エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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[レビュー]スターウォーズ 最後のジェダイ 〈感想・評価〉

トレーラー

 
評価:65/100

短評

 
 穴だらけの欠陥脚本、緊張感皆無のアクション、見せ場シーン以外ほとんど適当なだけの演出・撮影と、もはやポンコツSFアクション映画と化してしまった感すらある、長所よりも短所のほうが目立つ問題作。
 

志とは反し、映画の完成度としてはフォースの覚醒より大幅に後退

 
 本作は全体的に驚くほど演出にムラがあり、予算をかけた豪華なCG、美しいロケ地の景色、奇抜なイメージ(合わせ鏡?のレイなど)のような、注意を引くような視覚情報で誤魔化せていない全ての画面の作りが安易です。スターウォーズっぽい画面を再現するだけで精一杯だったのか、ただ役者を立たせ、計算もなく手間もかけず雑に撮っただけ・・・・・・という、まったく画面の構図選びに苦心した気配すらない、ぶっきらぼうにもほどがあるような場面が多々あり、映画を見始めてしばらくは、あまりにも工夫がない安っぽい絵面だらけでスターウォーズを見ているんだと脳が認識してくれないほどでした。この、安易な絵面を避けるためにどれだけ画面設計に心血を注いだかという跡が作品から窺えないとスターウォーズ感が極めて薄い気がします(前作のフォースの覚醒からはバリバリ感じられた)。
 
 力の籠ったビジュアルも、シーンの流れにいまいち溶け込んでおらず、ただただこれ見よがしな美しさだけ強調してくるのみで、退屈な展開から目をそらすための目くらまし程度の役割が限界。総じて予算を掛けた箇所は脚本の不備や演出のヘタさ、撮影の適当さの尻拭い程度にしか機能していないため、掛けた金額に対する費用対効果が低すぎるように思います。
 
 終始低レベルな脚本・演出・撮影を大予算で作った見た目豪華なだけの映像で誤魔化し続けるだけなので、退屈で眠くて眠くて仕方がありませんでした。
 
 ここら辺はスタートレックを見事リブートして見せたのと同様、ノスタルジー要素まみれなものの、フォースの覚醒を確かな手腕で職人監督的にキッチリ優れた映像作品に仕上げていたJ・J・エイブラムス監督と比べると雲泥の差。フォースの覚醒は見るからに気の抜けたような部分はなく、隙のない引き締まった見事な仕上がりだったので、続けてこのゆるゆるな出来の映画を見ると作り手の力量の差が残酷なほど顕著に際立ってしまいます。
 
 本作の監督であるライアン・ジョンソン作品ではぶっちぎりでブリックが大・大・大好きですが、このブリックでやっていたような己の映像美意識を強引に押し通すかのような、自分が映画の定石に合わせるのではなく映画を自分の映像センスに無理やり引き寄せるという手法が雇われのスターウォーズでは一切使えず、監督の苦手とする正攻法なテクニックばかり要求され、ただただ演出家としての基礎部分の足腰の弱さや不器用さばかりが露呈してしまうという残念な結果に。
 
 前作からどうでもいいくだらない謎を丸投げされ、その処理をしなければならなかったという部分と、エピソード9へ繋げるためひたすらレジスタンスを追い詰めなければならないという三部作の中間ゆえの縛り部分に同情の余地はあるものの、ブリックやルーパーのような素晴らしい映画を撮れるような監督でさえ自身の持ち味と撮る題材が噛み合わないとこうまでボロボロな作品になってしまうのかと、作り手と題材の相性の大切さを痛感させられました。
 

スターウォーズの新生・・・・・・というよりディズニー仕様への乱暴な変更

 
 プリクエル(エピソード1~3)でパルパティーンが銀河共和国を巧妙に乗っ取り帝国化したように、過去の歴史を焼き捨て、今作で一気にスターウォーズのディズニー帝国仕様への移行が進んだように見えます。
 
 劇中で主張されるメッセージやキャスティングの方向性の数々はそのことごとくがディズニーが言って欲しいこと・やって欲しいことそのもので、ライアン・ジョンソン監督はディズニーという最高指導者に操られているのかと思うほど従順。
 
 本作を見る前にエピソード10~12というもう一つ先の新三部作の監督にライアン・ジョンソン監督が決定したと知った時は「新三部作を任せたいと思うほどそんなにエピソード8が素晴らしかったのかな?」と思いましたが、実際見てみたら「え? なんでこの程度の出来にしか仕上げられない人に新三部作を任せることにしたんだろう?」と疑問が生じる結果に。
 
 ただ、ディズニーにとって自分たちの主張を最大限汲み取ってくれる、フォースのディズニーサイドに堕ちつつあるライアン・ジョンソン監督は重宝な監督なのかなぁと考えると合点もいきます。
 

最後に

 
 過去を切り捨てて新しいもの(ディズニーによるディズニーのためのスターウォーズ)を作るというコンセプトに走り過ぎた結果スターウォーズブランドに深い深い傷を付けてしまったかなり危うい一作。
 
 鬱陶しいだけの旧三部作オマージュ部分以外は非常に映画として完成度の高かったフォースの覚醒に対して、スターウォーズとタイトルに付いていなければ見ない程度の凡作でしかないローグワン、見るのがやや苦痛な最後のジェダイ・・・・・・作れば作るほどどんどん目に見えて作品の質が落ちていく一方なので、別段スターウォーズファンではないものの、このシリーズは大丈夫なのかと今後が心配になってきます。
 
 あんなに旧三部作オマージュまみれで辟易させられたフォースの覚醒のほうが遥かにマシだったと思えるほど期待外れな作品。
 

スターウォーズシリーズ