にメインストーリーの終盤に何度も足を運ぶこととなるアメリカ先住民の居留地がある山奥は、出発地点によっては行き帰りだけで10分弱くらいの時間を消費するので、メインミッションで訪れる意外は苦痛すぎて二度と近づきたいとは思いませんでした。
 
 ファストトラベル機能を削った影響で、オープンワールドゲームの醍醐味であるあちこち未知の場所を探索して回るという行為へのハードルが上がってしまい本末転倒。
 
 別にファストトラベルを用意しながら、馬で移動したくなる仕掛けも同時に施せばいいだけなのに、ファストトラベルに制限を掛けて無理やり望んでもいない長時間の移動を強要させる仕様の意味が分かりません。
 
 取り組むべき課題はファストトラベルの制限ではなく、馬での移動にファストトラベルの便利さに負けない魅力を持たせるための工夫であり、どちらを選ぶかくらいプレイヤーに選択させるべき。望まぬ長時間の移動を強いることで一体誰が得するのかマジメに考えて欲しいところ。
 
 ファストトラベルの制限意外も不満だらけ。
 
 狩った動物の皮を剥ぐ際や、倒した敵からアイテムを入手する際の動作を細かく作り込んだ影響で何度も繰り返す作業が長引き億劫。
 
 照準ボタンと人に話しかけるボタンが同じ、馬に乗るボタンと人に掴みかかるボタンも同じと、あらゆる場面で誤動作が発生し、イライラ。
 
 ちょっと人にぶつかっただけで指名手配され、しつこく追いかけ回されうんざり。
 
 馬で移動中に木や岩にぶつかると頻繁に馬が転倒し、散乱した積み荷をイチイチ積み込まなくてはならなかったりと死ぬほど面倒。
 
 これらまったく面白さに寄与しないまどろっこしいだけの無駄な作業を足したせいで、ゲームのリズム感が狂っており、ただただ不快。
 
 本作は、無駄な細部ばかりに手間を掛け、総じてゲームプレイのリズムというものをないがしろにし過ぎで、前作のキビキビ動く軽快なゲームプレイに比べ、とにかくストレスまみれでイライラしっ放しでした。
 
 ストレスをそこここに配するにしても、うまいゲームは的確な場所に設置され、快感や達成感を強化するように機能するのに、本作はただただ疲労を蓄積させられるばかりで終始キツイです。
 

つまらない、どうしようもなくつまらない、ただただつまらないメインミッション

 
 ドラマ作りのセンスに秀でるロックスターのゲームだけに、前作の前日譚と言っても前作をただなぞることはせず、守りに入らない姿勢は好感が持てました。前作のウェスタン映画の魅力を詰め合わせたものとは異なり、感触としてはマフィア映画やギャング映画に近く、しっかり前作とは異なる方向性のアプローチを打ち出しているのはさすがロックスター。
 
 すでに全盛期を過ぎた落ち目のギャング団がなんとか起死回生を図ろうとするも理想通りに事が運ばず、次第に家族同然だったメンバーたちが反目し合い絶望的な状況に追い詰められ疲弊していく様を容赦なく追体験させるというコンセプトは素晴らしく、この部分は好きです(主人公のアーサーの姿はウェスタン映画やギャング映画というよりX-MENシリーズのローガンのウルヴァリンを一番連想した)。
 
 

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 ただ、前作の物語がそれ単体で美しくまとまっていたので、正直前日譚としては蛇足感もあります。特に前作のエピローグと呼応する今作のエピローグはただ分かりきっていることをもう一度説明しているだけで、自分的には邪魔でしかありませんでした(このような描写をここに入れてしまうと前作の終盤の感動が目減りする)。
 
 主人公のアーサーがボロボロになっていく様が若干わざとらしすぎるという不満はあるものの、ストーリー自体は決して悪くはありません・・・・・・しかし、単独では今一つ魅力に乏しい、前作の物語を補強する役割の前日譚に、GTAっぽい強盗要素を足した結果、出てくるキャラクターは前作と被りまくって目新しさがない上に、中途半端にレッド・デッド・リデンプションがGTAっぽくなっただけというどっちつかずの内容にも感じ、前作の魅力には遠く及ばず。
 
 ……そもそも問題はストーリーと言うよりかはゲーム部分全般。
 
 その中でもメインミッションのつまらなさは看過できないほどの酷さで、本当にただ入れてみただけという魅力が一つもないステルスもどきを延々やらされ、前作よりも操作周りが退化した銃撃戦パートがよりによって大幅にボリュームが増し苦痛度がアップするなど、散々な内容。
 
 主人公達がひたすら惨めに敗走していくという話なので、GTAもどきの銀行強盗や列車強盗もとにかく失敗・失敗・失敗……と、せっせと強盗の準備をして計画を実行に移しても徒労感しかないという酷いあり様。今度は強盗が成功したら成功したでGTAと同じように大金が手に入ってしまい、本作で最も楽しいフリープレイの狩りをして小金稼ぎをするという目的が奪われ、仕方なく先に進めるしかなくなるというどっちに転んでもマイナスの効果しか発揮せず。
 
 ギャングメンバーとただひたすら酒を飲んで前後不覚になり暴れるだけという愉快なミッションや、密造酒を酒場でコミカルに振る舞うふざけたミッション、ライバルのギャング団のボスが絞首刑になるのを陽気に見学しに行く悪趣味なミッションなど、ロックスターだけに抜群のセンスを誇る内容も多数あるものの、ほとんどは終わりの瞬間をひたすら待ち望むだけの苦痛なもので、ストーリーを先に進めるためひたすら我慢してやり続けました。
 
 退屈なメインミッションの中でも特にTPS部分のストレス量が前作の比ではありません。今作は全体的に前作より操作性が悪くなったためスピーディな身のこなしができず、しかも前作では当たり前に出来た銃の高速連射も不可能となり、デッドアイ(スローモーション)を使ってうまくヘッドショットしないと敵が前作より異様に硬く感じます(前作はもっと敵をサクサク倒せた)。
 
 銃に軽いカスタマイズ・メンテナンス要素が追加されたことや、二丁拳銃が使えるようになったこと、弾薬を交換できるといった新要素が追加されましたが、こんなどうでもいいものを足すくらいなら、もっと根本部分を改善すべきだったのに、後の祭り。
 
 

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 前作と違い、持ち運べる武器の数に制限が設けられた上に、装備した武器はいちいち何かする度に外れ、これなら左手・右手・肩・背中装備スロットをきちっと設け、一度装備した武器は固定され、スロット装備を交換するのは武器をしまっている馬の近くか馬上でないとできない仕様にすればいいだけなのに、ひたすら面倒臭いです。
 
 前作からあった問題点は消えるどころか膨れ上がり、新しく加わった大量のストレス群がさらに追い打ちをかけるという極悪な出来で、長所を完全に殺し尽くすほど短所が目立ちます。
 
 つまらない、面倒、もううんざり、ため息、苦痛、単調、ストレス、時間のムダ、もう嫌だ、眠い、イライラ、どうでもいい、早く終われ・・・・・・多少の欠点はあったものの、あんなに素晴らしかったレッド・デッド・リデンプションがなんでこんな呪詛のようなことが頭を巡り続ける続編になってしまったのか、非常にやるせないです。
 
 サバイバル要素のセンスもほぼゼロで、ここまで新要素が完膚なきまでに滑りまくっていると、若干ロックスターの今後が不安になります。
 

最後に

 
 オープンワールドゲームとしては快挙としか言い様のない、作り物の世界であることを完璧に忘れさせてくれる微塵の隙も無い眺めを実現できた時点で本作は十分過ぎるほどの価値があり、ここだけを持って傑作と言えなくもないです。
 
 ただ、ロックスターは景色が綺麗なゲームは作れても、面白いゲームの作り方は忘れてしまったのかと思うほど、今作から新しく追加された要素がことごとくマイナスにばかり作用し、ゲームのテンポやリズム、シューター部分は前作から大幅に退化し、物語・キャラクター・会話劇の魅力もセンス抜群だったGTAⅤの足元にも及ばず、ただ単純にゲームとしてつまらないです。
 
 GTAⅥは絶対にこんな的外れなシステムをテンコ盛りにした、没入感を履き違えたバカげた仕様にだけはしないで欲しい。
 

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