えんみゅ~ -えんためみゅーじあむ-

アニメ、書評、映画、海外ドラマ、ゲームなどのエンタメ作品総合レビューブログ

えんみゅ~

極道とゲームを結び付けた傑作!! 「龍が如く HDリマスター」(PS3版) 〈レビュー・感想〉 

f:id:chitose0723:20200813172056j:plain

トレーラー

評価:85/100
作品情報
ジャンル アクションRPG アドベンチャー
発売日(日本国内) 2005年12月8日(PS2版)
2012年11月1日(PS3 HD版)
開発(デベロッパー) セガ(現 セガゲームス)
開発国 日本

短評

 
 アクションゲームとしては、バトル中に敵を見失ってばかりの極悪なカメラと、ほとんどボタンを連打して攻撃するだけの深みの無さと欠点が多め。
 
 しかし、そんな全ての不満を極道の世界をゲームに落とし込んだ硬派な作品を作りたいという熱い情熱が掻き消してしまう、まことの創作魂が籠められた大傑作。
 

野暮にはお引き取り願った粋な箱庭空間

 
 本作はシリーズ一作目ということもあり、アクションや操作性はじめありとあらゆる箇所が荒削りでとても褒められた出来ではありません。
 
 移動中カメラが切り替わるだけで進行方向を見失い、戦闘中はもはやカメラがデタラメ過ぎてまともに敵の姿を画面内に納めていることのほうが少ないのではないかと思うほどです。
 
 戦闘は頻繁にやらされる割りに単調でほとんど作業プレイ。ヒートアクションという必殺技が派手で爽快感があるのと、最後の敵にトドメを刺す際にフィニッシュムーブ風にスローモーションになる演出は豪華ですが、それ以外は特に見るべきところもないほど凡庸。
 
 ですがゲームを開始して即、本作に心底魅了されてしまいました。それは、作り手の本気度がゲーム画面からひしひしと心に染み入るように伝わってきたからです。
 
 とんでもないものを作ってプレーヤーを驚かせたいという熱意がゲーム開始早々にプレーヤーに対して激しいメンチを切ってくるため「このゲーム本気だぞ!!」と身構えさせられ、マジメに向き合わないと作品に対して失礼にあたると襟を正しました。
 
 本作は、実際の役者が一癖も二癖もある魅力的な登場人物達に声をあてることで明らかに普通のゲームとは異なる高めのリアリティラインに調整し他作品との明確な差別化に成功しており、この時点で別格なオーラを発しています。
 
 ムービーパートは極道の世界を地に足付けるための飲食や喫煙などの生活感表現やキャラクターを印象づける演技など、できるだけゲーム内の雰囲気を決定付けるものに絞られ、ムービー部分とゲーム部分がお互い良好な関係を築き相乗効果を発揮しています。
 
 舞台となる歌舞伎町をモデルとした神室町かむろちょうは、初期の頃の『バイオハザード』のようにカメラが固定で動かず、エリアが変わるとカメラアングルが切り替わっていく移動方式です。
 

前進しか出来ない『バイオハザード』と違ってアナログスティックで360度移動できるせいでグルグル目が回ります

 
 この神室町かむろちょうは、来る者拒まず去る者追わずといった暖かくもなく冷たくもない、でもちょっぴり人肌に近い適度な温度でプレーヤーを住人として迎え入れてくれ居心地が最高です。
 
 ムービー含め、神室町に生活感を出しながらも粋な街として飾り立て、そこに暮らす極道や住人たちにゲームの手垢がついていない役者の演技で命を吹き込み、他のゲームと徹底的に差別化し新鮮さを確保するというコンセプトを貫徹できた時点で他のゲームとはおもむきが段違いでした。
 

優れたリソース配分

 
 本作は限られたリソースをどの箇所にどれくらい投入するかのバランス感覚が非常に巧みで、前述したアクション部分が酷いという欠点をその他の部分がカバーしているため、部分部分だけ見ると欠点が多いのに、全体としては作品の評価を下げるほどは気にもならないという、欠点の誤魔化し方も板に付いています。
 
 ゲーム全体を満足いくまで作り込めないのであれば、変にアクションに凝るよりは他のゲームと決定的に印象を差別化することのほうが最終的な満足度に貢献することをしっかり認識し実践できる作り手のバランス感覚に惚れ惚れしました。
 
 バトル部分も、あまり出来が良くないことを自覚しているのか、回復アイテムを大量に持ち込めばごり押しできるように逃げ道を作っているなど、出来が良くないなら良くないなりにユーザーフレンドリーにするという配慮も大人だと思います。
 
 戦闘もリアルタイムではなく、街でヤクザや不良のシンボル(NPC)とぶつかるとエンカウントするというシンボルエンカウント式なため、プレイはシームレスではなく、ややゲーム臭さは否めません。
 
 しかし、街の外観や雑踏などの環境音がしっかりしていることはさることながら、NPCとの衝突時に相手がよろける様な処理を加えることで、道行く人と肩がぶつかるという極道ものならではの重要性の高い動作を抜かりなくゲームに落とし込んでおり、雰囲気作りは抜かりがありません。
 

最後に

 
 クリアまで約10時間強ほど。
 
 正直、アクションに関わるシステム周りはカメラはじめ欠点だらけで目もあてられません。
 
 しかし、それを補ってあまりある、作り手の斬新な作品を作って世の中を驚かせたいという情熱、そしてそれを実現させてしまうもの作りのビジョンの確かさに感服させられました。
 
 創作への本気度はこうも作品を輝かせ、魅力を深めるのだというお手本の様な傑作です。
 

龍が如くシリーズ

タイトル
ハード
龍が如く2 HDリマスター PS3
龍が如く3 PS3
龍が如く4 PS3
龍が如く5 PS3
龍が如く0 PS4
龍が如く 見参! PS3
龍が如く オブ ジ エンド PS3
龍が如く 維新! PS4