エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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[レビュー]METAL GEAR SURVIVE(メタルギア サヴァイヴ)(steam版)〈感想・評価〉

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トレーラー

 
評価:80/100
 
 

メモ

 
・オフ専なのでオフライン用の要素のみプレイ
 

短評

 
 粗削りさは否めないもののクラフト・ビルディング・タワーディフェンスというサンドボックス要素を詰め込み、サバイバル要素で探索の緊張感と達成感を強化した結果、中毒性の強い作品に仕上がっている。
 
 メタルギアシリーズとしてはストーリーにもキャラにも何の魅力もなく、ゾンビものとしても底が浅く駄作の極みなものの、サバイバル要素とタワーディフェンス要素をハイブリッドした中毒性重視のオープンワールドサバイバルゲームとしては魅力的。
 
 

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ただ余計でしかないメタルギア成分

 
 メタルギアの生みの親であり、偉大なゲームデザイナーであり、天才ストーリーテラーでもある小島監督のファンなので、ハッキリ言って小島監督ノータッチの本作に対する事前の不安は、多少は関係していたライジングとは比較にならないものでした。
 
 しかし、開始直後に「これはゲームのツボを心得た人が作っている!」という安堵を覚え、不安は一瞬で払拭されてしまいました。
 
 メタルギアとして見たら、小島監督という常にセンス・オブ・ワンダーを志向するどうやっても替えが効かないセンスの塊な絶対要素を欠いているので、演出・シナリオその他諸々は拙く、安っぽく、ことごとく過去シリーズを下回る体たらくぶり。
 
 MGSⅤ:TPPの地形や建物・兵器を使い回すための無理やりな、誰でも知っているある映画(オチが超有名すぎてタイトルを書けない)を連想させる浅い世界観設定や、それと合わせミステリーでもあるメタルギアっぽさを出そうと、肉付けをろくにしない、取って付けたような衝撃展開が置かれる終盤など、その安易さとダサさはメタルギアとタイトルに付いているせいで余計際立って見えます。
 
 小島監督がメタルギアに多大な影響を与えた一本として大好きと公言する超有名映画のオチの丸パクリを、あろうことかメタルギアでやるとはどういう神経をしているのか本当に疑問(多分、小島監督が本作をプレイしていたらラストでブチ切れたと思う)。
 
 ただ、肝心のサバイバル部分はFOXエンジンの軽快な操作レスポンス相まって非常に中毒性が強く、本作の出来の良さならメタルギア要素を全て取っ払っても十分に一本の新規IPとして通用しました
 
 メタルギアという小島監督の残り香を意識させるタイトルだけが邪魔で、メタルギアでなかったらもっと素直に楽しめたのにという本末転倒さが残念でなりません。
 

心地よいデスペナルティに支えられた中毒性

 
 オープンワールドゲームのスタイルとしては、メインミッションをこなしつつ、ファストトラベルポイントを戦闘で解放しながら徐々に行動範囲を広げていくというUBIのファークライシリーズに、クラフトとビルディングで拠点を発展させるフォールアウト4(もしくはドラゴンクエスト ビルダーズ)要素を足した様な作り。
 
 ただ、サバイバルものというゲームの特性上マップ上のどこにでも序盤から好きに移動できるというよりは、ゲーム進行に応じて行動範囲が徐々に広がっていくような感じで、オープンワールドなのに進むルートは端から決まっているリニア型にも近いプレイ感覚です(ファストトラベルポイントを解放しながら行動範囲をゆっくり着実に広げていくという点においては、ダークソウル的でもある)。
 
 そして、作品から受ける感触は、オープンワールドゲームのそれというよりもウィザードリィ系(世界樹の迷宮エルミナージュ、など)のダンジョンRPGに近いです。
 
 それはオートセーブなしで、セーブされるのはベースキャンプ(拠点)に戻った時だけという、かなり厳しいダンジョンRPG的なセーブ制限があるため(ロストダンボールという、ゲームオーバー時や瞬時に拠点に帰還したい場合に拾った素材をその場に残せる最低限の救済措置はある)。
 
 拾ったクラフト素材や、フィールドに設置してあるコンテナから入手できるクラフトのレシピやレアアイテムなど、手に入れたアイテムを一旦ベースキャンプに持ち帰り、セーブして入手を確定する必要があるため、どれくらい進もうか、どこで引き返そうかの選択を常に迫られ続けます
 
 このアイテムを拾ってもまだ気が抜けず、それを拠点まで持ち帰るまでは安心できないという緊張感は、エルミナージュなどで一瞬でパーティが全滅するような高難易度のダンジョンを生き延び、ダンジョンで稼いだ経験値やお金を失わずに済んでホッと胸を撫で下ろしセーブする瞬間の安堵感に非常に近いものを感じました。
 
 本作はサバイバルものなので空腹や喉の渇きという概念があり、何もしなくてもリアルタイムで腹が減り・喉が渇き、ライフやスタミナゲージの上限が減り続けます。さらに、塵の海という巨大な塵の壁に覆われたエリアがあり、ここに入ると酸素タンクのゲージも減っていき、敵だけでなく環境までもが牙を向いてくるため、常に進むか退くかのプレッシャーで神経がすり減り続け、心地よい緊張が味わえます。
 
 

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 ダンジョンRPG的な探索の緊張感と、拠点に帰還した際の安堵感をうまくオープンワールドサバイバルに落とし込んでいる手腕は見事です。
 
 方向性としてはMGS3のジャングルでのサバイバルに似ていますが、バランス感覚が優れているため、ハッキリ言って3のステルスのオマケでくっついているだけの中途半端なサバイバル要素を遥かに凌駕する楽しさです。
 
 ただ、まだまだ粗削りな点が多く、手放しで絶賛するほどの域には達していません。
 

惜しい点その1 クラフト

 
 自分的にかなり意味不明だったのがクラフトのレシピがフィールドに設置してあるコンテナから入手できるという謎の仕様。
 
 

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 なぜベースキャンプ(拠点)というものを作っておいて、拠点を発展させたらクラフトできるアイテムが増えるとか、アイテムのグレードが上がるとか、そのような当たり前の作りにしなかったのか意味が分かりません。
 
 ベースキャンプの発展とクラフトを連動させたら、
 
探索してクラフト素材を入手→拠点が発展し強力なアイテムをクラフト可能に→装備を強化してまた素材を求めて探索に出掛ける
 
 というリズミカルなサイクルが作れたのに、現状ではただ探索で入手したものを持ち帰る場所程度の存在感で、拠点の設備が充実しても喜びがありません。
 

惜しい点その2 サバイバル

 
 ベースキャンプ(拠点)にイマイチ存在感がないということとも関連するのが、かなり序盤で食料や飲み水が簡単に確保可能となってしまうという点。これはマッドマックスにも似たような欠点がありましたが、食べ物や飲み物を容易に確保することが困難という過酷な世界描写が壊れてしまうので、もう少し飲食物の確保に苦しむという期間は長めに設定して欲しかったです。
 

 
 それに、かなり重要な問題なのが、持ち運べるアイテム量がいくら何でも多すぎる点。サバイバルものに最も重要な、どのアイテムを持ち運び、どのアイテムは渋々倉庫に預けるのかという葛藤が一切生じないほど大量にアイテムを持ち運びできるため、食べ物も飲み物も持ち運び放題で、中盤からはただお腹が空いたら食べ、喉が渇いたら飲み、酸素が無くなったらクバンエナジー(ダークソウルにおけるソウルのような経験値&お金の役割を果たすもの)を消費して補給、というサバイバル部分が作業になってしまうという問題が起こります。
 
 一度に持ち運びできる食料や水をもっと大胆に制限するだけで探索時の緊張度がぐっと増したのに、勿体ないです。終盤は物資に余裕がありすぎて、序盤にはあった探索時に常に拠り所のない不安に襲われ続けた感覚が懐かしくなります。
 

惜しい点その3 タワーディフェンス

 
 本作はイベント時やファストトラベルポイントを確保する際、その他クバンエナジー採掘クリア後にベースキャンプを強化するためのベースキャンプ採掘をする際などに、大量に押し寄せる敵からベースキャンプや機械を防衛するというタワーディフェンスパートに移行します。
 
 

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 このタワーディフェンスパート自体は、若干ダラダラ長いという欠点はあるものの、毎回手に汗握る程度には忙しく、タワーディフェンスというジャンルの醍醐味は最低限味わえます。ただ、欠点というよりはもっと面白くできたのになぜそうしなかったのかという疑問も多々残ります。
 
 まず、敵の進行を妨害するために設置する防衛ユニットの種類が乏し過ぎる点。バリケードやフェンスという、メタルギアとは思えないほどSF色がなく垢抜けなくてダサイ設定なのは一旦置いといても、どれもこれもただ敵を足止めするワンパターンすぎるもので作業になりがちです。
 
 もっと攻性のトラップが欲しいとか、タワーディフェンスには当たり前のドローンやタレットなど、敵を自動で攻撃する防衛ユニットの種類が欲しいなどの不満が尽きません。結局敵の進行ルート全てを駆けずり回って処理しなくてはならず、タワーディフェンスにおけるユニットの効率的な配置の仕方を考え、トライ&エラーをこなす要素が乏しく、単調です。
 
 それに、これはワガママですが、出来れば同じタワーディフェンスであるディフェンスグリッドサンクタムのように、敵の進行ルートをプレイヤーが調整するという要素も入れて欲しかったです。敵の進行速度を遅らせる防衛ユニットと、進行ルートを強制的に変更する防衛ユニットの二種類があれば文句ありませんでした。
 

まだまだ大量にある不満あれこれ

 
 近接武器をメインに使う戦闘というのはゲームに慣れていない序盤はまだ練習がてらいいにしても、中盤以降はさすがに銃火器を自由に使わせて欲しかったです。
 
 タワーディフェンスの防衛ユニットのバリエーションの乏しさと、土台のMGSⅤがそもそもシューターだったため、近接武器を使用する戦闘を主眼に作られていないという問題が重なり、ひたすら敵を切ったり突いたりという作業に飽き飽きします。
 

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フェンス越しにゾンビを突いていると、どうやってもウォーキングデッド シーズン3・4の刑務所のフェンスを思い出す

 ゾンビものでも、ダイイングライトのような軽快なパルクールと近接戦を融合させたテンポが抜群の戦闘ならまだしも、本作のような敵の攻撃が及ばない障害物の手前からひたすら地味に攻撃し続けるという変わり映えしようのない戦闘なら、いっそサンクタムのように銃で良かったのにと、歯痒いものがありました。

 
 探索時は音で敵を引き寄せないように静かな近接武器を使い、敵が大群で押し寄せるタワーディフェンスパートは音を気にしなくていいので銃火器を用いても大丈夫など、メリハリが欲しかったです。
 
 後、MGS3とまったく同じで怪我の治療要素は邪魔でしかありません。あんなにつまらない魅力の乏しい要素を復活させるくらいなら、3や4で好きだった自分が今どれくらい周囲の景色に溶け込んでいるのかを示すカムフラージュ率のほうを復活して欲しかったです。
 
 

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最後に

 
 クリアまで約20時間ほど。
 
 悪玉ストレスを除去して、善玉ストレスを増やしたら、もっともっとサバイバルゲームとして上を狙えるポテンシャルを秘めているので、メタルギアという看板を外して新規IPとして是非続編を出して欲しい一作。
 

タワーディフェンスゲーム

 

サバイバルゲーム

 

 

METAL GEAR SURVIVE - PS4 【オンライン専用】

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