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アサシンクリード4 ブラックフラッグ 〈レビュー・感想〉 暗殺者よりも楽しい海賊稼業

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プレイ動画

 
評価:85/100
 
作品情報
ジャンル
オープンワールド
海戦 ステルス
発売日(日本国内)
2013年11月28日
開発(デベロッパー)
Ubisoft Montreal
開発国
カナダ(UBIの本社はフランス)
ゲームエンジン
AnvilNext

短評

 
 オープンワールドだからこそ可能なプレイの連続性をフルに生かした豪華な海賊行為はシリーズぶっちぎりのゲーム体験を味わえるものの、これまでシリーズの中心要素だった硬派な歴史ものとしての魅力やドラマ性、ステルス要素は後退した。
 
 物語としての魅力はやや乏しいものの、アクションゲームとしての楽しさは倍増し、満足度は非常に高い。
 

暗殺者と海賊、二足のワラジの弊害

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 今作は、これまでのストイックなアサシンの振る舞いを思わせる抑制の効いたトーンから逸脱し、自由奔放な海賊めいたど派手で大雑把な作品へと変貌を遂げました。
 
 3のオマケに近かった船の操舵や艦船同士の戦闘要素を大幅にブラッシュアップし、この部分だけ抜き出し一本のゲームをでっち上げてしまったかのような豪快さです。
 
 元々中心だったステルスの存在感をゲームを構成するシステム群の一つ程度に降格し、代わりに商船や軍艦を襲って物資や船を奪う海賊プレイを中心に据えるという大胆な方向転換は良くも悪くもこれまでのシリーズと別種の開放感を覚え、通常のアサシンクリードシリーズとは別物に近いです。
 
 
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 他にも、同じくUBIのゲームである『ファークライ』シリーズの狩りとクラフト要素や、敵から奪った船をオンライン上に派遣することでプレイしていない時間にもバックグラウンドでお金を稼いできてくれるソーシャルゲーム的な要素を足しと、やり込み要素は大盛りです。
 
 しかし、色々とごちゃ混ぜにした結果システムの自重が増して全体が不安定になっているのが気になりました。
 
 自分がUBIのゲームをやっていて心底惚れ惚れするどこか人を突き放すような洗練されたドライな仕上がりとは異なり、ややユーザーの顔色を窺い過ぎてやり込み要素を必要以上に大盛りにしたかのように俗っぽく、手放しで喜べません。
 
 特に、一番UBIらしくないと感じたのは、海賊行為を売りにするフリープレイ部分とステルス要素をベースにするメインミッション部分がうまく溶け合っておらず、ちぐはぐに感じることです。
 
 交互にまったく異なる趣旨のことをやらされるため、まるで違うゲームが一つのゲーム内に無理矢理雑居している様で居心地が悪く感じることが多かったです。
 
 ステルス部分は、敵AIの調整がゆるゆるで、敵の近くで他の兵士を暗殺してもほとんど反応がありません。そのため、マップ中の敵をほぼ無尽蔵に殺して排除し放題だったり、途中から使用可能になる吹き矢があまりにも便利すぎてこれだけでほとんど苦労もせず敵を無力化できたりと、ほとんど失敗作なのではと思うほど調整が雑でイマイチ。
 
 タカの目モードで敵を簡単にマーキング出来るようになるなど、体感で便利さを味わえる部分もあるものの、じっくり観察しなくても突破可能な適当な敵配置やAIの賢さの後退など、手抜きにも見える部分が散見され、これなら3のほうがステルス要素はずっと歯ごたえがあり面白かったです。
 
 せっかく船の強化のためお金を稼ぐ行為が楽しいのに、本来なら作品の支柱となるはずの物語やステルスがサブのやり込み要素に負けているため、海賊行為をするフリープレイだけが突出して面白く、メインミッションで強制的に出来があまりよくないステルスをやらされるのが面倒という本末転倒さが勿体ないです。
 

……という不満を全て吹っ飛ばす長回し的オープンワールド使いの巧みさ

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  映画においては編集でカットを割らず、ずっとカメラを回し続ける長回しをやり過ぎると、映像を自然に見せるための手法なのにも関わらず逆に自然に見せようという作り手側のりきみを強調させ不自然さのほうが際立つというデメリットがあります。
 
 しかし、ゲームにおいてはこの様な副作用は一切存在せず、プレイがエリアチェンジやロードという切れ目を挟まず連続していればいるほど豪華さが増し続けるという利点としてのみ作用し、これをフルに生かした海賊プレイは圧巻でした。
 
 今作は陸地ではなく海のほうがメインのオープンワールドとなっており、海上で敵艦船との遭遇、砲撃戦、さらにそこから相手の船に乗り込んでの白兵戦という流れを一切ロードを挟まず繰り広げられ、このダイナミズムに心底魅了されました。
 
 これまでのゲームの記憶からオープンワールドと言えでもどこかで途切れて画面がふっと切り替わるだろうと思いながらプレイしていると「あれ? 敵の船を行動不能にしたのにまだ何かするの?」 「え? このまま大破させた敵の船に接近するの?」「え? このまま敵の船に乗り込むの・・・・・・うわぁ! そのまま白兵戦が始まった!」という、ゲームプレイの連続性がどこまでも途切れないことそのものが強烈なゲーム体験として機能しており感動的でした。
 
 そのダイナミズムを支えるのが、とても1つのフレームに納まりきらないほどの船の巨大さや、操舵の際に船体の質量を意識させる操作性の作り込みや船体の軋みや帆が風を受けるSEなど、重さ表現の技術の粋を結集させているという点が一つ。
 
 二つ目は、そこに今度は正反対である身軽なアサシンの船長を配し、船内の移動や敵船との白兵戦を颯爽とこなさせる点。
 
 この重さと軽やかさの対比がもたらす感覚がアクションゲームとして官能的で美しく、クラクラさせられました。
 
 大河的な歴史ものとしての重みと、SFとしてのアニムスというデジタル空間設定の軽さとの対比。
 
 天を衝くようにそびえ立つ建造物を昇り、ダイブさせられることで際立つ歴史の巨大さと、それと相反する人間のちっぽけさと、しかしそれをすいすいと昇って見せる軽快さ。
 
 まるでゲーム全体が精神の軽やかな自由を求めるアサシン教団と、堅固な規律を重んじるテンプル騎士団の対比構造の相似形が発現したかのようで、そこに美を感じてしまいます。
 
 実は今作をプレイしていて覚えた感覚はアサシンクリードシリーズにずっと内在し潜伏していたものだと分かり、改めてこのシリーズは昔から傑作だったのだと再認識させられました。
 

 

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最後に

 
 クリアまで約30時間ほど。
 
 シリーズとしては大河ドラマのような物語のスケールを持つ3のほうが好みなものの、一本のアクションゲームとしての到達度でいったら間違いなくシリーズ屈指の傑作!
 

アサシンクリードシリーズ

タイトル
ハード
アサシンクリード3 Xbox360
アサシンクリード ローグ PC
アサシンクリード ユニティ PS4
アサシンクリード シンジケート PS4
アサシンクリード オリジンズ PS4