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【PC】至高の中毒性を持つハクスラRPG |『Diablo(ディアブロ)2』| レビュー 感想 評価

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プレイ動画

評価:95/100
作品情報
ジャンル ハクスラアクションRPG
発売日 2000年6月29日
開発(デベロッパー) Blizzard North
開発国 アメリカ

メモ

 
・ブリザードのBattle.netで英語版(DL版)を購入し、通常版と拡張パックを日本語化してプレイ
・通常版を日本語化した状態で拡張パックをインストールしようとしたら不具合が生じたものの、英語版のまま拡張パックをインストールすると問題なく起動した(その後に日本語化も行えた)
・オフ専のためシングルプレイヤー(オフラインモード)のみプレイ
 

ゲームの概要

 
この作品、ハクスラRPG『ディアブロ』シリーズの2作目です。
 
派手さはありませんが、程よい緊張を生み続ける優れたデスペナルティや、スキルツリーを始めとした手応えのある成長要素を盛り込み、シンプルイズベストなゲームデザインの一つの究極に達しているような傑作です。
 
ちなみに、2はデスペナルティ強めでかつ面倒さを楽しむダンジョンRPG的な高難易度仕様で、3は快適で爽快感重視のアクションゲームと2と3はまったく方向性が異なる別物のゲームとなっています。
 

魔のルーチンワーク

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本作は中毒性を強化する工夫が山盛りです。
 
まず、地味に効果的なのがゲームの起動速度が極めて高速なこと。スタートを押した瞬間にほぼロードを挟まずゲームが開始されるため、起動に一切のストレスがありません。
 
肝心の戦闘は敵や画面をマウスでクリックするだけのシンプルさで、一見すぐに飽きが来そうですが、敵を倒した際のうめき声やSEが小気味よくいいアクセントとなります。
 
見た目にも大量に出血し地面を鮮血で濡らしながら果てていく敵のアニメーションが凝っており、操作ではなく敵のリアクションに快感が伴います。そのため、ただ群がる敵を倒していくだけで辺りに大量の死体の山が築かれていくという絵的な恍惚がありました。
 
ゲームの目標設定も明快でそのもの。
 
本作は移動する際に中継点ウェイポイントという『ダークソウル』でいう篝火かがりびのような一度起動したらその後は自由に行き来が可能となるワープ機能を使用します。
 
珍しいのが、その中継点ウェイポイントがどこのエリアにあるのかという情報が最初からオープンにされており、メインのクエスト進行と平行し目標エリア内の中継点ウェイポイントを探索するという目標を常に持てます。
 
このようにシンプルながらゲームの起動速度・戦闘の快感・移動の利便性・目標設定とあらゆるシステムが中毒性を支えており、プレイ中は集中力が途切れません。
 

『YU-NO』を連想させる時間と手間を天秤に掛けさせるペナルティ設定

 
どの要素を抜き出してもほぼ欠点など存在しない本作の中でも、個人的に最も惚れたのがデスペナルティの設定でした。
 
アドベンチャーゲーム『YU-NO』は、A.D.M.S.アダムスシステムという宝玉をうまくマップ上に設置しながら進めないと、やり直す際に膨大な時間をロスするという緊張感をもたせることでゲーム性を生みだしていました。
 

 
本作では、タウンポータルという簡易ワープ機能がそれと似たような働きをします。
 
メインで用いるワープ機能は前述した通り中継点ウェイポイントですが、その他にタウンポータルというプレイヤーがアイテムを使い自らの意志でどこにでも設置できる使い切りの簡易ワープ機能も用意されています。
 
このタウンポータルという機能は、ダンジョンだろうとどこだろうと何時でもどこでも設置でき、一瞬で街(拠点)へ帰還することができるものの、ゲームを中断してやめる際には消失します。
 
本作はオンラインモードをベース(?)にしているためか、複数セーブスロットなどはなく『風来のシレン』シリーズのようにあらゆる行動にやり直しが効きません。どんな選択肢を選ぼうが、選んだらもうその行動の取り消しは不可能です(PCゲームなのでセーブデータを弄ってズルをすることは可能です)。
 
このゲームは敵にやられるとやられた場所に操作キャラの死体が装備品を身に付けたまま残るという『ダークソウル』におけるソウルのような仕様で、この死体から装備品を回収する必要に迫られるというのがデスペナルティとなります。
 
装備の回収方法は二つ。
 
一つは設置したタウンポータルは消えるものの、ゲームを一度リセットして再開するやり方。リセットする場所がどこであろうと強制的に街(拠点)から再スタートとなり、スタート地点の隣には先程の操作キャラの死体が移動しており、それを回収すれば装備品は戻ってきます。
 
もう一つの方法は死体がある場所まで戻り直接回収するやり方ですが、こちらが肝です。マップやダンジョンには大量の敵がうじゃうじゃとひしめき合い終盤などはその中にメインの装備品を欠いた状態で踏み込めば一瞬で瞬殺されあっさり死亡します。
 
プレイヤーが死亡するということは大概はこの大量に湧きまくる敵群の中か強力な敵(ボスなど)の近くに装備品がある状態で、それを回収する作業は並大抵の苦労ではありません。
 
ここでプレイヤーは選択を迫られます。
 
1.タウンポータルが消え、それまで撃破した大量の敵も復活してしまうため時間はロスするがゲームをリセットしてまた拠点から安全に再スタートするやり方
 
2.うまくいけば時間のロスが回避可能な、設置したタウンポータルでダンジョンへと戻り敵群の中から死に物狂いで装備品を回収するやり方
 
1を選んだ場合は楽に装備品を回収できますが、もう一度時間を掛けてやられた場所まで大量の敵に進路を阻まれながら移動し直さなければなりません。
 
2を選んだ場合は画面を埋め尽くさんばかりの敵群の中から装備品を回収するという苦行を強いられますが、うまくいけば敵群の中でうっかり死亡してしまったという失敗を帳消しにし、やられた箇所から再スタートが可能になります(もちろんタウンポータルをきちんと設置しながら進んでいることが前提です)。
 
このようにプレイヤーがタウンポータルをきちんと設置しないという雑なプレイや、うっかりミスで大量の敵群の中で死んでしまうと、『YU-NO』で言うと宝玉セーブの設置場所を間違える、もしくは設置し忘れるといううっかりミスで時間をロスするのと同様のペナルティを課されます。
 
『風来のシレン』シリーズのようにやられると鍛えた武器・防具を全て失うという装備品と同様にやる気まで失いかねない重いペナルティではなく、『YU-NO』的な雑なプレイや失敗イコール時間をロスさせるという良い塩梅のペナルティ設定を用意することで絶妙なストレスの圧を掛け緊張感を生み、かつプレイヤーの工夫でその時間のロスすら回避できるチャンスまで与えられるというゲームバランスは見事としか言いようがありません。
 
このデスペナルティは『ダークソウル』シリーズすら完全に凌駕しており、一つの究極とすら思えるほどです。
 
自分は丁寧なプレイをしている限りはやられることはなく、うっかり油断して雑なプレイをすると即ゲームオーバーになるというゲームバランスが非常に好みなため、本作のバランスはこれまでプレイしたゲームの中でも間違いなくトップクラスの完成度でした。
 
ヒット&アウェイで敵に囲まれないように戦っていればそうそう死ぬことはないものの、少しでも雑なプレイをしたら一瞬で袋叩きにされ、街(拠点)からやり直しor装備品の強行回収という二択を迫られ続けるため、太く丈夫な緊張の糸が途切れることがありません。
 

ハクスラとしては少なすぎるアイテム所持量のストレス

 
このゲーム最大の不満はハクスラ要素がメインのわりにあまりにも持てるアイテム量拠点で預けられるアイテム量が少なすぎることです。
 
もはや敵がドロップするアイテムを普通に拾うことすら困難で、プレイヤーにアイテムを拾わせたくないのかと思うほど不便さを強いられます。
 
タウンポータル機能があるためアイテムが一杯になったらその都度街(拠点)に戻れますが、いちいちアイテムが満杯になる度に街に戻っていたらいつまで経っても先に進めません。
 
テンポを維持するために大量のアイテムを捨てたり無視したりして進むため、途中からアイテムは拾う物ではなく捨てるか無視する物という認識となり、敵がアイテムをドロップすることにも、宝箱を開けることにも喜びがまったく生じなくなります(元々マップやダンジョンの宝箱やオブジェにそれほどレアなものが入っていないという問題もあります)。
 
単純なアイテム所持量が少ないという以外にも拠点に預けられるアイテム量が極端に少ないという不満もあります。
 
ドロップしたアイテムがまともに拾えないのに比べ、本当に必要なアイテムを選別する取捨選択の心地よい苦悩が味わえてプラスとも取れますが、槍(スピア)や弓、ジャベリンなど複数の武器を使うクラスのアマゾンなどはそれら複数の武器の中から良い物を取っておくという選択肢すら困難でした。
 
そのせいで使用する武器やスキルを絞らなくてはならず、結果弓をメインで使いながら偶然手に入れたレアな槍(スピア)もたまには使ってみたいのにそのレア武器を保管するスペースがそもそもないため強制的に捨てざるを得ません。
 
アイテム所持量や、アイテムを保管できる量が少ないことで全体的にプレイの幅が狭まってしまっており、この点は非常に惜しいと思います。
 
[※追記]
 
拡張パックを適応するとアイテムの保管量が倍に増えるため、保管できるアイテム量が少なすぎるという不満はほぼ解消されました(それでも満足にはほど遠いです)。
 

通常版

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拡張パック適応後

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最後に

 
欠点らしい欠点が存在せずハクスラゲーとしては無類の完成度でした。
 
ハクスラというジャンルゲーでもバランス設定次第でここまでの域に達することが出来ることを証明した、自分の好きなRPG生涯ベスト3には確実に入る傑作です。
 

ディアブロシリーズ

 

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