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[レビュー]Z/X(ゼクス) 絶界の聖戦(クルセイド) 〈感想・評価〉

システム紹介

 
評価:70/100

 

作品情報
ジャンル
カードバトルRPG
発売日(日本国内)
2013年5月23日
開発(デベロッパー)
日本一ソフトウェア?
開発国
日本

短評

 
 毎ターンチャージされるSPというコストリソースをやりくりするカードバトルに、軽い陣取りシミュレーション要素を足したようなカードバトルRPG。
 
 所持するカード種類数に応じてレベルが上がっていくという面白い成長システムを採用しているものの、カードバトルのテンポが悪すぎるのと、シミュレーション部分がカードバトルの魅力を妨害するというバランスの悪さであと一歩な出来 。
 

「さよならは言いませんよ、Z/X!」

 
 ゲームの基本となるカードバトル部分は最近のもので言うとハースストーンシャドウバースのような毎ターン一定量チャージされるマナなどのコストリソース(本作ではSP)を消費しゼクスカード(モンスターカード)をフィールドへ召喚し攻撃し合い、相手のライフポイントを先にゼロにしたほうが勝ちというシンプルなルール。
 
 ただ、ハースストーンやシャドウバースのように相手モンスター(ハースストーンで言うとミニオン)の頭を飛び越えていきなり相手のライフに直接攻撃はできません。自分と相手双方に三つずつ存在するゼクスを召喚できるフィールドのうち、ゼクスが召喚されていない相手フィールドに対して攻撃を行うことで初めて相手のライフへ直接攻撃が可能となります。
 
 ここら辺はライフへの直接攻撃のハードルを下げまくった遊戯王のデュエルモンスターズな感じです。
 
 このカードバトル部分だけ見るとそこそこ面白いのですが、システム的にいくつか問題を抱えており、その一つがメインクエスト(ストーリーモード)とフリークエスト双方とも、無理矢理ゲーム性を足そうとしたのかカードバトルに移行する前に軽い陣取り要素のようなターン制シミュレーションパートが入る点。
 
 このパートはお互いフィールド上のマスを取り合い、いかに多く取ったかでカードバトル時にゼクスカードのライフやパワー(攻撃力)の上昇、召喚コストの軽減などの恩恵が得られるというものですが、これがあるせいで、自分と敵で同じカードを使っても性能差が生じてしまいズルをしている気分になります。
 
 序盤こそ勝手が分からず相手にマスを取られ不利な条件で戦わされますが、システムに慣れてしまうといくらでも相手より多くのマスを取り、かつ相手のマスも奪いたい放題なため、同じゼクスでもパワー(攻撃力)が100も150も離れた状態でのバトルになり、安易にバランスが崩壊してしまいます。
 
 しかも、クエストはゼクス使いというプレイヤーと同じ条件でライフポイントが設定されている人型タイプの敵と、ゼクスカードだけが単体で存在するザコ敵にあたるライフポイントが存在しないタイプの敵がマップに複数混在し、これらと連戦させられる持久戦仕様です。
 
 自分のライフポイントは敵を倒しても回復しないので、常にライフを温存しながらのバトルとなり、ある程度持久戦を想定してデッキを組まないとならず、デッキビルドに縛りが付き纏います
 
 さらに、本作最大の問題となるのは、カードバトル時のテンポの悪さです。ゼクスカードを場に召喚するだけでカードの属性ボーナスがいちいち発生するなど、何かアクションを起こす度にエフェクトが発生したり、カットインの挿入が入ったりでバトルがまったくスムーズに進んでくれません。
 
 一応R2ボタンに早送り機能が備わっていたり、〇ボタンを連打すれば演出自体はスキップはできますが、それを利用してすら致命的に遅いです。このせいで、常にムダにバトルが長引き、それが面倒なため、どうしても自分が組みたいデッキを組むよりも速攻でライフ直接攻撃ができる攻撃重視のカードを多用し、ちゃっちゃとバトルを終わらせたい欲求に駆られます。
 
 このように、クエストが持久戦仕様でライフを温存しなくてはならない上にバトルテンポも遅いという、なぜかカードバトルと関係ないシステム周りが面白さを全力で妨害してくるため、せっかくのカードバトル部分の魅力が激減してしまい台無しもいいところ。
 
 全体的に足し算志向が行き過ぎており、オーソドックスなカードバトルゲームと差別化しようとするあまりあれもこれも足そうと余計なシステムを無駄に盛り、カードバトルも演出過剰にし過ぎたせいで核となるそこそこ魅力的なカードバトル部分にまで悪影響を及ぼしてしまっており、勿体ないです。
 

カード入手がレベルアップに貢献するユニークな成長システム

 
 カードバトル部分の面白さ以外で興味を惹かれたのは入手したカード種類(未入手のカード)に応じてレベルが上がるという珍しい成長システムです。クエスト内で敵を倒したり、クエストそのものをクリアしてもお金が入手できるだけでレベルは上がらず、クエストやショップを利用し、カード入手数が一定量に達すると自動的に上がる仕組みです。
 
 レベルが上がるとライフポイントが上昇するのと、デッキの組み方(白属性カードや赤属性カードをそれぞれ指定された枚数デッキに入れる、など)によってターン制シミュレーションパート時にアビリティ(移動力上昇・マス取り、囮などに使える使い魔の召喚数増加など)が付加されたりと、俄然クエスト攻略が楽になります。
 
 ポケモンで例えると、新種のポケモンを捕まえポケモン図鑑の登録数が一定量に達すると、バトル時に有利になる何らかの能力が解放されていくといった感じ(もしくはリンダキューブの動物捕獲数)。
 
 このため、貴重なお金を消費してショップでブースターパックを購入する際も、デッキに入れる用の実用性の高いカード以外のやや外れ気味のカードが当たったとしても、ただそれが未入手カードなだけでレベルアップに繋がるので、損をした気分になりにくいです。
 
 惜しむらくは、わりと序盤からあらゆる属性のカードが充実し過ぎているせいであまり新しいカードを入手しても劇的な戦力強化に繋がらないこと。主人公が5人いてそれぞれ違う属性のスターターデッキが用意され、それらのカードはどの主人公でも共有なため、そこそこ強いデッキがいきなり組めてしまいます。
 
 そのため、序盤は弱いデッキをなんとかやりくりしながら、敵の使うレアで強力なカードを羨望させ、それを苦労して入手しデッキに組み込めることが快楽となる、というオフライン用カードバトルゲームの基本部分が若干薄いです。
 
 しかも、ショップでブースターパックなどを頻繁に購入すると、5人いる主人公のうち、1人のストーリーモードの終盤くらいであっという間にレベルが上限に達してしまうので、他の4人の主人公のストーリーモードまで成長システムのモチベーション維持が持続しません。
 
 このカードの入手種類数でレベルが上がっていくという成長システムはかなり好みだったので、カードを一定数集めたらレベルが上限に達してしまう仕様ではなく、入手できる全てのカードを集めきってようやくカンストするくらいの長丁場仕様にして欲しかったです。ゲームボリュームに対してRPG(成長要素)があっさり途中で役割を終え、引退してしまうのが残念でなりません。
 
 それに、ゲーム全体のバランス調整があまり自分好みではなく、もう少し序盤に苦労させ、不自由を経験させてから中盤以降カードが充実することでぐっとデッキビルドの自由度が増し、プレイヤーのシステム視野が広がるなど、システム演出の溜めが欲しかったです。
 

最後に

 
 不満な点も多いですが、カードバトルRPGというジャンルの響きにのみ釣られて何の前情報もないままプレイしたら予想より楽しめ、良い拾い物に出会えたと満足な気分です。
 
 
Z/X (ゼクス) 絶界の聖戦 - PS3

Z/X (ゼクス) 絶界の聖戦 - PS3