トレーラー
評価:80/100
ジャンル | アクションRPG アドベンチャー |
発売日(日本国内) | 2006年12月7日(PS2版) 2012年11月1日(PS3 HD版) |
開発(デベロッパー) | セガ(現 セガゲームス) |
開発国 | 日本 |
短評
前作からアクションの操作性が格段に向上し、本編・やり込み要素ともにボリュームが増え、ゲームとしては確実に進歩している。
しかし、龍が如くシリーズにしてはやや守りに入ったようなありきたりな作り方で前作ほど気合いが感じらない無難な続編。
劇的に向上した遊びやすさ
今作は、前作で不満に感じたシステム部分はどれもあらかたテコ入れがされており格段に遊びやすくなりました。
アクション部分はまだまだ快適にはほど遠いものの、前作の攻撃の追尾性がなく拳も蹴りも空を切るばかりだったストレスフルな仕様は改善されています。
ただ、これは前作があまりにも酷すぎたので、良くなったというよりもまともになっただけのこと。
バトルは相変わらずヒートアクションという派手な必殺技の爽快感と、煩わしいだけのQTE頼みの魅力に乏しいものですが、敵がそれほど固くなく、ヒートアクションや武器攻撃を混ぜるとサクサク倒せるバランスなため、作業感をあまり覚えないのは不幸中の幸いです。
これ単体ではとても満足できるものではありませんが、バトル(と言うか喧嘩)を行うシチュエーションの作り方がうまかったり、相手と拳を交えることでドラマが深まったりと、バトル以外の部分がうまく単調さをカバーしてくれており、決してマイナスにはなりません。
その他、良くなったのは前作の舞台である神室町 が新要素をプラスして丸々再登場し、さらに大阪の道頓堀をモデルにした蒼天掘 や、新世界をモデルにした新星町 という二つのエリアも追加されたことでやり込みのボリュームが大幅に増量した点です。
特にハマったのは神室町にあるキャバクラのオーナー代行となり店を経営するという疑似SLG的なオマケ要素です。
内容自体はあっさりとしたなんちゃってSLGのような浅いシステムですが、神室町という舞台とキャバクラの雰囲気がバッチリ合い、店が徐々に大きくりっぱになっていくのが嬉しくて、本編そっちのけで夢中になりました。
キャバクラ経営の他にも、自分がホストとなって女性を接客するという、キャバクラ通いのミニゲームを引っ繰り返した様なオマケ要素まで追加されています。
キャバクラもホストも、本編と独立しておらず、神室町という魅力的な舞台やそこに住まう住人たちと密接に関係するものが多いため、やり込み要素をすればするほど神室町が好きになってしまうというシリーズの利点が功を奏し、より神室町愛が深まりました。
前作と同じく、この神室町という舞台をキャラクター化することに成功しているため、作りは相変わらずシームレスではなく細かいエリアのブロックを繋ぎ合わせた様な作りなのに、ゲームエンジン臭さが微塵もなく、一つ一つの素材に人の体温めいた手作り感があり、街を歩いているだけでどこか浮ついた雰囲気に酔えます。
ただ、神室町があまりにもよく出来過ぎている弊害で、そもそもあまり構造として魅力がない蒼天掘や新星町という新しいエリアは影が薄くやや不満でした。
どうしても追加された新エリアは神室町とタメを張れるほどの魅力を感じません。
続編という概念をただ模倣しただけのような凡庸な続編スタイル
神室町が魅力的という利点と裏表の関係なのが、神室町頼みが過ぎる今作の作りそのものです。
前作の魅力を大きく支えていた神室町をそのまま丸々ほぼ同じ姿で再登場させ、しかも大阪の新エリアの方ではなく、また神室町が物語のメイン舞台となるため、また同じことを繰り返しているという既視感が強く残ります。
前作ですらやや長いと感じたムービーは今作でさらに量が増え、プレイ中早くゲームをやらせて欲しいとイライラする瞬間が何度かありました。
前作はゲームパートの雰囲気を強化するためにムービーを効果的に使用していたのに、今作はストーリーをただ説明するためだけの描写が多めです。そのため、うまくムービーパートがゲームパートの雰囲気作りに貢献できておらず、ただ延々と間延び気味の話を見せられるだけでやや退屈に感じます。
前作のキャラクターは多くが再登場するものの、結局少しだけ顔見せする程度の役回りが多く、新キャラも一部の濃いキャラ以外は前作の魅力的なヤクザたちに比べると印象が薄めです。
ストーリーも前作と同じサスペンスミステリー的なストーリーをより拡大しようとし過ぎてとっちらかってしまっており、まとまりがありません。
何度も神室町と大阪を無駄に行ったり来たりする展開も非常にどん臭く、これなら盗まれた100億円の鍵となる少女を元ヤクザの主人公がかつて所属していた古巣の組の襲撃から体を張って守り抜くというシンプルなシナリオ構造だった前作のほうが自分的には好みでした。
記号的な外国組織などに尺を割かず、ヒロインとの関係に焦点を絞り、関東と関西のヤクザ同士の全面戦争の危機をサスペンスの中心に据え、ヒロインの出生の謎にミステリーの力点を強く置いたほうがシンプルで良かったと思います。
ただ、今作のライバルとなる存在は前作の豪腕さよりも姑息さのほうが印象として勝ってしまい風格が足りていなかった錦山よりも遙かに存在感があり、こちらのほうが断然好印象でした。
どう考えても錦山はへなちょこ過ぎで、なぜあんなに小者感を前面に出したのか謎です
極道ものが背負う業の象徴である背中に彫られた刺青 にまつわるエピソードを掘り下げ、刺青を背負った者同士が差しでどつき合うというラストバトルはやはり痺れるほどカッコ良く、ここは文句なしに大満足でした。
不満あれこれ
厳密に言うと不満ではないものの、前作でもやや感じたストーリーはクリフハンガーでグイグイ引っ張るタイプなのにも関わらず、寄り道が自由な作りな点がやや気になりました。
ストーリーにサスペンス性を持たせるなら、あまり話から興味が逸れてしまう状態は避けるべきなのにあちこち寄り道し放題なのでキャバクラ経営にばかり興味が奪われ、
キャバクラの売り上げ > ストーリー
という興味や集中力がストーリー展開とやり込み要素に二分されてしまうという状態が何度かありました。
前作はそれほどやり込み要素に中毒性の様なものはなく、寄り道を適度にしつつも基本はストーリーに集中できサクサクテンポよく進められました。しかし、今作はオープンワールド志向のゲーム性を拡張しながらリニア型のストーリーテリングに近い手法もそのまま踏襲しているため、二つの乖離がより深刻になってしまった感があります。
ただ、今作から追加されたミニゲームややり込み要素には魅力的なものも多いため、一概にマイナス要因とは言えず、結局そのようなものと言われるとそれまでといった程度です。
最後に
クリアまで約20時間ほど。
前作で確立したコンセプトをまんま踏襲し、ボリュームを増やし、プレイユーザビリティを向上させるというTHE・続編といった感じで、攻めてはいないものの無難な出来栄えに落ち着いています。
前作で斬新なことをやってのけたのに続編は至って無難なアプローチというなんとも評価しづらい内容でした。
ただ、桐生一馬という表の主人公と、神室町という裏の主人公に魅了された者を再び暖かく迎えてくれる優しい続編でもあり、神室町に魅せられた者としては、街との再会を大変楽しめました。
龍が如くシリーズ
タイトル
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ハード
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