トレーラー
評価:55/100
ジャンル | ゾンビ シューティング アドベンチャー |
発売日(日本国内) | 2011年6月9日 |
開発(デベロッパー) | セガ(現 セガゲームス) |
開発国 | 日本 |
ゲームの概要
このゲームは、『龍が如く』シリーズの番外編です。本編のキャラクターが登場しますがストーリーは独立した別物で関連はありません。シリーズの顔である神室 町を舞台に、ゾンビと戦うシューティングゲームとなっています。
ゾンビブームに便乗しただけの作品で、『龍が如く』シリーズとしても、シューティングゲームとしても、ゾンビものとしても、ほぼ褒める部分の無い底の浅い駄作でした。
ラクーンシティのコスプレをした神室町
今回は見た目からしてバカゲー路線なのは覚悟しハードルを下げまくって挑んだものの、実際プレイすると想像を遥かに超えて出来が酷く、プレイ開始数十分でスルーしなかったことを後悔しました。
今作は舞台となる神室 町をゾンビが徘徊する隔離エリアと平穏な通常エリアとに分けています。
隔離エリア内はゾンビを倒して経験値を稼ぎレベルを上げたり、武器強化用の素材を集めたり、隔離エリア内で発生するサブイベント(取り残された人間を救助する、など)をこなしたりという、隔離エリアがダンジョン風に機能するという具合です。
通常エリア内ではミニゲームで遊んだりキャバクラに通ったりと、シリーズのお馴染みの行動が取れるアドベンチャーパートになっています。
このゲームで唯一褒めるポイントがあるとすれば、この神室町のそこそこ広いマップを隔離エリアと通常エリアとに分断したこと。特定のポイントから隔離エリアに侵入でき、ゾンビが徘徊する危険エリアを自由探索できるという部分には魅力を感じました。
もう少し基本がまともならそこそこ面白いオープンワールド風ダンジョンRPGシューターになったかもしれません。しかし、いかんせんシューティングゲーム用に操作周りを一新するのではなく、元の龍が如く本編のバトル部分をそのまま流用して適当にシューティングゲーム風に誤魔化しただけなため、銃火器を使った戦闘に一つも面白味がありませんでした。
普通のTPSのような固定ビハインドカメラではないため、カメラが向いている方向と自キャラの向きが異なるという事態が頻発し、その場合は自キャラの向きの方が優先されるため、カメラは敵を捉えていても自キャラを一旦そちらに向けなければ攻撃が当たりません。
このせいで何度も敵のいない明後日の方向に発砲するという状況が多発しイライラさせられます。
『バイオハザード4・5』のようにその場で立ち止まってエイム(ヘッドショット出来る様に頭部にオートエイムされる)も可能ですが、通常は武器を構えもせずに敵がいる方向に撃ちさえすればある程度勝手に補正され命中するので、エイム機能すらロクに使いません(ヘッドショットをする場合や敵の弱点を狙う際に使用する程度)。
『龍が如く』シリーズが売りとする戦闘中にゲージを消費して使用するド派手で爽快感があるヒートアクション(このゲームではヒートスナイプ)も、なぜか周囲のオブジェ(ドラム缶などの爆発物、など)に弾を撃ち込み爆発させるとか、ボスの特定動作中にダメージを与えられる程度の使い道に格下げされており存在感が薄まっています。
なぜ大量のゾンビをお手軽に繰り出せる広範囲攻撃で排除できる、などの方向性にしなかったのか謎です。
それに元がシューティングゲームでも何でもない神室町のマップをそのまま雑に使い回しているため、シューティングゲーム用として使うにはいくら何でも無理矢理なエリアが多々あります。
狭くて敵が見え辛い場所でうじゃうじゃ湧くゾンビに四方八方からなぶり殺しにされるとか、レベルデザイン周りはボロボロでストレスしか溜まりません。
総じてシューティングゲームなのに、土台のシューティング部分の完成度が低すぎてゾンビとの戦闘はほぼ一貫して苦痛を伴う作業にしか感じませんでした。
潔いほど何の工夫もないゾンビ描写
プレイする前は神室町(『龍が如く』と言い換えてもいい)とゾンビというリアリティラインが100%噛み合わないであろうものを一つの作品としてどのように摺り合わせるのか見当も付きませんでした。
しかし、プレイしたら仰天もいいところでなんと無策!?
いつもの『龍が如く』の様に始まり、何の事前描写も積み上げることもせず唐突にゾンビが登場するため目を疑いました。
舞台やシチュエーションに説得力を持たせるためいつもと演出トーンを変え不穏さを煽るとか、ホラー(もしくは極端にコミカル)にするとか、神室町で最近怪しい人影の目撃が相次いでいるとか、謎の奇病の様なものが蔓延しているなどというゾンビものとして最低限の説明を挟む様な回りくどいことも一切せず。
本当にいつもの『龍が如く』のまま始まり突然ゾンビが出現するため作り手の正気を疑ったほどです。
もうこの時点で本作に対する興味は完全に失せました。
いつもの龍が如くからどのようにゾンビもの仕様へとスムーズに意識を移行させるのかという、最も丁寧に気を配らなければならない箇所をおざなりにしてしまったことが尾を引き、ゲームをやっている最中、自分は一体何をやっているのか最後までぼんやりしたままでした。
『龍が如く』という極道たちの世界にゾンビという極端な異物を馴染ませる気がないという姿勢は、プレイヤーを作品にのめり込ませる気がないということとほぼイコールにしか感じられません。
極道の世界というあまりゲームとは馴染みがなく、成立させるのが困難だった対象を見事ゲームに仕上げて見せた『龍が如く』シリーズなのに、こんな初歩中の初歩のくだらないミスをしでかすなんて作っている側が極端にシリーズの魅力を過信しすぎて丁寧なディテールの積み重ねを怠ったとしか思えません。
一作目の冒頭でもし極道の世界へと瞬時にプレーヤー意識を馴染ませられなかったらそもそもこのシリーズは成立していなかったはずで、丁寧なディテールの積み重ねによって成功を収めたシリーズが、初心を忘れてしまった末路は悲惨極まりないものでした。
ゾンビブームに安易に乗っかって作ったゲームが腐敗を放つゾンビのような惨状ですね
最後に
クリアまで約10時間ほど。
龍が如くシリーズのブランドに泥を塗っただけの、最低最悪な悪ノリの産物である不愉快な駄作。
龍が如くシリーズ
タイトル
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ハード
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