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[レビュー]ゲーム・オブ・スローンズ シーズン6 第六章:冬の狂風 〈感想・評価〉

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トレーラー

 
評価:80/100
 

イントロダクション

 
 全10話。
 
 あらすじ
 
 デナーリス・ターガリエンは、ハーピーの息子たちによる大規模な反乱の際に、ドラゴンと北に飛び去り、そのまま行方知れずとなる。女王の相談役に任命されたばかりのティリオン・ラニスターはデナーリスの不在で荒れ果てたミーリーンを建て直すため、奴隷売買の再開を望みハーピーの息子たちに資金供給する奴隷商人たちとの和平交渉に挑む。
 
 その頃、王都キングズ・ランディングでは、ハイ・スパローを中心とする七神正教の過激派がさらに勢力を拡大し、徐々に手が付けられない存在となっていく……。
 
 ハーピーの息子たちによって内乱の危機に扮するエッソス大陸のミーリーンと、ハイ・スパローに権力を乗っ取られかける王都という、二つの大都市の混乱を中心に話が進む。その他、家族であるサンサ・スタークと合流し、北部総督のラムジー・ボルトンから北部を奪還するべく、スターク家に忠誠を誓った北部諸侯の協力を仰ぐジョン・スノウ。黒と白の館での暗殺者になる修行が大詰めを迎えるアリア・スターク。ブリンデン・タリーによって奪われたリヴァーラン城を奪還するよう命令を受け、王都を離れるジェイミー・ラニスター。ホワイトウォーカーとの決戦に備え、三つ目の鴉を受け継ぐべく手解きを受けるブラン・スタークらの話が並行して語られる。
 
 
 これまでのシリーズの中で最もシナリオに難があり、山場がただ映像任せなだけでほとんど盛り上がらないという重大な欠点を抱える。
 

登場人物たちの一貫しない言動

 
 今シーズンはこれまでのシリーズでも群を抜いて脚本に穴が多く、ところどころ登場人物の言動がおかしく、矛盾を来している箇所が多く目につきます。
 
 特に気になったのは、ダヴォスとジョン・スノウの二人。ダヴォスはスタニス軍の顛末をなぜかちゃんと確認せずにメリサンドルと協力するため、見ているコチラ側と認識が乖離する箇所があり、今まで築いてきた人物像がブレ気味です。てっきりスタニスが取った行動を把握し、納得した状態で不仲なメリサンドルといるのかと思いきや途中で前のシーズンでスタニスがした行いを知り、激怒し出すので「え、今までそれ知らなかったの?」と、若干呆れました。
 
 誰よりもスタニスとその家族のことを心配していたダヴォスが、なんでよりによって今シーズンから急に無関心になるのか理解に苦しみます。一番最初にスタニスの家族の件について尋ね、それをメリサンドルが嘘をついてはぐらかすといった描写をしっかり入れておかないと、この終盤の展開が締まりません。そんなに大切だったと言う割に、スタニスの家族がどうなったのか序盤でしつこく尋ねる描写が無いので、言動が一致していない人物に映ります(なぜかジョン・スノウにするようにメリサンドルに頼んだことを主君のスタニスに対しては求めないのもおかしい)。
 
 それにジョン・スノウも開戦前にサンサにしつこく何度も油断するなと言われたのに、あっさり敵の罠に引っかかって味方の軍に無駄に大損害を出したりと、家族思いを通り越してただの迂闊なバカにしか見えないので、こちらもこれまで築いてきた人物像が揺らいで見えます。来るべきホワイトウォーカーとの戦いには、憎み合っている野人の協力すら必要だから停戦しようと、非常に冷静で合理的な判断で動いてきた人なのに、いきなり激情に駆られて自軍を壊滅に導きかねないことをしたりと、らしくありません。あまりにも味方のことを無視して無謀な行動を取るため、もはやジョン・スノウを応援する気すら失せ、あんなに憎きラムジーと戦っているのに、まったく気分が高揚しませんでした。
 
 せめてラムジーのあまりの残虐さに尻込みする味方の軍勢を、ジョン・スノウの無謀にも映る勇敢さが鼓舞する、といった話し運びでないと、ただのスタニスの二の舞を演じているようにしか見えません。
 

知能指数の低下が止まらない王都の住民たち

 
 前シーズンに続き、今シーズンも王都でのハイ・スパローとの会話は、ほぼくだらないやり取りが多く、延々しょうもない中身が空っぽな宗教の戯れ言説教を聞かされ続け辟易させられっ放しでした。この薄っぺらいキャラに比べたら漫画のベルセルクに出てくる狂信者のモズグスのほうが100倍魅力的です。この人物に狂信者としての存在感が足りないため、ベルセルクでモズグスの狂気に当てられ狂信的な教義に酔っ払ってしまう熱狂的な信者や、狂気に誘惑されるファルネーゼのような説得力もなく、退屈この上ないです。
 
 今シーズンの王都の出来事は本当に見るに堪えないほど無残で、こんなに王都の話が知能指数が低くて苦痛だったのは前代未聞。自業自得でクズの狂信者に権力を奪われるバカバカしさも、ただの優柔不断さと罪悪感に付けこまれ洗脳されるという100回も200回も見たようなありきたりなエピソードも、挙句の果ての無理やりでデタラメな事態の解決法も、どれもまったく付き合いきれません。
 
 どうしようもない、なんちゃって狂信者集団で無駄に話を引っ張り続けたせいで、王都への興味が完全に失せてしまいました。やるならやるでベルセルクくらい狂信者描写を徹底しないと、ただの雰囲気だけで真に迫るものが一つもありません。
 
 今シーズンは全体的にカタルシスを狙っているシーンはこれまでの丁寧な予兆や伏線の描き方とはかけ離れ、単調なだけでほぼ滑っており、グダグダもいいところ。「ハイ、ここが盛り上がりポイントです。勝手に盛り上がってください」と、ただ上っ面だけのスピーチやド派手なCG、合戦シーンを見せられるだけで、映像の迫力ほど胸に響くドラマがありません
 
 9話の合戦シーンはアクションとしては見応えがあるのに、登場人物たちが何を考えているのか丁寧に心情を追ってくれないので、ただアクションの激しさに頼り切っただけの薄味の手応えでした。
 
 敵味方それぞれの痛切な思いがぶつかることで、無類の緊張感を生み、ドラマとアクションが完全に一致していたシーズン4の壁の防衛戦のほうが遥かに手に汗握りました。
 

最後に

 
 ゲーム・オブ・スローンズを見てきて、ここまでストーリーが退屈で、脚本の不出来さに不満を覚えたのは初めてです。これまでの貯めに貯めまくった貯金のおかげで何とか興味は持続するものの、明らかに構成に問題が山積しており、映像の迫力の足を引っ張っています。
 
 アリアが、古い自分を殺し、新しい自分に生まれ変わるという死と再生の通過儀礼的な修行シークエンスは素晴らしかったりと、細かい箇所に注目すれば相変わらず高水準なものの、盛り上がるはずの見せ場シーンはどれもこれも見た目が派手なだけで、ドラマの積み上げが足りずスカスカで、満足度はシリーズでもワーストでした。
 
 ……後、ホワイトウォーカーがナズグルに見えたり、ブランがどう見てもフロドっぽかったりと、やたら指輪物語色が増してきて、これってこのまま指輪物語の終盤っぽい展開に突入していくのか?と若干嫌な予感もします。
 

ゲーム・オブ・スローンズ 各シーズン

 

紅の女

紅の女

 
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