エンタメ不感症の患部に巻く包帯

ゲーム、海外ドラマ、映画、アニメなどの、エンタメ作品総合レビューブログ

[アニメ]Charlotte(シャーロット)〈感想・レビュー・評価〉 ヒロイン友利奈緒の存在感がKeyとなる

f:id:chitose0723:20180723152726j:plain

OPアニメーション

 
評価:75/100
 
 

あらすじ

 
 妹を溺愛するシスコン乙坂 有宇おとさか ゆうは、中学生のある日、たった5秒間だけ他人の意識を乗っ取り、自由に体を操れる特殊能力に目覚める。能力を使って散々自分勝手な悪さを繰り返した挙句、カンニングを駆使して名門高校に進学するも、自分と同じように能力に目覚めた者を捜索・保護・監視をしている星ノ海学園生徒会に捕捉される。
 
 能力は思春期の子供にしか使えず、大人になると自然と消えてしまう病気。それゆえ能力が発現した子供への非合法な人体実験が横行し、自然と能力が消える年齢になるまで学園で保護しないと危険なのだと忠告され、有宇は妹と学園に強制転入させられる。自分と家族である妹以外の人間に心を開かない有宇だったが、能力を見込まれ、しぶしぶ星ノ海学園の生徒会の一員として能力者たちの保護に協力する奇妙な学園生活が始まる……。
 

良作の香り漂う序盤~中盤

 
 本作に対する第一印象は「なんだこのルルーシュみたいな主人公とナナリーみたいな妹とギアスみたいな能力が出てくるコードギアスの酷いパロディみたいなアニメは……」でした。どう見てもルルーシュにしか見えないシスコンの主人公が登場し、使う際に瞳がドアップになるという、ギアス以外何物でもない能力発動描写がされ、ひたすら特殊能力を悪用してルルーシュとは真逆の小賢しい悪戯に励むという一話の冒頭は、コードギアスという名作をおちょくっているのかと誤解しました。
 
 この主人公の見た目がルルーシュっぽいことの利点は、(コードギアスを見ていれば)ルルーシュと同じで妹を溺愛しているシスコンという設定を一瞬で飲み込ませる効果が抜群なこと。元が重度のシスコンというイメージが定着するキャラのキャラデザを真似るとシスコン設定が成立しやすくなるのかと、妙な感心を覚えました(多分、リーアム・ニーソンが娘を溺愛する父親役をやったら映画の96時間のイメージを引きずって最初からそう見えてしまうのと似たような効果)。
 
 序盤から中盤は脚本を担当している麻枝准さんの関わる作品にほぼ一貫する作風である、見た目はコミカルな青春ドタバタコメディをやっているのに、背後ではいつかこの幸せな時間も無慈悲に終わりを迎えるであろうという終末の予感に常に支配されており、ほぼ緊張状態が途切れず飽きることなく見続けられました。
 
 若干各回の話の作り込みが足りなくて不満は感じるものの、それでも特殊能力者を仲間と共に探して回り、コミカルな能力を用いて問題を解決していくテンポの良いドタバタ劇は一定の面白さがあります。
 
 ドタバタ劇を稼働させる歯車であり、本作を支える柱となるのはヒロインの友利 奈緒ともり なおの存在感。自分がプレイしたKeyのノベルゲーやアニメのエンジェルビーツなど、麻枝准作品の中でも上位の可愛さと魅力を誇り、正直本作はこのヒロイン一人の力で持っていると言っても過言ではないほど。悩み苦しむ主人公の傍に(文字通り)寄り添い、ベタベタしない距離感で叱咤激励し、自分と妹以外の他者を見下しバカにする、利己的でダメダメな主人公の固く閉ざされた心の扉を開け放ってくれる存在としてこの上ない説得力があります。
 
 ……ただ、ヒロインに魅了され楽しく視聴できていた本作が、中盤以降はこのキャラの出番が回を追うごとに目に見えて減っていき、底の浅い特殊能力設定や、中盤以降に登場するキャラに役割を奪われることで徐々に面白さが崩れ去っていきました。
 

ガンダムSEEDデスティニー化して崩壊していく中盤~終盤

 
 てっきり特殊能力は、Kanonで言うところの舞ルートのようなややシュールレアリスティックなこぢんまりとしたスケールにとどめ、ダメダメ主人公が成長し、他人を思いやれるようになるというテーマやメッセージ部分を際立たせるための物語的な装置程度の手段として割り切って使うのかとおもいきや……中盤以降、何をとち狂ったのか、青春ドタバタコメディが終わり、この特殊能力を中心とするシリアスな話が展開し出し、そのあまりの薄さと浅さにガッカリさせられました。
 
 世界観設定はじめ、主人公たちの使う特殊能力設定は、ディテールがゆるゆるで浅く、とてもこれを前面に押し出して成立させられるほどの質に達していません。
 
 オマケに本作の魅力の大半を占めるヒロインや、今までずっと生徒会の仲間として過ごしてきたクラスメイトたちが、これまでヒロインに陰ながら助言していたある人物とその仲間たちにメインポジションを奪われ終盤ほぼ登場しなくなるため、知らない連中に作品を乗っ取られるかのようで不快でした。
 
 終盤登場するキャラたちは、主人公たち星ノ海学園の生徒会メンバーをアシストしてくれるのではなく、ポジションごと奪ってしまうので、これまでコツコツ積み上げてきたものが事ここに至って崩壊します。特に作品の魅力を一手に担っていたヒロインがほぼ終盤役割がなくなり登場しなくなることで、物語に対して興味が失せてしまいました。
 
 イマイチひねりの無い特殊能力を用いた、大して深みもない、スケール感を出すのに失敗した雑な駆け足展開の終盤は、これまで積み上げてきたもの全てを無に帰し、失望だけを残して終わりを迎えます。特殊能力周りの根本部分の設定が致命的にアイデアと厚み不足なため、たとえ2クールに尺を伸ばしたところで結果はきっと同じだろうと思います。特殊能力は、頑固に他者に心を閉ざす主人公が、他者と心を通わせるキッカケとして機能する、思春期にしか使えないささやかな奇跡程度にとどめておけば良かったのに……と、残念でなりません。
 
 せっかく蒼穹のファフナーのような、OP曲の歌詞が実は本編と連動していて、回を重ねるごとに徐々に歌われている内容の意味合いが理解できるようになるという面白い仕掛けが施されているのに、終盤が酷すぎて、完成度の高いOPアニメーションに本編が貫禄で負けており、勿体ないです。
 

最後に

 
 世紀末オカルト学院フラクタルガリレイドンナ翠星のガルガンティア残響のテロルパンチライン甲鉄城のカバネリ、etc……と、タイトルを挙げ出したら枚挙にいとまがないほどありがちな、映像作品としては良質なのにも関わらず、1クールという尺に合わせたシリーズ構成に失敗し、勘所も押さえ損ない、話がぐちゃぐちゃだったなという消化不良な印象を残して終わっていく1クールアニメの典型。
 
 ただ、あらゆる欠点を許容したくなるほど、麻枝准さんが関わる作品の中でも突出した魅力を放つヒロインの存在感で嫌いにはなれません。
 

余談

 
 悪徳TVプロデューサーを特殊能力で懲らしめるという展開がどことなく水戸黄門などの時代劇っぽいノリなので、そう言えばゲームのクラナドの藤林姉妹ルートも、話から受ける印象が大岡越前の三方一両損ぽかったなぁということを唐突に思い出しました。
 
 
Charlotte(シャーロット) 1 (完全生産限定版) [Blu-ray]

Charlotte(シャーロット) 1 (完全生産限定版) [Blu-ray]