トレーラー
評価:60/100
放送期間
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2015年4月~6月
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話数
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全12話
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アニメ制作会社
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A-1 Pictures
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短評
膨大な量の過去シリーズを見ている前提で話が始まるという視聴者への配慮ゼロな姿勢で、単に内容を理解するだけでハードルが高い乱暴な作りの続編。
シリーズの人気に依存するだけで特にこの作品独自の魅力というものが足りず、非常に薄味の作品になっている。
あらすじ( ※若干リリカルなのはストライカーズのネタバレを含みます )
聖王となるオリヴィエ・ゼーゲブレヒトは、幼少期にシュトゥラ王国に人質として差し出され、シュトゥラ王国の王子であり、後の覇王となるクラウス・イングヴァルトと共に武術の鍛錬に明け暮れ親交を深めた。
後に古代ベルカ戦争が勃発し、戦争は激化の一途を辿る。オリヴィエは戦争を終結させるためロストロギア聖王のゆりかごのコアとなり、その身を犠牲にする。
オリヴィエが自身を犠牲にし聖王のゆりかごを起動させるという悲劇を阻止できなかったクラウスは、己の不甲斐なさを生涯悔いることとなる。
……時は流れ、現代。
覇王クラウス・イングヴァルトの子孫で、先祖の記憶を受け継ぐ記憶継承者であるアインハルト・ストラトスは、大切だったオリヴィエを己の弱さゆえ救えなかったクラウスの苦悩の記憶をも継承してしまう。
アインハルトは、その苦しみから解放されるためただただ強さのみを渇望し、名のある格闘家を襲撃する無謀な日々を送っていた。
そして、遥かな時を越え、再び聖王のゆりかごを起動するために生み出された聖王オリヴィエのクローンである高町ヴィヴィオと、オリヴィエを救えなかったことに生涯苦しみ続けた覇王クラウスの記憶を継承するアインハルトが出会う。
過去シリーズの貯金に甘えすぎ
本作はリリカルなのはシリーズ(無印、エース、ストライカーズ)をほぼ見ている前提で作られているため、過去作から引き続き登場する人物や用語に対する丁寧な説明は皆無に近く、見るだけでハードルが高い作品になっています。
自分は辛うじてTVシリーズ全てと1st・2ndの劇場版は見ているため原作漫画を読んでいなくても最低限ついては行ける程度でした(それでも細かい部分は分からないことだらけ)。
特にストライカーズから流れが続いているので、同作を見ていないと登場人物の6割か7割はどこの誰なのか不明なはずです。ストライカーズを見ていないと聖王のゆりかごが何なのかや、主役のヴィヴィオが誰なのかすら分からないという不親切さで、いくら原作の漫画があるとは言え、作りとして雑にも程があります。
ただでさえ見る側に多大な負担を強いてくる割りに、過去作のキャラを戦略なしに登場させるため、過去作のキャラに再会できたという最低限のありがたみも感じません。
ただただ新キャラと過去作のキャラが差別化もされずごっちゃに扱われ、しかも旧作キャラが出ずっぱりのため、全体的にメリハリがなく、終始ダラけて弛緩しており作品に締まりがありません。
特に一話は見るも無残で、キャラデザがなぜか過去シリーズや原作の漫画版よりも古臭い上に、新キャラに瑞々 しいフレッシュさはなく、旧キャラにどっしりとした安定性もなく、視点も取っ散らかり、一話切りさせることが目的なのかと思うくらい絵的にも話的にも退屈で焦点が絞れていません。
主役を立たせるよりも過去作のキャラを次から次に顔出しさせ続けるほうが優先されるという、続編ものの一話の作り方としてはほとんど反面教師のようなずさんさで見ていて苦痛でした。
この過去作の人気に甘えきった出来は、『ドラゴンボール超(スーパー)』とも酷似しており、作品から受ける弛みきった感触が非常に似ています。
軸がブレブレで漠然とした魔法少女による天下一武道会
本作はアニメ制作会社がこれまでのセブン・アークスからA-1ピクチャーズに変更されました。
ですが、どちらもアクション作画を得意とする点は変わらないため、インテリジェントデバイスなど、ギミック描写へのこだわりが後退したものの、アクション部分は最低限の水準は保っています(ただ、激しい空中戦が無いため、なのは感は極めて薄い)。
しかし、話の中心となるインターミドルチャンピオンシップという、ドラゴンボールで言うと天下一武道会のような格闘技の大会は、原作の漫画版とまったく同じ、戦闘中残りライフや喰らったダメージ量が数字で表示されるという、我が目を疑うような映像的処理がされ、その途方もないほどの安易さに呆れました。
スタイリッシュバトルものにしてはデザイン・美術全般がパッとせず、スポ根ものにしてはドラマの作り方が不徹底で雑と、映像面・シナリオ面ともに魅力に乏しく、これといって見所がありません。
ヴィヴィオとアインハルトの運命的な関係性という、どんなドラマチックな展開でも自由自在にやりたい放題の最強の土台があるのに、その部分はほぼ全編ほったらかしで終わるため、序盤の物語への期待値に対して終盤の尻すぼみ感が半端ではありません。
最後に
こんな見切り発車で作られたような、準備不足で何もかもが足りていないリリカルなのはシリーズは見たくありませんでした。
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