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[アニメ]ナイツ&マジック 〈感想・レビュー・評価〉 天才プログラマーが異世界ロボット開発にイノベーションを起こす

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PV

 
評価:80/100

あらすじ

 
 交通事故に遭い帰らぬ人となった天才プログラマーであり熱狂的なロボットマニア倉田翼。しかし、死後にエルネスティ・エチェバルリアとして異世界に転生した倉田はシルエットナイトという人型のロボットを目撃。その衝撃で、自分がプログラマーでありロボットマニアだった前世の記憶を思い出す。
 
 前世のプログラミング技術とロボットに対する溢れ出る情熱で瞬く間にシルエットナイトに対する知識を深めるエルネスティ(倉田)。遂には個人でシルエットナイトの新型機開発を成し遂げるという偉業を達成する。
 
 しかし、新型機が謎の集団に強奪され、最新技術が国外に漏洩したことにより、世界は混乱へ向かって行くこととなる・・・・・・。
 

ご都合主義の穴だらけシナリオ

 
 本作は一本のロボットアニメとしてはほとんど成立していません。
 
 ストーリーは次から次に見る側の理解など置いてきぼりにして進み続け、終始ご都合主義のオンパレード。プロの技術者やメカニックが会話しているのに、プロっぽさなど微塵も演出する気がなく、説明・説明・説明、品の無いナレーションを頻繁に挟んでまた説明・説明・説明と、説明臭すぎて辟易させられます。
 
 終盤、これまで何度も何度も登場したシルエットナイト(人型ロボット)の部品に対してまた説明セリフが入った時はさすがに呆れて苦笑しました。
 
 本作は主人公がパイロットとしてバリバリ戦うというよりも、どちらかというとロボットの設計・開発をする話なので、深い専門知識を持った技術者同士のテクニカルタームをちりばめた知的な会話劇が味わいたいのにそこが抜け落ちており物足りないです。
 
 勘所が押さえられていないのは会話だけでなくドラマも同様。登場するキャラクターは全員愛嬌があり魅力的なため仲間同士の掛け合いは見ているだけで楽しいです。その中でも成長が描かれるディートリヒは他のキャラより丁寧な描写がされ、しかも感情の起伏を表現するシーンの音楽の使い方の巧みさも相まって、非常に好感が持てました。
 
 ただ、起こる展開はど派手なのにも関わらず、ほぼ登場人物の誰の感情もこもっておらず、ドラマ自体は空洞でまったく響いてきません。しかも、主人公は常にマッドサイエンティスト然としており、大喜びで兵器を開発し、心底楽しそうに戦闘するため、ほぼ感情移入不可能で、もう少し作品のトーンをブラックユーモア風にでも調整しないと、この主人公の異常性が浮き過ぎて辛いものがあります
 
 作品全体がこのロボット愛を理由に暴走し続ける狂人の主人公にただ振り回されるのみで、暴走させるにしても完璧に制御した上での暴走でないと、ただ頭のおかしい人が好き勝手やっているさまを見せられるだけで作品にまとまりが感じられません。
 
 正直、脚本は欠点だらけで、完成度の高い映像の足を引っ張っているようにしか見えません。
 

作画(エイトビット)とCGロボット(オレンジ)の見事なハーモニー

 
 古くはゾイド、最近ではアルドノア・ゼロといった人物は手描きでロボットやメカ部分はCGというアニメの系譜の中でも完成度が非常に高い部類で、もうエイトビット×オレンジのコンビでロボットアニメを引っ張っていってくれないかなと勝手な期待を抱きたくなるほど。
 
 舞台となる異世界は魔法が当たり前に存在する聖戦士ダンバインのバイストン・ウェル風で、メカデザインは重戦機エルガイムファイブスター物語の永野護デザインのような甲冑を身に纏った巨大な騎士風といったハイセンスで尖った80年代ロボットアニメ調。でも、画面に映るのは今風のキャラデザと密度の濃い背景、CGで動くロボット・・・・・・という、新しいものと古風なものが同居しているような感覚は、人物が手描きというアナログ手法とロボットがCGというデジタル手法の融合ぶりをそのまま体現しているかのよう。
 
 インフィニット・ストラトスの頃はオレンジのCGによるアクション部分のセンスの良さに対して、エイトビットの作画が明確に見劣りしていたものの、もはや格は同等でお互いがお互いを高め合う理想の関係となり、映像を見ていて清々しいです。
 
 シルエットナイト同士の格闘戦の殺陣は、機体の巨大さ・重量感表現よりもフットワークの軽さを重視したスピーディな動きと、CGである強みを最大限生かしたダイナミックなカメラワーク相まって単純に滅茶苦茶カッコいいです
 
 魔法による砲撃戦も、魔法の弾速がやや遅いためスターウォーズのブラスターのように剣で弾くことも出来る上、砲撃から着弾まで微妙な間が生じ、一部着弾の衝撃への溜めとなる見せ方もゾクゾクします。
 
 インフィニット・ストラトスと同様、戦闘シーンになると途端に動き一つ一つにこだわりが感じ取れるため、会話劇もこれくらい一言一言に注意を払って作ってくれたらいいのにと、アクションが良ければ良いほど足を引っ張る脚本に不満が募る始末。
 

ロボットアニメに新ジャンルを確立できるかもしれない世代交代の快感

 
 本作はロボット描写だけに注目すればかなりの出来なものの、ほとんどシナリオがまともに機能していないため、一本の作品としてはガタガタです。
 
 ですが、原作をダイジェスト気味に描いたことの影響か、ロボットの進化・改良スピードが通常のロボットアニメの比ではないため、その目まるぐるしさに終盤になると不思議な快感を覚えるようになりました。
 
 爆走兄弟レッツ&ゴーで例えると、前の回までマグナムセイバーだったのが、次の回に突然ビクトリーマグナムに進化し、その次の回にはすでにサイクロンマグナムが完成していて、さらにその次の回にはもうビートマグナムの開発に着手し、さらにさらにその次の回にはもうビートマグナムの試運転をしているような進化速度。
 
 自分がこれまで見たロボットアニメの中でもトップクラスの開発スピードで、新型機として登場した機体がもう数話後には旧式になっているという恐ろしいまでの機体の耐用年数の短さは、突き詰めたら一つのジャンルになりそうな気すらします。
 
 主人公がパイロットよりも技術者要素のほうが濃い目であることを利用した、次から次に惜しげもなく新型機や新装備がお披露目され続ける、短いサイクルの機体交代劇。この個々の機体の活躍を度外視し、ややマクロ視点で機体が足早に世代交代していくのを楽しむさまはシミュレーションゲームに似ています。
 
 まるで、機動戦士ガンダム ギレンの野望で自軍の主力量産MSがザクからドムへ、ドムからゲルググへ、ゲルググからゲルググM(マリーネ)へと駆け足で交代し続けるも決して安泰となることはなく、常に性能不足な現行機を使い続けようか、開発費用を投じて新型機の開発に着手しようか選択を迫られ続ける感覚に近いものを感じました。
 
 本作を見ていたら、従来通り新型機の活躍をじっくり描くスタイルも良いものの、戦況に応じて新型機や新装備を短いサイクルで開発・実戦投入するプロセスそのものを目的化してしまう、戦闘よりも設計・開発に軸足を置くようなスタイルも、極めればロボットアニメの新しいジャンルになるのではないかと夢想してしまいました。
 

ガンダム(というか富野監督作品)パロディ化し、作品価値を下げていく終盤

 
 なんだかんだ不満はあるものの、それでも面白がって見ていると、終盤にいくにつれ、ほとんど開き直ったかのようなヤケクソ状態でロボットアニメパロディに走りだし心底ガッカリさせられましました。
 
 終盤はほぼ、「MAP兵器だ!?」とか「有線式サイコミュだ!」とか「加速した!? トランザムシステムか!」とか「オーラ・ファイター(もしくはモビルアーマー)だ!!」とか、「やっぱりハイパー化したぞ!?」とか、「オーラバリアだ!!」とか「アクシズ落下阻止か!?」とか、見ていてこんなリアクションしかなく、その志の低さに呆れるばかり。
 
 このくだらない安直なガンダムパロディネタに突っ走った結果、熱量とセンスがまったく足りていないトップをねらえ!の出来損ないのような惨状となり、寒い余韻で幕引き。
 
 終盤がこんな悲惨なことにならなければもう少し本作への評価が高いままだったのに残念です。
 

最後に

 
 エイトビット×オレンジのコンビならこれからのロボットアニメジャンルを引っ張っていくことも出来そうなので、パロディに逃げずに正面から堂々としたロボットアニメを作って欲しかったです。
 

 

第1章 Robots & Fantasy

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