エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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[レビュー]シェフ 三ツ星フードトラック始めました 〈感想・評価〉

トレーラー

 

評価:70/100
 
作品情報
公開日(日本) 2015年2月28日
上映時間 115分

あらすじ

 
 有名レストランのシェフ(料理長)であるカール・キャスパーは店に訪れる料理評論家に独創的な料理を振る舞おうとするもオーナーの命令でいつもの定番メニューを出し酷評されてしまう。
 
 いちいち店の方針に逆らうカールに腹を立てたオーナーに店をクビにされ、挙げ句の果てに絶大な影響力を持つ評論家を罵倒した動画がネットに上げられたことで、他のレストランにも雇ってもらえない事態に。
 
 そこで心機一転、カールは離婚した妻が親権を持つ、あまり関係が芳しくない息子と共にシェフとしての初心を思い出すべくフードトラックキューバサンドを売り歩く旅に出ることに……。
 

問題が端から存在しないという問題を抱えている

 
 映像作品としては奇をてらったことをほとんどせず、抜群の音楽と編集のテンポの良さでサクサク進むため、不満を覚える要素は一つもないのですが、いかんせん本作は解決しなければいけない問題というものが無いに等しく、見終わった後の印象が極めて淡白です。
 
 作りたい料理(創作物)を作らせて貰えないという悩みを抱える主人公の話が軸のわりに冒頭から楽しそうに料理を作り、問題が起こっても全てご都合主義的に誰かが解決してくれ、端から深刻にも見えない父子関係が深まって終わるという内容なため、映画を見る前と後でさほど登場人物に対する印象に変化が生じません。
 
 主人公にとって都合のいい人物ばかりを周りに並べ、唯一ハードル的な存在である料理評論家ですら、ラストにキューバサンドを目の前で頬張るという見せ場的展開すらすっ飛ばして呆気なく主人公を認めてしまうため拍子抜けもいいところ。
 
 まるで、RPGでニューゲームを開始したらいきなりLv.100でカンストしており、途中で一度たりともピンチに陥らず、ラスボスもあっけなく一撃で倒しゲームをクリアしてしまえたような手応えの無さ。これは、美少女アニメなどで言うところのハーレムものにも近い感触。
 
 主人公に対して何一つプレッシャーが存在せず、かつ最初から最後までトーンが陽気一辺倒でメリハリがないため、正直途中で眠くなる箇所が幾つかありました。
 
 ラストに息子が旅の合間に撮影した動画を見せてくれますが、この動画を見ても旅の印象が薄すぎて感慨深さがないというところが本作のロードムービーとしての味気なさを現していると思います。
 
 これは三幕構成でいうと一幕目の店をクビになるまでの序盤のパートが異常に長く、二幕目のロードムービー部分が短いため、旅を振り返る際のカタルシスが弱くなるという構成上の問題も大いにあり。さっさと店をクビになって、ロードムービーにスムーズに移行していたらこの物足りなさも少しは改善されたかもしれません。
 

最後に

 
 ドラマが淡白ゆえそこに期待していると多少の物足りなさを感じます。内容が薄いのに尺がそこそこ長いのもマイナス。
 
 ただ、陽気で楽しい映画で、出てくる料理は無難な撮り方ですがしっかり美味しそうに見えるため一定水準の満足が得られるのは確実。
 

 

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