えんみゅ~ -えんためみゅーじあむ-

アニメ、映画、海外ドラマ、ゲームなどのエンタメ作品総合レビューブログ ※グローバルメニューは左上です

えんみゅ~

ディビジョン 〈レビュー・感想〉 ニューヨーク マンハッタン島という超巨大な狩り場

f:id:chitose0723:20190523191708j:plain

トレーラー

 
評価:90/100
 
作品情報
ジャンル
オープンワールド
 ハクスラ RPG TPS
発売日(日本国内)
2016年3月10日
開発(デベロッパー)
Massive Entertainment
開発国
スウェーデン
ゲームエンジン
Snowdrop

メモ

 
・オフ専なので、ソロプレイのみ
 

短評

 
 コンセプトやディビジョンたちのデザインセンスの素晴らしさなど、史上希に見るほどの大傑作になれたかもしれない可能性を秘めていたのに、ただの凡庸なゲームに落ち着いてしまった悔やまれる出来。
 
 アップデートによって追加されたマンハッタン全体が狩り場となるワールドクラス制によって、最後の最後で化けて見せるも、本編のつまらなさは擁護できないほど酷い。
 

ハクスラというジャンルの適応範囲を大幅に広げる画期的な試み

f:id:chitose0723:20180503012109j:plain
 
 本作は、ウィルスのパンデミックにより封鎖されたニューヨークのマンハッタンを舞台に、敵を倒した際にランダムでドロップされるレア装備を次々に交換していくハクスラを中心に据えたRPG(成長)要素のあるシューティングゲームです。
 
 ハクスラ部分の作りは、『ディアブロ3』の影響が濃く、装備できる武器がレベル制(本編のみ)で、戦闘中に任意で使用できるスキルに好みのMOD(追加効果)が設定できること、レベルが上がるとタレント装備スロットが解放されていく部分や、不必要な装備を解体するとクラフト用の素材になり、それをリサイクルし新しい装備をクラフトする部分など、ほとんどディアブロ3そのものです。
 
 ディアブロ3以外にも、『ボーダーランズ』的なハクスラとRPGシューターの混ぜ方や、『デッドスペース』を意識しているっぽいキャラクターの前面にUIが展開されるデザインや、クラフト用の素材入手ポイントに定期的に素材が補充される部分がソーシャルゲームのログインボーナスのような仕様だったりと、様々なゲームの影響が見受けられます。
 

 
 デッドスペースのような傑作ゲーム群からの様々な影響の受け方や詰め方がスマートな点も優れた要素なものの、それよりも凄いと思ったのはボーダーランズという先行して存在する似たジャンルの傑作とはまるで異なるアプローチを取っていることです。
 
 ドルインフル(人工的に改良された天然痘)によるパンデミックによって隔離された街という舞台設定を生かし、臨時の復興拠点となる施設である郵便局の復旧作業と連動するように成長要素やハクスラが置かれており、ハクスラ単体の刺激のみに頼った作りをうまく回避し、舞台設定と自然に関連付けができています。
 
 郵便局が復旧していくごとにスキルやそれを強化するMOD、タレント(セットしないと効果を発揮しない効果)やパーク(一度取得してしまえば、セットしなくても自動で永続的に発揮し続ける効果)が解放されていき、それに合わせて入手した装備を組み合わせ、自分好みのセッティングをしていくという流れは、ハクスラがただのハクスラから、舞台設定とシステムを呼応させる次世代のハクスラに至ったのだという感動がありました。
 
 自分としては、このくらいの巨大な規模の、かつリアリティラインの高めな作品でも大好きなハクスラという要素がしっかり機能するということを証明してくれただけでも賞賛したいくらいです。
 
 パブリッシャーはUBIで、開発はUBIではなくスウェーデンのMASSIVE(マッシブ)ですが、ほとんどUBIのゲームへのスタンスと似ており、正直見分けがまったくつきません。
 
 ・・・・・・ただ、ワガママを言えば、もう少しハクスラそのものにも意味を付加させて欲しかったです(武器商人が大量の改造武器をばら撒きまくって性能差が極端な武器があちこちに出回っている、など)。
 

空虚さが目立つマンハッタン

 
 本作で最も惜しいと感じるのは、肝心の舞台となるニューヨークのキャラクター化の失敗です。
 
 ただ単にパンデミックによって崩壊した後のニューヨークの街並みを丹念に作られたグラフィックで見せられるだけで、視覚的には贅沢なものの、興味の持たせ方としては物足りず、この街についてもっと知りたいという好奇心を刺激してはくれません
 
 

f:id:chitose0723:20180502212641j:plain

 

f:id:chitose0723:20180502212702j:plain

 

f:id:chitose0723:20180502212209j:plain

 

f:id:chitose0723:20180503012050j:plain

 

 主人公はニューヨークに派遣される第二波のディビジョンエージェントで、ほぼ壊滅状態の第一波のエージェントたちの中には街や市民を救うという使命を放棄し裏切る者もいるなど、映画の『地獄の黙示録』(もしくはその影響が強いゲームの『スペックオプス:ザ ライン』)っぽいことをやろうとしている節があるものの、これがなぜか本編では完全ほったらかしなので、話にも興味が湧きません。
 
 この部分を軸にして舞台設定を調整したらまだ物語的なサスペンスが生じる余地もあったと思いますがそれも叶わず。
 
 パンデミックによって封鎖されたという割にまったくウィルスによる汚染をゲーム的に表現する気がなく(せいぜい汚染エリアに侵入するのに郵便局をある程度復旧させ、フィルターレベルを上げなければならないといった程度)、『フォールアウト』シリーズにおけるガイガーカウンターのように、危険地帯に近づいているということをもっと体感的に表現して欲しかったです。
 
 マップのそこら編にパンデミック発生時の混乱を垣間見ることが出来るエコー(過去の出来事をAR?で再現したもの)や、音声データやらが配置されており、それを回収することで一応事件の発端を覗けるものの、ただ本編が薄いことの言い訳にしか見えず、物足りないです。
 
 昔の『バイオハザード』のようにファイルに謎解きのヒントが隠されており、先に進むため片っ端からファイルを読んでヒントを探しているとそこに事件発生時の状況が書かれていたり、関係者の日記が読めたりと、自然と事件への理解が深まるといった、ゲームプレイにドキュメントを読むという行為を組み込んでいるならまだしも、本筋とは一切関係ない独立したドキュメントをただあちこち回収して回る行為に意味があるとはまったく思えません。
 
 現状は『アサシンクリード』のようにフィールド内の全建物に昇れてパルクールで駆け回ることが出来るというアクション的な手触りもなく、ただ贅沢に金をかけて見た目が超豪華なだけの、オープンワールドが目的化しているゲーム以上の印象がありません(ハクスラやトレハンのためにうろつくダンジョン的な場所としては贅沢過ぎますが)。
 

アップデートにより追加された、ワールドクラスという衝撃のエンドコンテンツ

 
 このゲーム発売直後に一度クリアしていたものの、その時は本編だけで疲れ果て(ソロプレイでやると中盤以降は敵が固すぎて拷問のようなバランスになるため)、そこで止めてしまっていました。
 
 ですが、その後にアップデートされてエンドコンテンツが大幅に拡充されたという情報を聞き、再び最初からプレイし直すことにしました。
 
 今度はレベル30のカンストまでやり、アップデートにより追加されたワールドクラスという街中の全エリアを徘徊する敵が最高レベルに統一され、どの敵も最上級の装備をドロップするようなバランスになるモードに切り替えたら・・・・・・
 
 
 なんと、世界が激変!?
 
 
 ワールドクラスになると街中のただのザコ敵でさえ強力な装備をガンガンドロップするため見る見るうちに装備が強化されていきます。
 
 そのため、あんなに固くて高火力でほぼ出合い頭に瞬殺されるばかりだった敵が、入手した直後の銃の試し撃ち用の動く的みたいな存在になり、街をただ徘徊して装備を充実させていくのが楽しくて楽しくて止められなくなりました(本編で敵の固さに苦労させられたご褒美に感じる)。
 
 ワールドクラスはレベルが廃止され、ギアスコアという装備に設定されたスコアが強さの基準となります。
 
 スコアの高い装備を集め一定のギアスコアまで達すると、1~5まであるランクを手動で上げられ、ランクを上げると敵がさらにスコアの高い装備を落とすようになる、という流れをランク5まで繰り返します。
 
 

f:id:chitose0723:20180502204151j:plain

右下の271というのがギアスコア

 

f:id:chitose0723:20180502204129j:plain

 
 本作が凄いのは、これが特定のダンジョンなどを潜らないといけない、などというプレイエリアの縛りがない点です。
 
 オープンワールドの全エリアどこでもザコ敵から最強クラスの装備を集められるため、ただミッションの目的地まで素通りするだけの弱い敵しか出現しないエリアですら最強の装備を狙える狩り場と化し、存在感が増します。
 
 さすがにワールドクラスのランク5まで行くとただのザコ敵からドロップする武器では物足りなくなりますが、それでもレベルは上がらないものの、経験値を一定量集める度にキャッシュというレア装備とフェニックスクレジット(ワールドクラス以降に主に使用するお金)が貰えるアイテムが手に入るため、やはりブラブラしているだけでもある程度は楽しめます。
 
 ニューヨークの街演出が空虚だと前述しましたが、ワールドクラスになるとこの街が超贅沢な世界最高のオープンワールドダンジョン化するので、クリアするまで感じていた不満があらかた吹っ飛んでしまいます。
 
 冗談抜きで本編よりもクリア後のワールドクラスに移行した後のほうが楽しさが10~20倍ほど上昇するため、あんなに不満たらたらだった本編、延いては本作そのものへの印象が180度変わってしまいました。
 
 ここまでアップデートによって別物級にまで変貌されてしまうと、他のゲームの感想で何回かディビジョンはハクスラなのに中毒性がイマイチと書いていたのに、それが覆り困ってしまいます。
 

不満あれこれ

 
 全編通して一番辛かったのは、『コールオブデューティー アドバンスドウォーフェア』でも同じ欠点に悩まされた、遮蔽物の陰に隠れた敵を強調表示させる機能(CoD AWではグレネードや光学機器、こちらはスキル)を際立たせるためか、とにかくカバー状態の敵が豆粒のように小さくて見え辛く、ストレスばかり溜まる点です。
 
 このような作り手が押し付けたい特定のシステムのため、プレイヤー側に大きな負担を強いてくるような作りは本当に止めて欲しいです。
 
 一応スキルを使用すると敵の居場所が丸分かりになり有利に戦えるものの、逆にスキルを使わないと敵がいる方向は表示されても、目を凝らさなければ姿が見えず、ストレスのほうが圧倒的に勝ってしまいます(ノーマルスキルは二つしかセットできず、変更にやや手間取る)。
 
 自分は視力が悪いので、室内の暗い場所や広けた場所で遠くにいる敵などは姿がまったく見えず、敵がいるっぽい場所(レティクルの色が変わる場所)にひたすら当てずっぽうで弾をばら撒いたり、オートで敵を攻撃してくれるスキルや敵を足止めするスキルがクールダウンするのをひたすら長時間待ったりと、無茶苦茶な戦い方をしなくてはならず辛いです(本編ではちょっとでもカバー状態から出ると瞬殺されるため、敵に接近することやスコープで狙うことすら容易ではない)。
 
 敵の居場所を常にプレイヤーにサーチさせたいなら、クールダウンに時間が掛かり連続使用できないスキルではなく、もっと手軽にいつでもサーチできる機能をデフォルトで入れて欲しかったです。
 
 シューターをやる際は基本オートエイム設定は切るようにしているものの、本作は遠くの敵の姿がまったく見えないのでやむを得ずオートエイムに頼った戦い方をしなくてはならず、不満でした。
 

最後に

 
 クリア(厳密にはクリアはないのでメインミッションを全て終える)まで約30時間強。その後さらにレベルを30まで上げてカンストさせるのにプラス数時間ほど。
 
 ハクスラがその真価を発揮するワールドクラスに移行するまで計35時間ほどかかるので、そこまで辿り着くのは辛いものの、一度味わうと作品評価が劇的に変わるため、払う労力に見合った価値は十分過ぎるほどあります。
 
 ワールドクラス解放以降の中毒性を序盤から安定して発揮できていたら究極のハクスラゲームとして歴史に刻まれていたかもしれない非常に惜しい一作。