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[レビュー]ゲーム・オブ・スローンズ シーズン4 第四章:戦乱の嵐 後編 〈感想・評価〉

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トレーラー

 
評価:100/100
 

イントロダクション

 
 全10話。
 
 あらすじ
 
 王都ではウェスタロス各地から多数の賓客が招待され、莫大な予算を投じたジョフリー・バラシオンとマージェリー・タイレルの結婚式が始まる。中にはウェスタロス南部のドーンの領主であるマーテル家オベリン・マーテルの姿も。マーテル家は、かつてロバート・バラシオンが狂王エイリス・ターガリエンから鉄の玉座を奪ったロバートの反乱の際に、ターガリエン家に嫁いでいた身内を、ロバートに加勢したラニスター家によって惨殺されたことで、ラニスターを激しく憎んでいた。
 
 ラニスター家・タイレル家・マーテル家と、それぞれが腹に一物ある錚々たる名家が一堂に会し結婚式が進行する最中、ジョフリー王はかねてから毛嫌いする叔父のティリオン・ラニスターに対して公衆の面前で執拗に恥をかかせる。ティリオンの怒りが限界に達しようかという瞬間、結婚式の場が凍り付く悲劇が起きる……。
 
 王都で起こったある事件の犯人に仕立て上げられたティリオンの裁判を中心に、エッソス大陸のブレーヴォスにある鉄の銀行アイアンバンクに戦費を調達しに向かうスタニス・バラシオン。南下する野人たちの種族連合軍の総攻撃が間近に迫る中、壁の防備を固めようと奔走するジョン・スノウ。ハウンドに身代金のための人質にされ高巣城アイリーへ向かうアリア・スターク。ミーリーンを手中に収めたことでエッソス大陸の奴隷商人湾をほぼ支配下に置き、このままウェスタロス大陸に攻め込むか否か悩むデナーリス・ターガリエンらの話が並行して描かれる。
 
 シーズンを重ねるごとにドラマのバトルスター・ギャラクティカにすら匹敵するほど救いが無くなり、息苦しさが増していく。シーズン3よりもさらに中毒性があり、途中で休息すら拒みたくなるほど、話の先へ興味が尽きることがない。
 

助走(序奏)が終わり、もはや勢いを止める術がなくなった悲劇の連鎖

 
 シーズン4まで見ると、実はシーズン1.2と3の前半はドラマは控え目で、どちらかと言うと世界観設定と登場人物たちの紹介や掘り下げなど、作品の厚みを増すための準備に費やされていたということに気付かされます。面倒な説明という助走をあらかた終えてしまい、シーズン3後半から物語は一気に加速し、シーズン4も勢いが衰えるどころかさらに増し続け、途中で視聴を中断することすら躊躇うほど話の推進力が強力です。
 
 これまでのシーズンで中身をぎゅうぎゅうに詰め終えたため、悲劇自体がずっしりと重みを持ち、個々の登場人物たちの身に降りかかる困難を見つめるのが徐々に辛くて辛くて仕方がなくなってきます。
 
 家族がゴミのように虐殺されるのを呆然と眺めるしかできず、激しい拷問で人間性を破壊され尽くし、政略結婚の道具にされ、大義ある復讐は果たせず無残に返り討ちにあい、愛する者には手酷く裏切られ、生まれた時から家族にただただ早く死ぬことだけを望まれ……と、騙され、裏切られ、蹂躙され、破滅し、絶望し、転落し、夢も希望も全てが霧散する、登場人物達を悲劇のムチで打ち据えることを決して止めない、恐ろしいまでに非情な物語は氷のように冷たく、それゆえ時折暗雲の雲間から差し込む一筋の光のように、正義を求める心や自分を救ってくれた主君への忠義愛情友情が何よりも温かく輝いて見えます。
 
 もはや、登場人物全員役者が演じる架空の人物には見えず、この世界でなくとも、どこかでは生きていたのではないかと錯覚させられるほどの実在感を伴い、フィクションであることなど忘れてしまいそうになります。彼ら彼女らの身に起こる出来事を我が事のように感じ、戦や決闘で見知った者同士の不可避の殺し合いが始まると、お願いだからどちらの陣営の者も死なないでくれと願い、気が気ではありません。
 
 最初はただの憎々しい悪人だと思っていた者たちも苦悩・葛藤の描き込みが丁寧で、途中から善人・悪人の区別すらどうでもよくなり、ほぼ全員を好いてしまう……しかし、それゆえに、ひたすら打ちのめされ続ける者たちに叶わぬ救いを求めてしまい、この者たちが悲劇の末にどのような結末を迎えるのか目が離せなくなります。
 

もう麗らかな夏は去り、極寒の冬来る

 
 今シーズンで、シーズン1から謎だった王の手だったジョン・アリン公暗殺の真犯人が判明し、それと同時に誰が王都の混乱を裏で糸を引いて操っていたかが分かり、役者がほぼ出揃った感があります。
 
 シーズン3までの高揚感が混じった序章特有の空気が明らかに変質し、もうこの物語は決して引き返せない、登場人物全員なにかしら今後癒えない傷を負い続ける、止まることが許されない、劇中で言う夏の時代が終わりを迎え、冬の時代に突入してしまったなという悲劇の気配に満ちています。
 
 事態は悪化していく一方なのに、打開策も無く、歯止めも効かず、解決の糸口すら見当たらない、ただただ絶望的な未来しか想像できない破滅的な匂いを発し、作品に狂気が宿りだしました。
 
 シーズン3のふざけた回などは、あそこでふざけておかないともう暗い話一辺倒になるので、タイミングとしては適切だったのかなぁと思い直すほど。
 

不満あれこれ

 
 些細な問題ではあるものの、今シーズンのスタニス・バラシオンの動きが、サスペンス性を高めるためにほとんど瞬間移動のように見えてしまう点。
 
 さっきまでエッソス大陸のブレーヴォスにいたのに、いつの間にかウェスタロス大陸の北部にいたりと、「どうやってあそこからここまで完全に気配を殺して隠密で移動したんだろう?」と、本来だったら衝撃の展開に驚く場面が、疑問のほうが先行してしまいます。
 
 アリアとハウンドがひたすらチンタラ歩いているのに対して、その数百・数千倍の距離を移動しているはずなのに、長距離移動している描写がまったくないので、「光の王って大軍をワープさせる力でもあるの?」と、いらない疑念を抱いてしまいます。
 
 それから、これは欠点というワケではないものの、次から次に怒涛の衝撃展開が重なり続けることもあり、前シーズンで重要そうだった事件がわりとあっさり流れてしまい、「あの件はどうなったの?」とか「あの衝撃的な事件の余波ってこの程度しか描かれないの?」など、驚いた分全体への影響が想像より薄いことに少々違和感を覚える点が気になりました。多分原作小説では本来それほど重要ではない話を映像化する際にうまく脚色し過ぎてしまった弊害だと思います。
 
 後、シーズン3で光の王信仰がじわじわ広がっていくような不気味さが好きだったのに、今シーズンではそんなもの端から無かったかのように一切無視されるので、「あのホラー的な気味の悪さや緊張感はどこに行ったんだろう?」と少々ガッカリしました。
 

最後に

 
 もはや寝ても覚めてもゲーム・オブ・スローンズのことばかり考えてしまう中毒状態に陥り、しばらくはこの状態から抜け出せそうにありません。
 
 相変わらず、中毒性と奥深さを両方備えた奇跡の完成度は揺るがず!!

ゲーム・オブ・スローンズ 各シーズン

 

二本の剣

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