システム紹介
評価:75/100
ジャンル
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タワーディフェンス
FPS
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発売日
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2011年4月15日
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開発(デベロッパー)
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Coffee Stain Studios
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開発国
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スウェーデン
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ゲームエンジン
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Unreal Engine 3
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短評
タワーディフェンス要素をベースにしつつ、FPS(アクション性)と簡易的なサンドボックス(マップ内に好きにオブジェを配置できる自由度とパズル性)を足すというコロンブスの卵的な発想が素晴らしい良作。
しかし、タワーディフェンスには標準搭載されている早送り機能がないため、プレイ時間がやたら間延びしがちで、時間を損したような不快な後味がつきまとうという欠点もある。
敵の進行ルートをプレイヤーが管理する楽しさ
本作は、同じジャンルである『ディフェンスグリッド』のように、敵の進行ルートをプレイヤーが管理しながら、ルート上に自動で敵を迎撃するタワーや、動きをスローにする床などを設置し、それらをコンボさせていくというパズル要素が強めの非常に中毒性の強いタワーディフェンスゲームです。
その中毒性はゲームを止めた後もしばらくは頭の中でトラップ同士のコンボをあれこれ考えてしまうほどです。
なるべく敵が不利になるように遠回りさせる進行ルートを考えつつ、サンドボックスのように自由にオブジェを設置できるフィールドにコンボを考えながらタワーを並べていく作業はシミュレーションゲームのような楽しさもあり、タワーディフェンスの魅力をさらに強化しています。
サンドボックス的な要素という魔法のスパイス
タワーディフェンスというジャンルは、プレイヤーが行えることを簡略化することによって取っつきやすいという長所と、それによってプレイの幅が狭くなり、非常に作業化・マンネリ化しやすいという短所があります。
その点本作は、やや取っつきやすさを犠牲にするものの、アクションを取り入れ、敵ごとに設定された弱点を突くようにマップ内に自由にブロック(タワー)を設置できるパズル性の高いサンドボックス的な要素でプレイヤーに思考を促すことで、弱点である作業化しやすいという短所をカバーしています。
このスタンスは、ジャンルそのものの弱点を認識しながらそれを克服し、タワーディフェンスが持つポテンシャルをフルに引き出そうというしたたかな姿勢が窺え、大変好ましいです。
ただ、問題はアクション性のほうで、これはタワーの設置の仕方がうまくできず、敵の弱点を突くようなコンボになっていなくても無理矢理にプレイヤーが介入し力技で解決できてしまうため、やや本作のパズル性に対して本末転倒気味でもあります。
本作の良くできたパズル性に慣れれば慣れるほど、敵をコンボではめて倒す快感に対して、強引に解決できてしまうアクション性は逆に作業感を覚えてしまいます。
アクション要素を入れることでマンネリ回避の刺激となり、タワー設置の際の些細なミスをいちいち最初からやり直さずとも人力でカバーできる便利さもあるものの、アクションそのもので楽しませてくれるというレベルには達していません。
欲を言えば二段ジャンプやブーストダッシュ機能などを入れてもっと高速にフィールド内を駆け回れるなど、タワー同士のコンボに負けない魅力が欲しかったです。
不満あれこれ
本作は確かに中毒性は強いのですが、密度の濃いゲーム体験であっという間に時間が経ってしまうという好ましい中毒性ではなく、やたらセッティングに時間が掛かったり、単調でテンポの悪い敵のウェーブ量の多さでプレイ時間が水増しされていたりと、ややプレイ後に時間を損したようなダウナーな後味に陥りやすい作業感が強めの不快な中毒性です。
プレイヤーが操作するというアクション性が強いのとCo-opに対応しているためか、タワーディフェンス系のゲームにはほとんど標準装備されている様なプレイ速度を早めるという機能がありません。
そのため、タワーディフェンスジャンルの持つ最大の弱点である、同じ場所から敵がワラワラと湧いてくるのを処理するだけという単調さが露骨に剥き出しになる瞬間が多いです。
それに、元々敵のヘルスバー(HPゲージ)が細くて見えづらい上に、なぜかプレイヤーが銃撃して与えるダメージ量は数字として表示されるのに、タワーで与えたダメージは表示されないため一体タワーがどれくらい敵にダメージを与えているのかが非常に分かり辛く、このせいでタワーのアップグレードをしてもいまいち効果が実感し辛い面があります。
これはプレイのモチベーションに直結してくるためなぜタワーが与えるダメージ量を分かりやすくしなかったのか理解に苦しみます。
最後に
根本のアイデアは非常に素晴らしいのに、バランス調整部分に不備が多く、プレイが間延びしてゲームに時間が吸われるような不快な中毒性を持ってしまっており、そこが悔やまれる限りです。
ただ、タワーディフェンスというジャンルにはまだ秘められたポテンシャルがあり、アイデアと工夫次第で伸びしろが幾らでもあるという可能性を見せて貰えたので大変満足でした。