トレーラー
評価:85/100
ジャンル | アクションRPG アドベンチャー |
発売日(日本国内) | 2005年12月8日(PS2版) 2012年11月1日(PS3 HD版) |
開発(デベロッパー) | セガ(現 セガゲームス) |
開発国 | 日本 |
ゲームの概要
この作品は、極道の世界を描く『龍が如く』シリーズ1作目のPS3用リマスター版です。
歌舞伎町をモデルとした神室町 と、ゲームとは縁遠い極道たちの世界をゲームに落とし込むバランス感覚には痺れました。
アクションゲームとしては極悪なカメラと、ほとんどボタンを連打して攻撃するだけの深みの無さで、特にこれといって魅力はありません。
しかし、全ての不満を掻き消すほど、凄い作品を作りたいというクリエーターの誠 の創作魂が堪能できる傑作でした。
野暮にはお引き取り願った粋な箱庭空間
本作はシリーズ一作目ということもあり、アクションや操作性はじめあらゆる箇所が荒削りでとても褒められた出来ではありません。
移動中カメラが切り替わるだけで進行方向を見失い、戦闘中もカメラがデタラメ過ぎてストレスフルでした。
戦闘は頻繁にやらされる割にほとんど作業プレイでしかありません。ヒートアクションという必殺技が派手で爽快感があるのと、最後の敵にトドメを刺す際にフィニッシュムーブ風にスローモーションになる演出は豪華ですが、それ以外は凡庸で見るべきところもありません。
ですがゲームを開始して即、心底魅了されました。それは、作り手の本気度がゲーム画面からひしひしと心に染み入るように伝わってきたからです。
とんでもないものを作ってプレーヤーを驚かせたいという熱意がゲーム開始早々にプレーヤーに対して激しいメンチを切ってくるため「このゲーム本気だぞ!!」と身構えさせられ、マジメに向き合わないと作品に対して失礼にあたると襟を正しました。
実際の役者が一癖も二癖もある魅力的な登場人物達に声をあてることで明らかに普通のゲームとは異なる高めのリアリティラインに調整し、他作品との明確な差別化に成功しており、この時点で他のゲームとは別格のオーラを発しています。
ムービーパートは、極道の世界を地に足付けるための飲食や喫煙などの生活感表現やキャラクターを印象づける演技など、できるだけゲーム内の雰囲気を決定付けるものに絞られ、ムービー部分とゲーム部分がお互い良好な関係を築き相乗効果を発揮しています。
舞台となる歌舞伎町をモデルとした神室町は、来る者拒まず去る者追わずといった暖かくもなく冷たくもない、でもちょっぴり人肌に近い適度な温度でプレーヤーを住人として迎え入れてくれ居心地が最高でした。
ムービー含め、神室町に生活感を出しながらも粋な街として飾り立て、そこに暮らす極道や住人たちにゲームの手垢がついていない役者の演技で命を吹き込み、他のゲームと徹底的に差別化し新鮮さを確保するというコンセプトを貫徹できた時点で勝ちだと思います。
優れたリソース配分
本作は限られたリソースをどの箇所にどれくらい投入するかのバランス感覚が非常に巧みで、前述したアクション部分が酷いという欠点をその他の部分がカバーしており、部分部分だけ見ると欠点が多いのに全体としてはさほど気になりません。
バトル部分も、あまり出来が良くないことを自覚しているのか、回復アイテムを大量に持ち込めばごり押しできるように逃げ道を作っているなど、出来が良くないなら良くないなりにユーザーフレンドリーにするという配慮も大人だなと思います。
戦闘もリアルタイムではなく、街でヤクザや不良のシンボル(NPC)とぶつかるとエンカウントするというシンボルエンカウント式なため、ややゲーム臭さは否めません。
しかし、街の外観や雑踏などの環境音がしっかりしていることはさることながら、NPCとの衝突時に相手がよろける様な処理を加えることで、道行く人と肩がぶつかるという極道ものならではの重要性の高い動作を抜かりなくゲームに落とし込んでおり、雰囲気作りは抜かりがありませんでした。
最後に
クリアまで約10時間強ほど。
正直、アクションに関わるシステム周りはカメラはじめ欠点だらけで目もあてられません。
しかし、それを補ってあまりある、作り手の斬新な作品を作って世の中を驚かせたいという情熱、そしてそれを実現させてしまうもの作りのビジョンの確かさに感動しました。
龍が如くシリーズ
タイトル
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ハード
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龍が如く2 HDリマスター | PS3 |
龍が如く3 | PS3 |
龍が如く4 | PS3 |
龍が如く5 | PS3 |
龍が如く0 | PS4 |
龍が如く 見参! | PS3 |
龍が如く オブ ジ エンド | PS3 |
龍が如く 維新! | PS4 |
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