トレーラー
評価:90/100
ジャンル | アクションRPG アドベンチャー |
発売日(日本国内) | 2012年12月6日 |
開発(デベロッパー) | セガ(現 セガゲームス) |
開発国 | 日本 |
ゲームの概要
この作品は、『龍が如く』シリーズの5作目です。
5は、
・第一部は福岡の中洲がモデルである永州
・第二部は北海道札幌のすすきのがモデルの月見野
・第三部は2にも登場した大阪の蒼天堀
・第四部は名古屋市の栄と錦三丁目をモデルとした錦栄町
・そしてラスト第五部を飾るのはお馴染み東京の神室町
と、それぞれの主人公ごとに別々の街が用意されているという破格の豪華さが最大の特徴です。
全体的に4からグラフィックやモーション、システム周りが一新され、ゲームとしてのキレが格段に向上しました。やり込みのボリュームも過去最高で質・量共に4から凄まじい進化を遂げています。
表現しようとする題材も一作目の幻影を追い求めてばかりだった2~4に対し、元極道が背負う生き辛さを真正面から描く攻めた内容で、作品として一皮剥けたような堂々とした完成度です。
しかし、結局シナリオは終盤破綻するというお馴染みの末路を辿り、余韻が最悪なのは3以降と同様でした。
どこに出しても恥ずかしくない円熟の域に達した佇まい
今作は4と同じオムニバスに似た主人公5人方式で、第三部だけ変則的に主人公が2人制なものの、4とほぼ同じ方式です。
舞台は終始神室町がメインだった4とは大きく異なり、一部ごとにそれぞれ舞台となる街が別個に用意されるという破格にもほどがある豪勢さで、ゲームとしてのリッチさはダントツで過去最高でした。
さらに、ハードをPS3に移してからナンバリングでは3・4ときて三作目なので劇的な変化もないだろうと高を括っていると、なんとゲームからもたらされる感触が4から格段に向上しており良い意味で期待を裏切られました。
一番嬉しかったのはどの部分に適切に力を注げばゲーム体験の質をより高められるのかという一作目の鋭いバランス感覚が蘇った点です。
移動モーションはより自然で滑らかな動きを意識し、階段の昇り降りや店に入る際のドアの開閉用に新たなモーションも追加されました。NPCの歩行ルートもより自然となり、行き止まりでUターンしていた3や4とは段違いです。
バトルもエンカウントやヒートアクションのカットイン演出のシームレス志向が前進し、非常にリズミカルで快感です。全体的にさらにアドベンチャーパートとバトルパートの段差を取っ払おうとする姿勢に磨きがかかり、変化はほとんどプラスに働くものばかりでした。
一過性の派手さや目新しさをただ闇雲に求めるよりも操作性からもたらされる野暮ったい、いかにもなゲーム臭さを排することにこそ気を配っており、ゲームプレイの自然さがより増しています。その結果、長時間遊ぶ際の耐用性が伸び、没入度も強化されるという至れり尽くせりな仕上がりです。
4と今作を比べると、手が加えられた箇所があまりにもゲームの満足度に直結する部位ばかりで一作目の的確なバランス感覚が思い起こされます。
4で神室町に屋上エリアを追加したり地下エリアを追加したりというマップをいたずらに複雑にするだけの無意味な方向性ばかりに注力していたのが嘘のようです。
ど演歌が如く!!
システム周りの好変化もさることながら、今作をこれまでのシリーズと決定的に一変させているのが、派手なドラマ志向から日陰を行く者たちへの共感共苦路線へ勘所が変更されたことです。
大仰なドラマで盛り上げる手法からスネに傷を持つ者たちの生き様や孤独、閉塞感を疑似体験させるかの様な方向にシフトしたおかげか、派手さという贅肉が減りゲーム全体がこれまでのシリーズとは比べものにならないほどタイトに引き締まりました。
それは、ボディビルダーが人前で晒すためにプロテインと規則的なトレーニングによって完成させた誇張された筋肉美ではなく、日々の過酷な肉体労働によってひっそりと蓄積された別段誰の目にも触れられることのない目的ではなくただ結果として付いただけの侘 びしさを孕んだ労働者の筋肉のような締まり具合です。
これまでのシリーズと異なり、やり込み要素をアナザードラマという形で各主人公のエピソード(人生と言ってもいい)に組み込んでしまったこともこの路線を強化する働きをしています。
やり込み要素として楽しみつつ、各主人公の人間性や人生観をさり気なく描写する役割も果たしているので無駄がありません。
街も時には傷心を慰め優しく寄り添い、時には主人公に試練を課し成長を促がす壁ともなる、甘やかすほど優しすぎず、かつ突き放すほど冷たくもないという、一作目の神室町から受けた印象に非常に近い手触りでした。
ただ、第二部は出来れば月見野よりもマタギ(猟師)の集落のほうが冴島のイメージにぴったりなのでこちらを広くしてメインにして欲しかったとか、第三部の蒼天堀はイマイチ遥や秋山と関連があるように見えないなど不満もあります。
今作は一作目がそうであった様に、一本のゲームとしてはとかく欠点が多いです。
第三部の前編である遥編のもろに『アイドルマスター』風のリズムゲーパートが丸々不必要とか、桐生と冴島以外のキャラはバトルのレスポンスが悪くて使い勝手が悪いとか、相変わらず情緒過多気味でグダグダ長ったらしいだけのムービーがやたら多いなど、無視できない問題が山積しています。
しかし一作目がそうであったように、不格好な部分があれど、人を惹き付ける魅力に富む今作も、欠点をあげつらうよりかは、良い部分を目一杯褒めてあげたいという好意の方が結果的に勝ります。
その好意を抱かせる一番の要因は、人生を足掻いて足掻いて足掻き続ける日陰者たちへの応援歌という今作の温かいテーマにあるのだと思います。
システムで物語る姿勢
ゲーム的にはあまり重要な要素ではないものの、今作ではタクシードライバーである桐生一馬がタクシーを運転する際に酔い状態だと飲酒運転になるため酔いを醒ます必要があるとか、元プロ野球選手である品田は野球を愛しているから他のキャラは普通に使える野球のバットを武器として使用できないなど、職業倫理や野球愛をシステムレベルで表現していることに感心しました。
ダラダラとムービーなんて垂れ流すよりも、品田は野球を愛しているからバットを武器として使うなんてこと絶対しない!!、という姿勢を見せさえすれば一発で品田の野球愛が表現できるという、システム演出がムービー演出に勝るという好例です。
最後に
(アナザードラマをメイン・サブ全てコンプリートして)クリアまで約50時間ほど。
一作目で築き上げた神室町へ依存し続け、ひたすらマイナーチェンジを繰り返すだけだった2~4の姿勢から脱却し、ついに自分が求めていた一作目の表現への気骨を受け継ぐ続編に巡り合え感無量でした。
龍が如くシリーズ
タイトル
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ハード
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龍が如く HDリマスター | PS3 |
龍が如く2 HDリマスター | PS3 |
龍が如く3 | PS3 |
龍が如く4 | PS3 |
龍が如く0 | PS4 |
龍が如く 見参! | PS3 |
龍が如く オブ ジ エンド | PS3 |
龍が如く 維新! | PS4 |
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