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テイルズ・オブ・グレイセスf(エフ) 〈レビュー・感想〉

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トレーラー

 
評価:80/100
 
作品情報
ジャンル
守る強さを知るRPG
発売日(日本国内)
2009年12月10日(Wii版)
2010年12月2日(PS3版)
開発(デベロッパー)
ナムコ・テイルズスタジオ
開発国
日本

短評

 
 スピーディで爽快なバトルの魅力のみで一点突破を狙ったかのような戦闘特化型のバランス調整がされており、バトルの面白さは圧倒的。
 
 ただ、バトルの完成度の高さに対して、ストーリーやその他システムがうまく追随できておらずややバランスに欠ける。
 

孤軍奮闘するバトルシステム

 
 本作で面白さの土台を支え、主役を担うのはシリーズでも屈指と思われるバトルシステムの魅力です。
 
 戦闘時の攻撃タイプにはA(アーツ)技という通常攻撃タイプと、B(バースト)技という広範囲攻撃や魔法などやや特殊な攻撃を行う二種類のタイプがあり、キャラクターごとにアーツが得意・バーストが得意・両方こなすバランスタイプ、などが設定されています。
 
 このA(アーツ)技とB(バースト)技は、敵や状況に応じて使い分けを求められ、これがいい感じでマンネリ回避の刺激として貢献し、非常に好印象でした。
 
 正直、序盤は攻撃タイプがわざわざ二つに別れている理由を図りかね煩雑に感じたものの、これが敵の弱点を突くという要素を帯びだし、ひたすら同じ攻撃パターンを繰り返すマンネリをうまい具合に遠ざける働きをしてくれるのだと分かると一転印象が上向きます。
 
 バトルは常にスピーディなテンポを重視しており、簡易的なスタミナシステムであるCC(チェインキャパ)数値は、何もしないとあっという間に回復するため、敵を攻撃し放題という締まりのない状態を避けつつ、CC数値(スタミナ)の残量に気を配りながら攻撃・回避を行うという必要最低限の緊張感を確保できており、非常に好ましいバランスです。
 
 別途MP(テイルズで言うとTP)のようなものはなく、ただ簡易的なスタミナシステムであるCC数値だけで全ての攻撃コストを一元化してくれるため、例えば蘇生魔法を使って欲しいのにMPが空で、まずMPを回復させてから蘇生魔法を使う……といった無駄なもたつきは排除され、少し待てばあっという間にチャージされるCC数値を消費するだけであらゆる行動が可能です。
 
 この行動を全てCC数値に一元化するという試みと、アーツとバーストの二種類の攻撃スタイルを敵の弱点に応じてスイッチしながら戦うという組み合わせの妙が功を奏しており、攻撃も回復も非常にストレスフリーな使用ができ、隙のないハイスピードバトルの爽快感を後押ししてくれます。
 
 バトルシステムだけに注目すると、今までプレイしたテイルズオブシリーズの中でも間違いなくトップクラスの完成度で、これほどまでに戦闘の快感が最後まで持続し続けたのは、自分的にシリーズの中でも一番好きな『テイルズ オブ エターニア』以来でした。
 
 ただ、シリーズでも屈指の輝きを放つバトル以外のシステムは可もなく不可もなくな程度で、あまりピンとくるものはありませんでした。
 

存在が希薄なシステム群

 
 本作は、RPGにとって下手をしたら最重要である成長システムは投げやりで、通常のレベルアップはもはやただの空気程度の手応えしかありません。
 
 セットした称号に応じて付随するスキルをSP(スキルポイント)を貯めることで入手していくという、『ファイナルファンタジー5』のジョブチェンジシステムの簡易版のような成長システムも一見興味深いものの、ただ称号をセットすれば自動的に付随するスキルが追加されていくだけで味気なく、プレイヤーが何かを選択する喜びが希薄です。
 
 成長要素の醍醐味とは複数の選択肢から何かを選択すると他を諦めるか、もしくは取得を先送りしなければならないという心地よい選択の苦悩にこそあり、このようなセットする称号を選ぶ以外にはほぼ全自動的にスキルがプラスされていくだけのシステムでは物足りません。
 
 せめて称号の熟練度が上がる度に複数の選択肢から取得するスキルや強化する項目を選べるなどの工夫が欲しかったです。
 
 他にもエレスポットという、セットする項目によってバトルの補助をしたり、移動を高速化してくれたり、アイテムの自動生成を行ってくれるといったことをほぼオートで行ってくれる便利なものもあるものの、これも頻繁にチェックさせられるため集中力増幅の効果は多少あるもののゲームの面白さを底上げするほど決定的とも言えません。
 
 合成システムも非常に回りくどく、武器・防具に強化用の欠片を合成し、合成した武器・防具の熟練度を上げるとその合成した効果をアクセサリー化して抽出できるというややこしい作りです。
 
 なぜ一旦関係のない武器・防具に合成してからアクセサリー化しなければならないのか理解に苦しみます。
 
 結局、どれもこれも完成度の高いバトルの魅力を強化するほどの存在感はなく(エレスポットだけそこそこ良いくらい)、どうしてもシステム周りはバトルシステムだけが突出して出来がいいという印象しか残りません。
 

あの日出会った花畑の少女の名前を僕達はまだ知らない。

 
 やや長めなチュートリアルを兼ねた幼少期のプロローグエピソードが終わり本番である青年期が始まった瞬間、これからどのような壮大な物語が紡がれていくのだろうかワクワクしましたが、この瞬間の胸の高鳴りが結局ゲーム内で最大の高揚感でした。
 
 中盤(と言うかほとんど終盤)で明らかになるけれん味全開のとんでもスケールの世界観設定はテイルズオブシリーズの中では決して悪くないにも関わらず、そこまでの持って行き方が下手でカタルシスとして機能していません。
 
 シナリオの構成が雑なため、ちょっとしたディテールの掘り下げや伏線が足りず、ないしは機能せず、ただ設定が剥き出しのままプレーヤーの前に放り出されるため「なんだって! 自分たちがいたこの世界って実は!?」と認識がひっくり返らなければならないはずなのに、「え、何これ? どういうこと?」と、単に事態を飲み込めず、提示される情報にきょとんとさせられるだけでした。
 
 プレーヤーの意識の照準を世界観設定に合わせて誘導できておらず、唐突にドラマから世界観設定方面に興味の主軸が移るのに対応できません。
 
 なぜ散々登場人物同士のドラマで引っ張っておいていきなり終盤で設定のほうを強調しだすのか謎です。
 
 せっかく大長編『ドラえもん/のび太とアニマル惑星(プラネット)』のようなワクワクする設定まで用意したのに、もう少し世界観設定へ疑問を持たせてから世界の捉え方そのものがひっくり返る倒錯感を丁寧に演出して欲しかったです。
 
 設定のぶっ飛びさ加減に対してカタルシスがないというのとやや関連するのが、非常に淡泊な話し運びのトーンです。
 
 原因はいくつかあるものの、やはり幼少期から青年期への移行を丁寧に描きすぎてしまったことの弊害でもある、主人公アスベルがすでに序盤で成長しきってしまったことによる認識変化の乏しさです。
 
 『テイルズ オブ ジ アビス』が中盤まで引っ張った主人公が己の傲慢さを悔い改め心を入れ替えることで劇的な成長を遂げるという強力なドラマ性を序盤で使い切ってしまったため、主人公が旅を通して成長していくという手応えが極端に薄いです。
 
 これは一つ一つの街がほとんど通過点にしか感じられず、旅を通して多くの人や価値観と出会うという描写が少ないことにも起因していると思います。
 
 親友を救いたいという物語の動機付けもプロローグで友情を誓い合った以降はそれほど強調されず、しかも話の論点がアップデートされないため同じ様な印象しか受けない行動がひたすら繰り返されるだけで単調です。
 
 この動機は中盤以降は若干影が薄くなりがちで、話の推進力としては非常に弱いです。
 
 ストーリーは構成に難があり、全体的に淡泊で、まったく同じ設定で同じストーリーでも必要な箇所に必要な描写を付け加え、プレーヤーの興味を的確に牽引してさえいけばいくらでも印象が上向く余地があるため非常に惜しいです。
 
 特に自分は国産RPGのカタルシス展開大好き人間なので、終盤の衝撃的な設定が明らかになる展開はもう少し素直に驚きたかったです。
 

不満あれこれ

 
 本作で一番気になったのはPS2版のアビスほどではないものの、エリア移動の際に常に軽いロードが入る点です。ただ部屋の扉を開けるだけでも軽いロードが挟まれるため、単発では別段気にならないものの、数を重ねていくとどうしてもストレスが蓄積されていきます。
 
 後は、ストーリーの推進力が弱めなせいで、テイルズオブシリーズの根本的なゲームとしての体力の低さが露呈しているのもやたら目に付きます。
 
 ストーリー以外ではほとんどバトルとダンジョンのパズル頼みなバランスが剥き出しで、テイルズってこんなに土台となるシステム周りが貧弱なのかと改めて気付かされました。
 
 発売順と逆なものの、先に『テイルズ オブ ゼスティリア』をプレイしていたので、あのマップの広さに甚く感心させられたのはこの貧弱さをうまく誤魔化す効果があったからなのだと納得しました。
 

最後に

 
 本編クリアまで約35時間ほど。本編クリア後に追加される後日談である未来への系譜編はクリアまで約7~8時間で、合計約40時間強ほど。
 
 バトルシステム7:その他要素が3くらいのバランスで、完成度の高いバトルに依存し過ぎなものの、これほどまでにバトルがマンネリ化せず、ラストまで瑞々みずみずしいシステム鮮度を保ち続けられるのは驚異的でした。
 
 細かい不満も多々あるものの、操作の快楽性からもたらされる爽快感抜群の素晴らしいバトルを実現できた時点で今作の価値は十二分でした。
 

テイルズオブシリーズ

タイトル
ハード
テイルズ オブ エクシリア PS3
テイルズ オブ エクシリア2 PS3
テイルズ オブ ゼスティリア PS3
テイルズ オブ ベルセリア PS4