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【海外ドラマ】『ブラックリスト シーズン1』| レビュー 感想 評価

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評価:75/100
作品情報
放送期間(アメリカ) 2013年9月~2014年5月
話数 全22話
アメリカ
ネットワーク NBC

ドラマの概要

 
この作品は、サスペンスドラマ『ブラック・リスト』シリーズのシーズン1です。
 
基本はレッドの提供するブラックリストの犯罪者(ブラックリストと一切関係ない犯罪者の回もある)を捕まえる1話完結型のストーリーを軸としながら、各々の事件は裏では繋がっているという、1話完結型でありながらストーリーの連続性もあるという作りが特徴です。
 
似た構造の作品を挙げると、アニメの『攻殻機動隊S.A.C.(スタンド・アローン・コンプレックス)』です。
 
しかし、結局は一話完結型の話は薄味で、個々の事件が終盤で繋がっても大して盛り上がらないと、出来はイマイチでした。
 

あらすじ

 
元アメリカ海軍のエリートでありながら謎の失踪後アメリカを裏切り、世界を股に掛ける犯罪のコンシェルジェとして名を馳せたレイモンド・レディントン(通称レッド)。
 
そんな裏社会のあらゆる犯罪情報に精通するレッドがある日突然FBIに出頭。アメリカ政府ですらその存在を把握していない世界的大物犯罪者の名簿ブラックリストを提供するのに、自分とFBIの窓口としてなぜか新米プロファイラーであるエリザベスを指名し・・・。
 

事件は繋がっている

 
本作は1話完結型のスタイルをベースにしつつも、話はずっと繋がり続けるという珍しい構造をしています。
 
ただ、各話の描き込みが浅すぎて、一見関連が無さそうなそれぞれの事件が実は裏で繋がっているのが分かるという展開にそれほど驚きもありません。
 
問題は多数あり、まずそもそもブラックリストの犯罪者がレッドと同格級のバケモノとしてさほど強調されず、一部の犯罪者を除きほぼ1話であっさり片付いてしまうこと。
 
本来ならブラックリストの犯罪者は世界規模の影響力を持っている一人一人が天才の怪物で、レッドはその連中よりさらに一枚上手の大物となるべきなのに、敵が小者すぎてうまくスケール感が出せていません。
 
さらに、シーズン通して引っ張る大きな謎に関するエピソードを1話完結スタイルの話の途中に無遠慮にねじ込んでくるため、結果、個々の事件のディテールが犠牲となり、どっちつかずな印象になりがちです。
 

サスペンスドラマとしては完璧に近いいくつかの導入部

 
本編のストーリーはやや薄味なものの、驚かされたのがいくつかの話の冒頭が、サスペンスドラマの導入としては大変優れていたことです。
 
秀逸なのは4話・7話・8話・12話で、特に7話と8話は本編へ興味を誘導する導入としては100点に近いため、ここだけ何度も巻き戻して見入ってしまいました。
 
7話冒頭の静から動への巧みな反転や、8話の親子の温かみが宿るラグビーボールのゆるやかで優しい放物線を描く落下から一転して暴力が垂直に降ってくる縦の落下運動の繋ぎ方は見事としか言いようがありません。
 

最後に

 
レッドの吹き替えの大塚芳忠さんの演技が『24』シリーズのジャック・バウアーの小山力也さん級のハマり役で素晴らしいとか、やはりあらゆる犯罪に精通している犯罪コンシェルジェがFBIと手を組んで同業者を潰していくというストーリーは魅力的など、魅力は多数あります。
 
ただ、細部がイマイチな脚本・こだわりが足りていない演出・効率よくテキパキ処理しただけのような味気ない撮影と、作品の根幹の土台部分がどれも盤石と言える程の強度がないため、どこかがダメというよりかは全体的にパワー不足で物足りませんでした。
 
 

 

 
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