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アサシンクリード ローグ(steam版) 〈レビュー・感想〉 テンプル騎士団の信条に魅入られたアサシン

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トレーラー



評価:80/100
 
作品情報
ジャンル
オープンワールド
海戦 ステルス
発売日(日本国内)
2014年12月11日
開発(デベロッパー)
Ubisoft Sofia
開発国
ブルガリア(UBIの本社はフランス)
ゲームエンジン
AnvilNext

短評

 
 シリーズの中でも屈指の完成度を誇る4の海戦要素をそのまま受け継ぎ、並のゲームを凌駕する面白さなものの、その分目新しさはまったくない。
 
 全体的に4のシステムを整理整頓しただけのようなこぢんまりとした印象に落ち着いている。
 
 ストーリーも主人公がアサシン教団からテンプル騎士団に寝返り仲間だったアサシン達を殺して回るという衝撃的な内容の割に淡泊で盛り上がりに欠ける。
 

海賊を廃業し暗殺者に復帰・・・・・・しかし、どうしても付きまとう海賊の影

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 ゲーム内容は4とほぼ変わらないものの、主人公はテンプル騎士団に寝返るとはいえ基本は終始アサシンなので4のような海賊の船長が突然ステルスし出すという設定とゲーム性が噛み合っていない違和感は解消され、いつものアサシンクリードに近い感触に戻りほっと一息でした。
 
 ただ、今度は主人公がアサシンとなったため、4では違和感がなかった海賊行為のほうが設定から浮いています(なぜかアサシン教団に比べ組織規模で圧倒的に上回っていそうなテンプル騎士団が海賊行為を働く)。
 
 やはり4でも感じたそもそも地味なステルスと派手な海賊行為というまったく方向性の異なるものが雑居してしまっているという違和感がやや薄まりはしたものの根本的には改善されていません。結果、設定とシステムが他人行儀にお互いの顔色を窺い続けるというあまり良好ではない関係性となっています。
 
 システム周りは全体的に4で面倒だった部分を簡略化・高速化し、快適性を確保するという方向性でほぼ一致しています。そのため、プレイは快適になったものの、どうしても4の延長線上で同じ事を繰り返しているだけでしかなく、劇的な変化は感じられません。
 

定期収入が復活

 
 本作は過去作にあった街(建物の改築)に投資すればするほど定期的に振り込まれる収入が増えていくシステムが復活しました。
 
 この部分は海戦で強奪する物資や、今作から追加されたギャングのアジトを潰して街を解放していく要素や、被支配状態にある入植地を解放する要素と連動するなど、システムに厚みがあり好感触でした。
 
 これらやり込み要素は4に比べると整理整頓され遊びやすくなっているものの、やや4の煩わしさを取っ払うことだけに終始しているため、今作らしさは希薄です。
 
 4にはそれ自体は別段楽しいものでなくとも、カリブの海賊という設定や雰囲気にはバッチリ合い、よりゲーム体験を豊潤なものとしてくれるような細々とした要素が無数にありました。
 
 しかし、今作は本編やゲームの満足度そのものには絡まないものの、それがあるだけで遊び心や洒落っ気を堪能できるような要素が乏しく、やや味気ない印象でした。
 

寝返る動機付けに失敗したため、致命的な問題を孕んだ主人公

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 ストーリーは、シリーズで最も衝撃的なはずのアサシン教団のアサシンがテンプル騎士団に寝返り、仲間だったアサシン達を殺害していくことで元いたアサシン教団支部の一つを壊滅に追い込むという内容なのに、思っていたより淡泊でガッカリでした。
 
 その原因は、アサシン教団の教えに忠実だったアサシンが教団のやり方に疑問を抱き裏切るという、シリーズ中でも最も丁寧で繊細な脚本力を要求されるはずの場面が、ただ単にコミュニケーション不足であっさり仲違いしたようにしか見えないことです。教団の信条という絶対の方針と、主人公の信条がぶつかり相容れなくなってしまったという描写があまりにも弱すぎて、仲間達を殺していくという展開に感情移入ができません。
 
 もっと序盤で主人公の考え方とアサシン教団の考え方が微妙に食い違うという描写を積み重ねつつ、テンプル騎士団側の主張にやや心惹かれてしまうといった伏線を丁寧に張り、アサシン教団に対する不信感がある一点で爆発し教団に対する激しい怒りに転化するというプロセスを描ききらないと、このストーリーはそもそも成立しないはずです。
 
 今作は、主人公のシェイがアサシン教団に失望し、仲間と道を違えるという何がなんでも説得力を持たせて成立させなければならなかった部分を適当に描いてしまったせいで、シリーズ中最も感情移入困難な主人公となってしまっています。そのせいでテンプル騎士団側に寝返った後も、この主人公の言動にイマイチ納得できないまま進み、終始物足りなさを覚えました。
 
 キャラの掘り下げ不足はいつものシリーズに比べるとボリュームが少な目なことの皺寄せもあると思いますが、教団への未練を引き摺り続けるにしても、激しい怒りで一気に離反するにしても、設定の過激さに対して、脚本がまるで追いついていません
 
 これならまだ3と今作にも再登場するヘイザムのほうが冷徹かつ紳士的で、プロフェッショナルに徹しており、テンプル騎士団の理念を体現する暗殺者としては魅力的でした。ヘイザムを超える魅力を備えたキャラクターを創造できなかった時点で、今作は3の前日譚という、過去シリーズに依存する弱々しい作品に落ち着いてしまった感があります。
 

不満あれこれ

 
 今作でもっともストレスを感じる部分は、アサシン教団が放ってくる追跡者です。
 
 コチラがステルス中だろうがおかまいなしに襲撃してくるため、ステルス中で大衆に紛れている→追跡者に襲撃され戦闘に→それに反応してパトロール中のイギリス軍兵士がアラート状態になって襲ってくる、という、周りの敵を連鎖的に巻き込んでアラート状態にされるため迷惑この上ないです。
 
 これは、1に出てきた街中でアルタイルを見つけるといきなり突き飛ばしてくるNPCを思い出したほどです。ステルスゲームでステルス中に敵に発見される様な妨害行動をしてくる邪魔なNPCを出すのは勘弁して欲しいです。
 
 後は、相変わらず4と同じでステルス要素はゆるゆるな難易度で歯ごたえがないことです。
 
 今作は前作の吹き矢の代わりに追加されたエアライフル(空気銃)に爆竹ダートという敵の注意を逸らしてくれる便利な弾が追加され、さらにさらにあろうことか範囲攻撃可能なグレネードランチャーまで加わりと、もはや敵の観察など一切不要で、ほぼこれだけで押し通せます。
 
 ひたすらエアライフルとグレネードランチャーだけで全ての敵を無効化できるため、ただ単にミッション開始前に弾を補充してさえおけば何の苦労もなくクリアできてしまいます。
 

最後に

 
 クリアまで約20時間弱ほど。
 
 4のシステムを使い回し、やや大雑把に4の続編と3の前日譚を兼ねる作品をでっち上げただけの様なあまり志の高い作品ではありません。それでも、さすがに完成度の高い4ベースなため、単純なゲームとしての面白さは折り紙付きです。
 
 ただ、アサシンクリードシリーズでは3派の自分としては、ローグ単体ではイマイチだったものの、3の物語に深みを与える前日譚としては楽しめました。劇中でアキレスの亡くなった息子の名前が出てきただけで涙腺が刺激されるほどでした。
 
 今作をプレイすることで、アキレスが『スターウォーズ』のオビ=ワンのように弟子の気持ちを察してあげられなかったせいで大勢の同胞を死に至らしめてしまったという過去が追加され、より3で素晴らしい後継者と出会い、一人前のアサシンとなるまで導いてあげられた奇跡が際立つようになりました。
 
アサシン クリード ローグ リマスター 【CEROレーティング「Z」】

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アサシン クリード ローグ (日本語版) 通常版 [ダウンロード]

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