トレーラー
評価:80/100
ジャンル | FPS |
発売日(日本国内) | 2015年11月6日 |
開発(デベロッパー) | Treyarch(トレイアーク) |
開発国 | アメリカ |
ゲームエンジン | IW engine |
ゲームの概要
この作品は、『CoD(コール オブ デューティ) ブラックオプス』シリーズの3作目です。
前作と設定だけ緩く繋がってはいるものの、ストーリーは別物なので過去作をプレイしておく必要はまったくありません。
話のフォーマットとしては、ある作戦のため派遣された者が不可解な行動を取り、それを後続として派遣された者が調査していくという映画『地獄の黙示録』タイプです。
FPSとしてはこれまでのCoDシリーズのような遠距離でカバー状態で撃ち合うより敵が突っ込んできて接近戦が起こりやすいようなシチュエーションが多く、シリーズの中では異彩を放っています。
しかも、主人公がサイボーグなため自身のカスタマイズ要素も豊富に用意されており、良くも悪くもCoDっぽさは希薄でした。
ストーリーは完全な説明不足で、演出もマイケル・ベイ映画のような下品さと、シリーズの中では決して好きな部類の作品ではありません。
それでもサイボーグを操作する快感には価値があり、一本のFPSとしては十分楽しめます。
あらすじ
前作『ブラックオプス2』から40年が経った西暦2065年。世界はアメリカを中心とした相互防衛条約WA(ウィンズロー・アコード)とロシア始めヨーロッパを中心としたCDP(コモン・ディフェンス・パクト)に二分。両者が睨み合い、世界中でWAとCDPの代理戦争が勃発する冷戦の様相を呈していた。
WAの特殊部隊員である主人公は任務中に重傷を負うも、その後全身をサイボーグ化し現場に復帰。何者かの襲撃を受けたアメリカCIAの施設があるシンガポールへと派遣される。
シンガポールでは2060年に起こったグローバル企業コアレッセンス社の研究施設を震源とした謎の爆発事故により30万人の民間人が死亡する事件が発生。事故後周りに巨大な壁が建造され隔離処理となり、壁の内側は犯罪組織54 イモータルズが支配する無法地帯と化していた。
壁の中に作られたCIA施設を調査すると、54イモータルズの手口に似た方法で惨たらしく処刑されたCIAスタッフの死体が発見される。犯人の候補として挙がったのは、コアレッセンス社の旧施設から発せられた警報を調査する任務に就いていた、同じWAの部隊員であり戦友でもあるテイラーのチームだった。
テイラーたちは本当にCIAの職員を殺害したのか? 爆発の震源地であるコアレッセンス社の旧施設を調査していたテイラーたちの身に何が起こったのか?
戦友の不可解な行動を解明するため、テイラーのシンガポールでの調査の足跡を辿っていくことに。
情報過剰の足し算地獄のキャンペーンモード

今作は、情報量を盛って盛って盛りまくるという、マイケル・ベイ映画のような狂ったような演出で辟易させられます。
元々、この手の何が現実で虚構なのか区別が付かなくなっていくというサイコホラーのようなジャンル作品にありがちな画面がちらつきまくるという効果も最悪でした。
まるで『攻殻機動隊』の人形使い編をマイケル・ベイの『バッドボーイズ』や『トランスフォーマー』のような落ち着きのない演出タッチで作ったような下品さで、いつも下品なブラックオプスシリーズの中でもぶっちぎりの下品さです。
プレイしていて頭が悪くなりそうなほど、爆発・爆発・爆発、幻覚・幻覚・幻覚な演出のオンパレードで『コールオブデューティ』シリーズでも疲労の蓄積度がダントツでした。
センスの悪いハリウッドブロックバスター映画を連続で視聴させられ続けるような苦痛で、チャプターごとにごっそり体力を奪われ、連続してプレイし続けるのが不可能です。
演出はしつこくて過剰な癖にストーリーは常に説明不足で、意味が分かりません。
絶対に序盤に説明しておかなければならないWA(ウィンズロー・アコード)とCDPが対立しているという世界情勢もすっ飛ばして話が進むので、序盤の「一体どんな世界で、自分は何をやっているんだろう?」という混乱状態が一向に改善されません。
自分の場合はあまりにも話の意味が分からな過ぎて先に進むのを一旦止め、何度も序盤のチャプターを繰り返し、劇中に出てくる用語を前後の文脈から意味を類推したり、チャプターの最後に起こる出来事から内容を帰納的に分析したりという作業を繰り返し、ようやく漠然と何をやっているのか掴めました。
本作はいらない部分は過剰で必要な部分は不足しているという、『コールオブデューティ』のキャンペーンモードの中でも群を抜くバランスの悪さです。
過剰すぎる演出周りとは打って変わって非常に気配りが行き届いているゲーム部分

本作はストーリー部分は説明不足と過剰演出でストレスしかありませんが、肝心のシューターとしての完成度は非常に高く安心してプレイできます。
まず、サブマシンガン、アサルトライフル、ライトマシンガン、ショットガン、スナイパーライフルという五種類の武器を軸にし、各武器ごとに銃のカスタマイズの選択肢がそこそこ豊富です。
装着するアタッチメント(スコープ、拡張マガジン、など)やプライマリウェポンであるハンドガン選び、タックリグという特殊装備など、プリセットを複数セッティングでき、ミッション開始前や、ミッション途中でワンタッチで交換が可能で非常に便利です。
それと、舞台が近未来なので敵が使う銃は全て『メタルギアソリッド4』と同じような生体認証ロックが掛かったID銃という設定で、そのままでは敵が落とす武器を拾って使えません。敵の落とす武器を使用するにはロック解除が可能となるタックリグを装備する必要があります。
タックリグには敵ID銃のロックを解除するもの、二段ジャンプ(+ブーストジャンプ)で機動力を強化するもの、敵の投げたフラググレネードを弾き返すもの、死亡時に一度だけ復活できるものなど、かなり強力な効果を持つものが多く、これを変えるだけでも戦い方がガラッと変化します。
装備選びだけでも相当数の選択肢があるのに、本作がさらに凄いのは、主人公が機械化しサイバー戦も可能なサイボーグという設定を生かし、サイバーコアという『バイオショック』のプラスミド(インフィニットでいうとビガー)のような、遠隔サイバー攻撃能力も有していることです。
サイバーコアは、
・コントロール(機械戦に特化、ハッキングで敵の機械を味方に付けたり、敵機械の機能を強制停止したりする、など)
・マーシャル(近接戦に特化、移動速度・リロード速度を強化、強力な近接範囲攻撃が可能、など)
・カオス(遠隔攻撃に特化、ジャミング・発火攻撃、敵機械の破壊、など)
の三種類が存在します。
ミッション開始時に三つの中の一つを選び、ミッション中は各サイバーコアに設定されたクールダウン制の能力をいつでも変更しながら仕様が可能です。
さらに、ミッション開始前にはそのミッション内での近距離戦・中距離戦・遠距離戦の発生率の高さ、敵無人兵器がどれくらい配備されているのかといった情報が事前説明され、どんな装備で挑もうか、敵種類に応じてどのサイバーコアをセットしようか戦略を考えることができます。
このように、どんな武器を装備し、どんなアタッチメントを装着し、戦略の幅を広げるタックリグは何を選び、どんなサイバーコアを選択するのかというセッティングの項目がかなり豊富で、同じミッションでも装備を変えて挑め、マンネリ化し辛いというメリットがあります。
ここら辺のゲームバランス調整は非常によくできており、状況に則した武器やサイバーコアを選ぶとやや難易度が下がるものの、別段その他の武器でも十分対応が可能で、ストレスをほとんど感じません(遠距離戦が多いステージにショットガンを持ち込んでもクリアは可能といった感じです)。
敵も遠距離で撃ち合うタイプと突撃してくるタイプの二種類が配置されており、キャンペーンモードでは存在感の薄いショットガンも使い勝手が良く、戦い方によっては『DOOM(ドゥーム)』シリーズのように近距離で撃ち合いが起こるため、いつものCoDとは異なる感触の体験ができ新鮮でした。
敵の耐久力設定も絶妙の極みで、特にたまに登場する小ボス・中ボスクラスの敵は固いというほどではなく、通常武器とロケットランチャーの組み合わせでサクサク倒せるにも関わらずきちんと達成感があるため、プレイがダレません。
ゲームプレイ部分はほぼストレスを排除することに成功しており、これまでやった『コールオブデューティ』シリーズでもバランス調整だけならトップクラスの仕上がりかもしれません。
従来通り遠距離でカバー状態で撃ち合うも良し、サイバーコア攻撃で敵を圧倒しても良し、近接戦を挑んでショットガンで派手に戦うも良し、サイバーコアで強化したパンチで敵を殴り飛ばしても良しと、繰り返しプレイへの耐久性の高さは相当で、ストーリー部分のストレスをゲーム部分でうまくカバーしてくれます。
不満あれこれ
まず、サイバーコアのカオスを選ぶと使えるファイヤーフライという攻撃があまりにも強力過ぎる点です。
一応ドローンやロボットには効かないという制約はあるものの、対人間相手ではほぼ無敵で、自動で敵を攻撃し、行動を妨害する上に発火して敵を始末してくれるため、一周目のサイバーコアはほぼカオス一択となってしまい、他の能力をあえて使う気が起きませんでした。
後、これはただのワガママですが、やはり前作の2と同様、武器をプレイヤーが自由に選択できてしまうことの弊害で、『モダンウォーフェア』シリーズで非常に効果的だった、ミッション開始時に装備している銃器からミッションの内容を想像するという楽しみがなくなったことです。
初期装備がサブマシンガンだと狭いインドアで撃ち合うのかな?とか、スナイパーライフルを装備していると狙撃するんだろうなとか、サイレンサーを装備していると敵に発見されてはいけない隠密作戦だろうとか、初期装備をうまく利用した銃器演出を用いて一瞬で作戦に没入させしまうという手法が使えず、ここは物足りなさを感じます。
最後に
ストーリーは『メタルギアソリッド2』が終盤ジョークとしてやっていたようなことを全編大真面目にやってしまうというしつこさでイマイチです。
ただ、サイボーグという設定を生かしたシューター部分は『デウスエクス』シリーズの人体拡張したオーグや、『攻殻機動隊』の義体化したサイボーグになった気分を味わえ、他のCoDとは異なる魅力が出せています。
CoDシリーズ
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