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アサシンクリード ユニティ 〈レビュー・感想〉 華やかなり巴里

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プレイ動画

 
評価:80/100
 
作品情報
ジャンル
オープンワールド
ステルス アクション
発売日(日本国内)
2014年11月20日
開発(デベロッパー)
Ubisoft Montreal
開発国
カナダ(UBIの本社はフランス)
ゲームエンジン
AnvilNext 2.0

短評

 
 これまでのシリーズを全て過去にしてしまうほど、桁違いに進化したグラフィックで描かれるフランス革命時のパリの街並みは圧巻。
 
 しかし、ストーリーは退屈で味気なく余韻が薄い。
 
 操作性も4やローグから大幅に後退してしまったため、ステルスアクションゲームとしてはやや苦しい面がある。
 

美麗すぎて困惑するグラフィック

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 ゲーム開始直後、シリーズ中でもぶっちぎりの美しさで再現されたフランス革命に沸き立つパリの街並みに目を射られ、しばらくメインミッションは完全無視して、パリの街を当て所もなくひたすら彷徨い歩いていました。
 
 3の北米、4のカリブ海、ローグの北米&北極と、人工物よりも自然豊かな景色が目立つ舞台が続いたためギャップもあるのか、久しぶりの過剰とも思えるほど作り込まれた建物や群衆に感動すら覚え、しばらく放心状態でした。
 
 クリア後に比較のために歴代シリーズをさらっとプレイし直すと、やはりユニティの後だと過去シリーズはどの作品も画面が安っぽく見えてしまい、街を歩いてもワクワクせず、もう過去シリーズを新鮮な気持ちでプレイすることはできないなと寂しくなりました。
 
 
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 アサシンクリードシリーズに限らず、これまでやったオープンワールドゲームの中でも、細かい比較はせず、単純にプレイ中の体感だけで言えば間違いなくトップクラスの美しさで、この王族の放蕩を体現するかのような華美なビジュアルには、細かい欠点にはなるべく目をつぶりたくなるほどの魅力があります。
 
 もちろん、アサシンクリードなのでただ綺麗な街並みを遠目で眺めて終わりではなく、視界に映るほぼ全ての建物に登ることが可能です。その作り込まれた建物の壁や屋根をパルクールで走破できることの快感はシリーズでも突出したものがありました。
 
 街の作り込みの手間暇がパルクールからもたらされる快感にダイレクトに反映されるのでアクションゲームとして作りに無駄がありません
 
 さらに、4以降ではもはや当たり前となってしまった街中で突然人を殺しても周りが一瞬ざわつくだけで、特に何の問題も起こらずスルーされるという不自然さをフランス革命で混乱しているパリという設定をゲーム的にうまく利用することで誤魔化せているのにも感心させられました。
 
 そこら中で暴動が起こり、民衆や過激派、兵士の間で小競り合いが頻発しているという状況なので、敵を暗殺して死体が街中に転がっていても、暴動に紛れてしまいさほど不自然に見えないというメリットがあります。
 
 
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不出来すぎて困惑するステルスとチャンバラ

 
 システム的には主人公のアルノが所有するカフェの収入が定期的に金庫に振り込まれたり、お金を貯めてひたすら武器や防具を強力な物に買い替えていったりと、シリーズの中では2に似た内容です。
 
 システム周りが2返りしている影響か、フリーラン操作も3以降の壁に向かってスティックを倒せば勝手に登る仕様ではなく、シリーズ初期のボタンを押して初めて壁を登れるタイプに戻されました。プラス高所から降りる際も割り当てられたボタンで落下を制御する仕様になり、操作感覚がやや異なります。
 
 全体的には、グラフィックは素晴らしく、舞台設定とゲーム性との親和性の高さはシリーズの中でも突出していて、システム周りもさすがに完成度の高い2ベースのため非常に快適です。ただ、本作最大の問題は過去シリーズから大幅に退化した操作性の極悪さです。
 
 どうやってもレスポンスが悪すぎてまともに動いてくれない上に、チャンバラのモーションはふざけているのかと思うほどとろくなり、3のコナーのトマホークさばきや、4のエドワード、ローグのシェイの華麗な二刀流が懐かしくなります。
 
 『スターウォーズ』で例えると、オビ=ワンのライトセーバーさばきがエピソードⅠのダース・モール戦から、突然エピソードⅣのダース・ベイダー戦になってしまったかのようです。
 
 操作性が悪すぎてまともに動かせないため、戦闘だけでなくステルス周りもストレスだらけです。
 
 今作から暗殺ミッションは同じくステルスゲームである『ヒットマン』シリーズのような、そこそこ広いエリア内にいるターゲットをごり押しで暗殺してもいいし、エリア内のギミックを利用して敵を陽動し、テクニカルに暗殺してもいいしと、プレイヤーがある程度自由に潜入ルートや暗殺手法を決められるようになりました。
 
 その作り自体は別段構わないものの、問題は操作性が歴代シリーズでも最低クラスなのにも拘わらず、4やローグに比べると敵AIの感知性能を大幅に向上させてしまってことです。
 
 さすがにここまで操作性が悪化するなら多少考慮はしてくれないと、ちょっとした操作ミスで即発見されるのでストレスばかり溜まります。
 
 4やローグは操作性は良いのにステルスの難易度がユルユルで不満。今度はステルスのアプローチは良いのに操作性やバランス調整がイマイチで不満と、結局ステルス周りがイマイチなのは変わらず。
 
 一応アイテムを駆使し、力任せのごり押しでクリアしてしまうことも可能なので、クリアできず難儀させられることはないのが不幸中の幸いです。
 
 アクション性やグラフィックの比較のためにクリア後に過去作を一通り軽くプレイし直したら、過去作のほうがキビキビ動くので「これは動かしていてストレスしか溜まらないはずだ……」と、アクション周りの体感的な不満に納得しました。
 
 アサシンクリードシリーズは、革新的だったパルクールや小気味よいチャンバラ、3の船の操舵、4の海賊行為など非常に斬新で良質なアクション体験の宝庫であり、それを生み出すUBIも優れたアクション美学を持つ、優秀なアクションゲーム屋でもあるのに、今作は安定のパルクール以外は珍しくアクション周りがボロボロ過ぎて目もあてられません。
 

切ない余韻はどこへ消えた?

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バスティーユ牢獄
 
 舞台となるパリの街並みは見入ってしまうほど魅力的なもののストーリーはイマイチでした。
 
 3でデズモンドが退場してしまい、現代編がただのやっつけになった4やローグと同様、物語や余韻は相変わらず淡白そのものです。
 
 2や3は物語がドラマチックに輝いており、ふとこのアサシン達は遺伝子に足跡だけを残し、すでにこの世を去っているのかと思うと切なくなりました。
 
 それはアサシン達の子孫で、過去と現在の橋渡し役でもあるデズモンドがいたおかげもあります。時の支配者や権力者と結託するテンプル騎士団から人知れず自由を守り、その強い意志が現代へ繋がるという、歴史ものとして非常に品の良い余韻が残りそれが魅力的でした。
 
 しかし、4以降はこの過去のアサシン達の奮闘を現代に着地させる設定が用意されていないため、過去の行いが現在と繋がっているという実感が希薄です。
 
 アクションを美の境地にまで進化させたアサシンクリードらしく、物語・世界観設定だけでなく、過去と現在が時代を超えてパルクールというアクション体験を通じて交わる、歴史の連続性をアクションを通じて表現するという独自の手法が味わえないのは残念です。
 
 あまりにも過去編ばかりに力を入れ過ぎて現代編を疎かにするせいで、過去編の印象まで薄れてしまうという悪影響が出ているので、もう少し過去のアサシン達の想いを現代へ届ける役割を担う重要な現代編にも力を割いて欲しいです。
 

不満あれこれ

 
 本作最大の不満は、フランス革命が大して物語と絡まないことです。
 
 プレイする前は、てっきり3のアメリカ独立戦争のようにガッツリ歴史に絡むスケールの大きい話なのかと思っていました。しかし、実際はフランス革命そのものは割と背景に過ぎず、フランス革命を横目にテンプル騎士団の内輪揉めに端を発した話が続くので、やや肩透しを喰らった感があります。
 
 それと、一応育ての親の仇を討つという体なのに、事件に関わる者や仇を暗殺してもただテンプル騎士団の内情を説明するどうでもいいムービーが流れるだけで話がまったく深まりません。主人公のアルノと対象の間で別段会話が交わされることもないという演出的な不備もどうにかならなかったのかと不満が残りました。
 

最後に

 
 クリアまで約25時間ほど。
 
 アクション周りはパルクールだけ相変わらず楽しく、それ以外の戦闘やステルスは不満だらけです。
 
 ですが、悪い印象を根こそぎかき消してしまうほど、狂気的なまでの18世紀後半のパリの街並みの作り込みや、常軌を逸した群衆の波の迫力、そしてその魅力的な舞台をパルクールで駆け抜けられる体験は衝撃だったので、これが味わえただけでも大満足でした。
 
 序盤に間違ってDLCのデッドキングスを始めてしまい、メインの舞台であるサン=ルイ島への戻り方が分からず途方に暮れ、しかも本編終了後の話なのでネタバレしまくりで泣きそうになるというトラブルに見舞われたものの、見知ったサン=ルイ島に戻ってこれた時は本当に嬉しくて嬉しくて結果的にはいい思い出になりました。
 

余談

 
 これまでアサシンクリードシリーズへの大きな認識変化を数回経てきたので、3の感想などを今読み返すと現在の自分の感覚とかなりズレていて驚かされます。
 
 特にアニムスの設定や演出に対して現在は非常に肯定的なため、否定的に書かれているのを読むと自分が書いたものなのに、他人の感想を読んでいる様な錯覚を覚えるほど違和感があります。
 
 シリーズをやればやるほどUBIのアクションや表現への美意識の高さに感服させられるばかりです。
 

アサシンクリードシリーズ

タイトル
ハード
アサシンクリード3 Xbox360
アサシンクリード4 PS4
アサシンクリード ローグ PC
アサシンクリード シンジケート PS4
アサシンクリード オリジンズ PS4