エンタメ不感症の患部に巻く包帯

ゲーム、海外ドラマ、映画、アニメなどの、エンタメ作品総合レビューブログ

[レビュー]アサシンクリード ユニティ(steam版) 華やかなり巴里 〈感想・評価〉

プレイ動画

 
評価:80/100

メモ

 
・解像度はフルHD(1920×1080)でプレイ
・オフ専なのでオンライン要素はやらず、シングルプレイのみ
 

短評

 
 これまでのシリーズを全て過去にしてしまうほどの桁違いに進化したグラフィックで描かれるフランス革命時のパリの街並みは圧巻。
 
 しかし、ストーリーは退屈で味気なく、余韻が薄い。操作性も4やローグから大幅に後退してしまったため、ステルスアクションゲームとしてはやや苦しい面がある。
 
 

f:id:chitose0723:20180409183626j:plain

美麗すぎて困惑するグラフィック、不出来すぎて困惑するステルスとチャンバラ

 
 ゲーム開始直後、シリーズ中でもぶっちぎりの美しさで再現されたフランス革命に沸き立つパリの街並みに目を射られ、しばらくメインミッションは完全無視して、パリの街を当て所もなくひたすら彷徨い歩いていました。
 
 3の北米、4のカリブ海、ローグの北米&北極と、人工物よりも自然豊かな景色が目立つ舞台が続いたためギャップもあるのか、都市の過剰とも思えるほどの作り込まれた建物や群衆に感動すら覚え、しばらく放心状態でした。
 
 クリア後に比較のために歴代シリーズをさらっとプレイし直すと、やはりユニティの後だと過去シリーズはどの作品も画面が安っぽく見えてしまい、街を歩いてもワクワクせず、もう過去シリーズを新鮮な気持ちでプレイすることはできないなと寂しくなりました。
 
 
f:id:chitose0723:20180107113601j:plain
 
f:id:chitose0723:20180107113531j:plain
 
 
 アサシンクリードシリーズに限らず、これまでやったオープンワールドゲームの中でも、細かい比較はせず、単純にプレイ中の体感だけで言えば間違いなくトップクラスの美しさで、この王族の放蕩を体現するかのような華美なビジュアルには、細かい欠点にはなるべく目をつぶりたくなるほどの魅力があります。
 
 もちろん、アサシンクリードなのでただ綺麗な街並みを遠目で眺めて終わりではなく、視界に映るほぼ全ての建物に登ることが可能で、その作り込まれた建物の壁や屋根をパルクールで走破できることの快感はシリーズでも突出しています。街の作り込みの手間暇がパルクールからもたらされる快感にダイレクトに反映されるのでアクションゲームとして無駄がありません
 
 さらに、4以降ではもはや当たり前となってしまった街中で突然人を殺しても周りが一瞬ざわつくだけで、特に何の問題も起こらずスルーされるという不自然さをフランス革命で混乱しているパリという設定をゲーム的にうまく利用することで誤魔化せているのにも感心させられました。そこら中で暴動が起こり、民衆や過激派、兵士の間で小競り合いが頻発しているという状況なので、敵を暗殺して死体が街中に転がっていても、暴動に紛れてしまいさほど不自然に見えないというメリットがあります。
 
 システム的には主人公のアルノが所有するカフェの収入が定期的に金庫に振り込まれたり、お金を貯めてひたすら武器や防具を強力な物に買い替えていったりと、かなり2ライクな内容です。システム周りが2返りしている影響か、フリーラン操作も3以降の壁に向かってスティックを倒せば勝手に登る仕様ではなく、シリーズ初期のボタンを押して初めて壁を登れるタイプに戻され、プラス高所から降りる際も割り当てられたボタンで落下を制御する仕様に。
 
 ただ、グラフィックの魅力は素晴らしく、舞台設定のアサシンクリードシリーズとの親和性の高さはシリーズの中でも突出していて、システム周りもさすがに完成度の高い2ベースのため非常に快適なのですが、本作最大の問題は過去シリーズから大幅に退化した操作性の極悪さです。どうやってもレスポンスが悪すぎてまともに動いてくれない上に、チャンバラのモーションはふざけているのかと思うほどとろくなり、3のコナーのトマホークさばきや、4のエドワード、ローグのシェイの華麗な二刀流が懐かしくなります。
 
 スターウォーズで例えると、オビ=ワンのライトセーバーさばきがエピソードⅠのダース・モール戦から、突然エピソードⅣのダース・ベイダー戦になってしまったかのようです。
 
 操作性が悪すぎてまともに動かせないため、戦闘だけでなくステルス周りもストレスだらけです。今作から暗殺ミッションは同じくステルスゲームであるヒットマンシリーズのような、そこそこ広いエリア内にいるターゲットをごり押しで暗殺してもいいし、エリア内のギミックを利用して敵を陽動し、テクニカルに暗殺してもいいしと、プレイヤーがある程度自由に潜入ルートや暗殺手法を決められるようになりました。
 
 その作り自体は別段構わないのですが、問題は操作性が歴代シリーズでも最低クラスなのにも拘わらず、4やローグに比べると敵AIの感知性能を大幅に向上させてしまったこと。
 
 さすがにここまで操作性が悪化するなら多少考慮はしてくれないと、ちょっとした操作ミスで即発見されるのでイライラばかりさせられます。4やローグは操作性は良いのにステルスの難易度がゆるゆるで不満でしたが、今度はステルスのアプローチは良いのに操作性やバランス調整がイマイチと、結局ステルス周りに不満が多いという点は変わらず。一応アイテムを駆使し、力任せのごり押しでクリアしてしまうことも可能なので、クリアできず難儀させられることはないのが不幸中の幸いです。
 
 アクション性やグラフィックの比較のためにクリア後に過去作を一通り軽くプレイし直しましたが、Xbox360版の3のほうが今作よりも2倍近くキビキビ動くので「これは動かしていてストレスしか溜まらないはずだ・・・・・・」と、アクション周りの体感的な不満に納得。
 
 アサシンクリードシリーズは、革新的だったパルクールや小気味よいチャンバラ、3の船の操舵、4の海賊行為など非常に斬新で良質なアクション体験の宝庫であり、それを生み出すUBIも優れたアクション美学を持つ、優秀なアクションゲーム屋でもあるのに、今作は安定のパルクール以外は珍しくアクション周りがボロボロ過ぎて目もあてられないのでガッカリです。
 
 

f:id:chitose0723:20180107113505j:plain

 

f:id:chitose0723:20180107113520j:plain

 

f:id:chitose0723:20180107113550j:plain

 

f:id:chitose0723:20180107113613j:plain

バスティーユ牢獄

切ない余韻はどこへ消えた?

 
 舞台となるパリの街並みは美麗で見入ってしまうほど魅力的ですが、デズモンドが登場しなくなり、現代編がただのやっつけになった4やローグと同様、物語や余韻は相変わらず淡白そのもの。
 
 2や3は物語がドラマチックに輝いており、ふとこのアサシン達は遺伝子に足跡だけを残し、すでにこの世を去っているのかと思うと切なくなりました。それは過去と現在の橋渡し役でもあるアサシン達の子孫であるデズモンドがいたおかげもあり、時の支配者や権力者と結託するテンプル騎士団から人知れず自由を守り、その強い意志が現代へ繋がるという、歴史ものとして非常に品の良い余韻が残り、それが魅力的でした。
 
 しかし、4以降はこの過去のアサシン達の奮闘を現代に着地させる設定が用意されていないため、過去の行いが現在と繋がっているという実感が希薄で、勿体ないです。アクションを美の境地にまで進化させたアサシンクリードらしく、他の歴史ものと一線を画する、物語・世界観設定だけでなく、過去と現在が時代を超えてパルクールというアクション体験を通じて交わる、歴史の連続性をアクションを通じて表現するという、アサシンクリード独自の美しい手法が味わえないのは残念です。
 
 あまりにも過去編ばかりに力を入れ過ぎて現代編を疎かにしているせいで、過去編の印象まで薄れてしまうという悪影響が出ているので、もう少し過去のアサシン達の想いを現代へ届ける役割を担う重要な現代編にも力を割いて欲しいです。
 
 後、ストーリー部分の細かい不満をいくつか挙げると、フランス革命時のパリが舞台というので、てっきり3のアメリカ独立戦争のようにガッツリ歴史に絡むスケールの大きい話なのかと思いきや、実はフランス革命そのものは割と背景に過ぎず、フランス革命を横目で眺めながらテンプル騎士団の内輪揉めに端を発した話が続くので、やや肩透しを喰らった感があります。
 
 それと、一応育ての親の仇を討つという体なのに、事件に関わる者や仇を暗殺してもただテンプル騎士団の内情を説明するどうでもいいムービーが流れるだけで、主人公のアルノと対象の間で別段会話が交わされることもなく、まったく話が深まらないという演出的な不備もどうにかならなかったのかと不満です。
 

最後に

 
 クリアまで約25時間ほど。
 
 アクション周りはパルクールだけ相変わらず楽しく、それ以外の戦闘やステルスは不満だらけですが、悪い印象を根こそぎかき消してしまうほど、狂気的なまでの18世紀後半のパリの街並みの作り込みや、常軌を逸した群衆の波の迫力、そしてその魅力的な舞台をパルクールで駆け抜けられる体験は衝撃だったので、これが味わえただけでも自分としては大変満足でした。
 
 序盤に間違ってDLCのデッドキングスを始めてしまい、メインの舞台であるサン=ルイ島への戻り方が分からず途方に暮れ、しかも本編終了後の時間軸なのでネタバレしまくりで泣きそうになるというトラブルに見舞われましたが、見知ったサン=ルイ島に戻ってこれた時は本当に嬉しくて嬉しくてよりこの舞台への愛着が増したので、結果的にはいい思い出になりました。
 

余談

 
 これまでアサシンクリードシリーズへの大きな認識変化を数回経てきたので、3の感想などを今読み返すと現在の自分の感覚とかなりズレていて驚かされます。特にアニムスの設定や演出に対して現在は非常に肯定的なため、否定的に書かれているのを読むと自分が書いたものなのに、他人の感想を読んでいる様な錯覚を覚えるほど。
 
 シリーズをやればやるほど作品としての深みに感銘を受け、UBIのアクションや表現への美意識の高さに感服させられるばかりです。
 

アサシンクリードシリーズ

実写映画版

 

ユービーアイ・ザ・ベスト アサシン クリード ユニティ 【CEROレーティング「Z」】 - PS4
 
アサシン クリード ユニティ - XboxOne

アサシン クリード ユニティ - XboxOne

 
アサシン クリード ユニティ(日本語版) 通常版[ダウンロード]

アサシン クリード ユニティ(日本語版) 通常版[ダウンロード]