えんみゅ~ -えんためみゅーじあむ-

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えんみゅ~

龍が如く3(PS3版) 〈レビュー・感想〉

トレーラー

 
評価:75/100

 

作品情報
ジャンル
アクションアドベンチャー
発売日(日本国内)
2009年2月26日
開発(デベロッパー)
セガ(現 セガゲームス)
開発国
日本

短評

 
 シリーズのお約束を踏襲するだけでシナリオ・システムともに目新しさが足りず、過去作に比べるとややパワーダウンしている。
 
 相変わらず龍が如くシリーズお馴染みの街を散策する楽しさは健在なものの、全体的にやや薄味でパンチが足りない。
 

地域密着型ヤクザが暮らす地元風味を醸す沖縄繁華街と、不動すぎて柔軟性に欠ける神室町

 
 今作も2と似た構造で、基本は神室町(かむろちょう)をメインにストーリーが進行しながら、沖縄の那覇市にある国際通りをモデルとした琉球街(りゅうきゅうがい)という繁華街にも行けるという作りです。
 
 ただ、神室町に腰を据えながら大阪に遠出していた2と異なり、今作では主人公である桐生一馬の生活基盤が沖縄の方にあるため、沖縄がホームで神室町のほうがややアウェイ感を醸しています。
 
 この神室町の申し子のような主人公にも関わらず、神室町が若干アウェイな場所に映るという利点をうまく生かし、東城会が暴力主義となり、雰囲気が一変してしまった神室町という設定を際立たせてくれたら文句ありませんでした。
 
 龍が如くシリーズは、主人公が久しぶりに町に帰ってくると見た目は同じでも中身がかつての見知った神室町ではなくなっており、なぜこの様に変貌してしまったのか?という謎をフックとするため、沖縄の人間となり、異なる視点を獲得した桐生一馬から見た町に対する違和感は格好のサスペンス演出となったのに、そこを利用しないのがやや勿体ないです。
 
 神室町への認識変化が乏しいという問題にも関連するのが、神室町のコンセプトがあまりにも不動過ぎるという点です。
 
 一作目の段階で街としての完成度が高すぎたため、変えたくても少しでも弄ると全体のバランスが崩れ兼ねず慎重になるあまりに、ほとんど地理的に変化がなく、せっかくマップの作り自体は見参と同じく全体がシームレスとなり、新鮮味があっても良さそうなのに、いつもの神室町感が拭えません。
 
 確かに神室町をあちこち散策するのは相変わらず楽しいものの、それは一作目の出来の良さに依存しているからで、龍が如くシリーズの核であるはずの斬新なものを作りたいというコンセプトからはやや逸脱して見えます。
 
 元々神室町という魅力的な街は新しいものを作りたいという意志の産物であり、ひたすらお化粧直しされながら手を変え品を変えのテコ入れで再生産し続ける対象にするのはさすがに街に失礼な気がしてきました。
 
 初登場となる琉球街のほうは初見はやや味気ない駅前アーケード商店街程度の印象でしたが、観光地であるという浮ついた空気感と同時に、地域密着型ヤクザが暮らす地元風味も備わっており、あちこち散策して回るうちに好きになれました。
 
 見参の祇園の様に見た目のインパクトを前面に出すよりも、散策していく過程で違う表情が徐々に浮かび上がってくるという街演出のほうが舞台の雰囲気が体に馴染み、より愛着が湧きます。
 
 地元感が強い琉球街はナンバリングシリーズでは神室町に次いで魅力的だと思える新エリアでした。
 

安定したマンネリバトル

 
 今作のバトルもお馴染み過ぎる必殺技のヒートアクションの爽快感頼み&鬱陶しいだけのQTEを足した単調で特に魅力もないものです。
 
 ただ、唯一驚かされたのはシンボルエンカウントでバトルに突入する際にバトル画面に切り替わらず、エンカウントが発生した場所がそのままシームレスに近い形でバトルエリアになるという処理です
 
 戦闘時だけ周りに置いてあるオブジェが武器として使用可能となり、終わると画面が切り替わり戦闘中破壊したオブジェが元に戻るという、画面切り替えが戦闘終了後にだけ限定されるという進歩が見られ、嬉しくなりました。
 
 正直、リアルタイム戦闘が一番なものの、なるべく街を散策している通常状態とバトル状態を切り離さず処理しようとする意志が感じられ、ここは非常に好ましかったです。
 
 後は、見参から十字キーに武器を割り当て戦闘中に瞬時に武器を持ち替えられるというシステムや、ベース武器(今作から防具も)に素材を合成して新しい武器・防具を生み出す武器・防具チューニングなど、幾つかのシステムが引き継がれています。
 
 ただ、見参にはあったお金で武器の攻撃力を強化していくという要素はなく、新武器をクラフトする部分だけが持ち越されている分、見参に比べそれほどプレイのモチベーション維持に繋がっていません。
 
 他にも、ボスが固い上にノックバック無効状態で猛攻してくるのが面倒くさいとか、適当過ぎる成長システムなど、不満は相変わらず尽きませんが、ストーリー進行のテンポや、街を散策する楽しみを奪わないのであれば別段バトルに評価軸を置いていないので許容できる程度です。
 

直感的でないクラフト

 
 非常に細かい不満が、クラフト用のレシピを入手してもお店のリストに新しい武器情報が追加されない点です。
 
 リストに表示させるにはクラフトする際のベースとなる武器を所有していなければならず、これのせいでレシピを入手しても、完成形の武器から必要な素材の情報を得られず、いちいちレシピを見てどんなベース武器が必要かチェックさせられ面倒です。
 
 自分は最初これが分からず何個レシピを買っても店のリストに新武器情報が追加されないため、素材はたんまりあるのにクラフトができないという状態に悩まされました。
 
 新しくリストに追加された武器情報を見ながら必要となるベース武器や素材をプレーヤーに認識させる作りでよかったのに、なぜそうしなかったのか謎です。
 
 それと、見参は戦闘のメインが刀だったので常に刀を複数所有し、新しい刀を見つけたら確保するという習慣が自然と形成されますが、今作はそこが弱いです。戦闘のメインは素手なので、ある程度武器は意識しないと入手に至らず、そのせいでせっかく武器クラフト要素が追加されても武器を能動的に探すという習慣までは生まれないのもやや誘導不足かなと思います。
 
 リストが不便なことと、武器の修理代がバカ高いこと、序盤に丁寧なチュートリアルを入れていないことなど複数の要因により、うまくやったら龍が如くシリーズの単調なバトルに、『デッドアイランド』や『ダイイングライト』の武器クラフトの様な刺激をもたらしかたもしれないのに残念な結果に終わっています。
 

1と2でできていたことすらことごとく失敗している残念なシナリオ

 
 今作の落胆要素の中でも特に酷いのが1と2の要素を焼き直して劣化させたようなシナリオです。
 
 サスペンス要素は一作目で死亡したキャラクターとそっくりな人物が現れるというとんでも展開で、先が気になるというよりかは設定がバカバカしすぎて白けます。
 
 ミステリー的な要素は後でオチが分かるとミステリーと呼ぶのを躊躇させられるほどのご都合主義ぶりで、物語の謎が明らかになればなるほど話への興味が失せていくという散々な内容です。
 
 2もそうでしたが、出来もしないのにポリティカルサスペンス的なスケールの大きい国際組織のようなものを出し、その描き方があまりにもずさん過ぎて見ていて苦痛でした。
 
 ムービーもひたすらストーリーの説明に終始するだけで退屈極まりなく、途中つまらなすぎて2回ほど寝てしまいました。
 
 これなら会話ウィンドウにテキストを表示してくれたほうが自分の任意のタイミングで読み進められまだテンポがいいと感じるほどです。
 
 ムービーでストーリーを延々グダグダと説明するのをやめ、キャラクターや舞台の掘り下げやその他ゲームパートの満足度に貢献する様な描写だけに絞って欲しかったです。
 
 龍が如くシリーズをやっていて、これほど全編眠気に悩まされ続けたのは初めてで、終始ゲームプレイではなくムービーで感情に訴えて感動させようとする下品なやり口に辟易させられっぱなしでした。
 
 その他にも、ラスボスとして立ちはだかる存在が、キャラクターとしては非常に魅力的なのにシリーズ恒例の背中の刺青にまつわるエピソードの掘り下げが無く、話し的にもさほど桐生と絡まず、これまでのシリーズで立ちはだかってきたライバル達ほどの因縁が生じず、ラストバトルが盛り上がらない点が致命的です。
 
 この紆余曲折あって、最後に街を一望できるほどのやたら高い場所でお互いの刺青を晒しながらどつき合いで決着を付けるという龍が如くシリーズで最も痺れる瞬間が生きず、余韻が非常に淡泊でした。
 

不満あれこれ

 
 見参から気になっていましたが、移動モーションがやや硬すぎる点です。
 
 街を延々と移動し続けるゲームだけに、移動モーションは操作していて心地よさや軽やかさを伴う柔らかい動作のほうが好ましく、正直バトルシステムよりも街の散策の快適さに直結する移動操作の調整のほうに力を入れて欲しいくらいです。
 

最後に

 
 クリアまで約20時間ほど。
 
 どうしても1、2に比べると不満だらけで、ナンバリング過去作に比べると満足度は落ちます。
 
 しかし、龍が如くシリーズだけに、一定の水準は超えており、街を散策している時は心が躍り、No.1キャバ嬢をつくろう(キャバつく)という軽めの育成SLG的なやり込み要素にもハマるなど、なんだかんだ文句を言いながらも楽しめました。
 

龍が如くシリーズ

タイトル
ハード
龍が如く HDリマスター PS3
龍が如く2 HDリマスター PS3
龍が如く4 PS3
龍が如く5 PS3
龍が如く0 PS4
龍が如く 見参! PS3
龍が如く オブ ジ エンド PS3
龍が如く 維新! PS4