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[レビュー]レッド・デッド・リデンプション(Xbox360版)〈感想・評価〉

トレーラー

 
評価:95/100
 
作品情報
ジャンル
オープンワールド 
TPS
発売日(日本国内)
2010年10月7日
開発(デベロッパー)
Rockstar San Diego
開発国
アメリカ
ゲームエンジン
RAGE(Rockstar Advanced
Game Engine)
 
 

メモ

 
・PS3版クリア済み
 

爆音よ、さらば

 
 昔にクリアしたPS3ディスク版で一番印象に残っているのが感動的な物語・・・・・・よりもディスク読み込みの際の爆音です。
 
 処理が重い場所(街、など)に近づくとイヤホンをしているのにも関わらず部屋中に鳴り響くウィンウィンウィンウィンという耳どころか脳に鈍く突き刺さるかのようなディスクの読み込み音で気が狂いそうになりながらプレイしていたので、傑作だけれども騒音のトラウマで二度とやりたくないゲームという非常に困った位置付けの作品でした。
 
 PS3版はこれまでやったゲームの中でも騒音で悩まされたゲームランキングぶっちぎり1位なため、今回はXbox360ダウンロード版を選び、その嘘みたいな静かさだけで新鮮。
 

世界トップの脚本力で成立した奇跡のひと時

 
 同じロックスターのグランド・セフト・オートⅤがゲームのコンセプト・シナリオ・演出ともにあらゆるゲームを凌駕し尽くすほどの常軌を逸した完成度で、改めてプレイし直して本作の魅力がGTAⅤに押されて陰っていないかと正直不安でした・・・・・・が、結果的には杞憂に終わりました。
 
 特に終盤に訪れる奇跡としか言いようのない、暴力を題材としたゲームゆえに異様にすら映る安らかなひと時は、初回時よりも結末が分かっている分、その瞬間の重みがより感じ取れ、感慨が遥かに増します。
 
 全盛期の西部開拓時代ではなく、末期の時代を舞台とすることで際立つ、主人公のジョンを象徴する暴力が支配する古い時代の終焉と、息子のジャックを象徴する新しい時代の幕開けの対比。
 
 セリフ一つ一つの切れ味が鋭い、優秀なシナリオライターによる神がかった脚本。
 
 これまでゲーム中に繰り返してきた行いと別のことをさせるのではなく、同じ行動に親子のコミュニケーションというドラマ性を自然に足して見せる無駄のないシステム演出。
 
 マップがシームレスであることを最大限活用する、これまで訪れた場所が地続きであることで人との強い繋がりを実感させ、暴力に支配されているはずの見知った場所が主人公の安堵に呼応するかのように人の温もりすら感じさせる優しい風景として色付き、世界がまったく別の表情を浮かべる巧みなオープンワールド使い。
 
 ゲームを構成する要素全てが物語のピースとなり、それらが完璧に組み合わさる終盤はゲーム史に残る奇跡の数十分と言いたくなるほど眩く、それゆえ儚く、この部分だけはGTAⅤのセンスをもってしても決して太刀打ちできない魅力があります。
 

突出した物語の完成度に対して、そこそこな通常ゲームパート

 
 マクファーソンマクファーレン牧場関連のミッションは映画のシェーン始め悪漢に苦しめられる一般人を流れのガンマンが救ったり、ハワード・ホークス監督の赤い河のように大自然で牛を追うカウボーイ気分が味わえたりする正統派ウェスタンな作り。
 
 保安官関連のミッションは同じくハワード・ホークス監督のリオ・ブラボーのような正義感はあるもののやや粗暴な保安官の助手となり悪党を退治するアクション寄りな作り、など、ミッションの中心となる主要登場人物ごとにウェスタン映画の魅力を分散して設定するという作りはオープンワールドにうまくマッチしていると思います。
 
 色々なウェスタン映画の影響の中でもPS3版をやった際は過去の悪事の清算のため苦しめられるという展開からクリント・イーストウッドの主演・監督作である許されざる者を強く連想しましたが、改めてプレイし直すとベースは完全にサム・ペキンパー監督のワイルドバンチのほうだなと印象がガラリと変わりました。
 
 本作の時代設定がいくらなんでもウェスタン作品としては時期が遅すぎる20世紀頭の1911年で、ワイルドバンチの1913年とほぼ同じでリボルバーというよりもオートマチック拳銃の時代に入っている点。役人の命令でかつてギャングのメンバーだった頃の仲間たちを殺害していくという話な点。主人公がかつての仲間に負傷したまま置き去りにされたという過去を持っている点。
 
 そもそも本作で非常に特徴的なストップモーション的に画面が静止し、色が反転する演出がワイルドバンチのOPとまったく同じなど、どう見てもワイルドバンチをベースに許されざる者や親子の絆を描く3時10分、決断のときを加えたと考える方が妥当だなぁと判断。
 
 この、かつて犯罪者だった主人公が役人に家族を人質に取られ、家族の解放と過去の罪の恩赦のため、アメリカやメキシコを旅しながら家族同然だったギャングメンバーを殺害して回るというハードで苦い展開は非常にロックスターぽくて好みでした。
 
 ただ、アクションというよりもどちらかというと深いドラマ性や没入度を売りにするアドベンチャーやシミュレーション肌なロックスターらしく、肝心のTPS(銃撃戦)部分は単調です。
 
 馬車を操作しながら追っ手から逃走するような、ロックスターのわりと得意とするレーシングゲーム的な要素のあるミッションはまだスピード感もあるものの、ひたすらうじゃうじゃ湧く敵を雑に撃ち倒していくだけのメインミッションは「早く単調な銃撃戦終わってくれないかなぁ・・・・・・」と退屈に感じる瞬間が多々ありました。
 
 特にガトリングガンで大量の敵を薙ぎ払うという本来なら爽快感を伴うはずのミッションが、敵が小さ過ぎて視認し辛くむしろオートエイムありの通常の射撃のほうが楽という本末転倒な出来で散々。
 
 他にも夜中にミッションを開始すると暗すぎて何も見えないとか、昼間でも敵が小さすぎて何も見えないとか、視力の悪い人間への嫌がらせかと思うほどストレスまみれで、銃撃戦をやらされるパートは不満が多かったです。
 
 パッとしないTPS部分より、むしろ道すがら野生動物を狩って、手に入れた肉や毛皮などを店に売り小金を稼ぐという道草部分のほうが好印象なくらい。
 
 ファークライ3以降、野生動物の狩りはクラフトと連動することが多く、本作のように単に換金用として割り切っていると、野生動物を狩るイコールお金稼ぎという目的が明確で、何度も移動途中で大自然の中での狩りに夢中になり、森や荒野を駆け回っていました(GTAⅤでは野生動物の狩りにお金という報酬が無くなったせいで野生動物の存在感が希薄になっている)。
 
 この野生動物を狩りお金を稼ぐという要素は、そのままオープンワールドに生命の息吹を宿らせる働きもしており、無駄がありません。
 
 そして、そんなオープンワールド狩猟生活をアシストしてくれるのが、プレイヤーが任意に設置したマーカー部分にファストトラベルできる機能。GTAⅤのタクシーでのファストトラベルにも採用されていますが、これのおかげで通常のファストトラベルポイントである村や街から離れた任意の場所にも瞬時に移動でき非常に便利です。この地図上に設置したマーカーへファストトラベルできる機能は全てのオープンワールドゲームに標準搭載して欲しいほど。
 
 ・・・・・・しかし、結局ベセスダのRPGのように常に欲しい物が尽きず、小金稼ぎが楽しいバランス調整になっていないため、終盤はお金の使い道が無く大量に余ってしまう状態になるのが残念でした。
 

最後に

 
 クリアまで約18時間ほど。ボリュームは通常のオープンワールドゲームに比べると若干少な目。
 
 アクションゲームセンスがあまりないロックスターだけに、メインミッションが似たようなことの繰り返しで単調など、基本のゲーム部分には多数の不満を覚えます。
 
 ですが、毎回世界トップのゲーム美学が貫かれたロックスターの作品に触れると、日頃鈍りがちな感性が刺激を受け、物を見る目が研ぎ澄まされるため、マイナス要素など些末な問題。
 
 初回時よりも二回目のほうがより魅力が増す深いドラマが堪能できる大傑作中の大傑作。
 

レッド・デッド・リデンプションシリーズ

 
レッド・デッド・リデンプション コンプリート・エディション【CEROレーティング「Z」】 - Xbox360

レッド・デッド・リデンプション コンプリート・エディション【CEROレーティング「Z」】 - Xbox360