トレーラー
評価:85/100
ジャンル | ダンジョンRPG+アドベンチャー |
発売日(日本国内) | 2008年7月10日 |
開発(デベロッパー) | アトラス |
開発国 | 日本 |
ゲームの概要
この作品は、『ペルソナ』シリーズの4作目です。
前作の3から引き続き日常生活パートとダンジョンRPGパートをくり返すハイブリッド型のシステムの面白さは顕在です。
さらに、ペルソナ合体やバトルの面白さも相変わらず高水準で、全体的に隙の無い見事な完成度でした。
中途半端な田舎の町の魅力を引き出すという舞台設定的に新しい挑戦も成功しており、何から何までハイレベルな国産RPGの歴史に残るほどの傑作です。
あらすじ
両親の仕事の都合で地方都市に転校してきた主人公は奇妙な事件に巻き込まれる。
不倫報道がされた女子アナが霧の日にTVアンテナから死体が吊り下がった状態で発見。その遺体の第一発見者の女子高生もまた事件を再現するかのように霧の日に電柱から死体が吊り下がった状態で見つかる。
常軌を逸した死に方をした両者に共通する点。それは、都市伝説として語られる、雨が降る夜中、電源を入れていないはずのTVに突如人の姿が映るというマヨナカテレビに映ってしまったことで……。
RPGにおいて、舞台設定が中途半端な田舎という試みが見事

前作の3は人工的に作られた学園都市というライトノベル的な舞台設定をうまくダンジョンRPGのシステムに落とし込んでおり、そのセンスの良さは他のRPGに比べても際立っていました。
今作はそのような分かりやすい味付けすら廃し、ただの中途半端な特にこれといって特徴があるワケでもない地方都市を舞台に生活感溢れるRPGを作るという地味さへの挑戦が見事です。
やや閉塞感すら漂う地方都市の田舎風味を丁寧に描きつつ、それとは逆にインターフェース周りやメニュー画面などはカラフルなカラーデザインで統一し、音楽もリズミカルで軽快。ギャップを演出してみせることで地味なのに華やか、田舎でダサイのに今風という、新しいセンスのRPGに触れているという確かな手応えがありました。
一方で地に足着いた生活感を演出しつつ、一方でそれを重苦しく感じさせないデザインや音楽で軽やかに飛躍させてみせるという鮮やかな手並みは、国産RPGでこのようなアプローチも可能なのかと驚かされます。
オーソドックスなターン制なのに秀逸なバトルシステム
前作の3で好きだったのは敵の弱点を攻撃・または自身の弱点をカバーすることに重点を置いたバトルの完成度と、スタイリッシュな演出でした。
弱点を突くことのメリット、弱点を突かれることのデメリットをプレイヤーが漠然とプレイしているだけで体感で分かる工夫が施されている点が丁寧で、これは面白いシステムを作りそれをプレイヤーに直感的に伝えようとする努力の賜だと思います。
ここら辺は圧倒的な完成度なのに非常に面白さが分かり辛い『ベイグラントストーリー』とは対極で、ベイグラントもこれくらい魅力を伝える努力を丁寧に行えば人を選ばない作品になったのにと歯がゆくなりました。
バトルはBGMも含めテンポが抜群で、敵の弱点を突けた際はペルソナ使用の際にカットイン演出が入り、弱点を突けた快楽をさらに演出レベルでブーストしてくれる至れり尽くせりな完成度で、カメラワークも含めバトル演出の気持ちよさはハイレベルで、システムもバトルの見せ方も隙がありません。
ダンジョンRPGベース+サブ的な他ジャンルのハイブリッドのシステム

本作もダンジョンRPGにサブ的に日常生活パートをミックスし、ダンジョンRPG部分を強化するという、前作から引き続きの手法が採用されています。
相変わらず日常生活パートでは育成SLGジャンルのような楽しさがありつつ、タイムリミット(期限)に急かされ何かを選ぶと何かは諦めなければならないという苦渋の選択を強いられ続ける心地よいプレッシャーがあり、プレイがダレませんでした。
ダンジョンRPGパートの致命的な退屈さ
今作は前作に比べダンジョンが無駄に広くなったことでやたら移動に時間が掛かり単調でした。
ダンジョンが広くなったわりに調整がされておらず、ただスカスカなだだっ広いだけの緊張感のない空間を走らされ眠気に襲われることがしばしばありました。
それと、前作は敵が即死魔法を多用してきたため、そのエリアに応じて即死魔法に耐性のあるペルソナに交換するという手間があった分、緊張感が持続しました。しかし、今作はそれがほとんどなく、そのため現在装備しているペルソナに注意を払う必要がなくなったのも単調に感じる要因の一つだと思います(難易度ノーマルでプレイしたため、もしかしたら難易度エキスパートでは使ってくるのかもしれません)。
ダンジョンRPGパートは面白さのコアの部分で、ここが退屈ということはゲーム中のあらゆる部分に影響が波及してしまいます。自分もあまりにもダンジョン探索が退屈なため、なるべくダンジョンに行かないように1つのダンジョンに付き数回で探索を終えてしまうようなせかせかしたプレイとなってしまい、せっかくのバトルの面白さが台無しです。
このダンジョンパートの退屈さは本作で最も惜しい部分でした。
最後に
クリアまで約50~60時間ほど。
ダンジョンRPGパートの退屈さが問題ですが、最終的には好ましい印象が勝ります。
あまりプレイヤーに好き嫌いを意識させない全方位的なアピール力を持ち、国産RPGの中では圧倒的な存在感を発揮する傑作でした。
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