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ヒッチャー(1986) 〈感想・レビュー〉

トレーラー

 
評価:70/100
 
作品情報
公開日(日本) 1986年5月3日
上映時間 97分

短評

 
 撮影が素晴らしく画面は常に映画として高級感ある豪華な仕上がりなのに、ストーリーは終始トンデモ展開だらけでイマイチ乗れず。
 
 ルトガー・ハウアー演じるジョン・ライダーの不気味な存在感に依存しすぎで、サイコスリラーとしてはバランスが悪い。
 

あらすじ

 
 ジムは車の配送のためサンディエゴへと向かう最中、土砂降りの中ヒッチハイクをする男を見かけ好意から同乗させる。しかし、ヒッチハイクをしていた男、ジョン・ライダーはどこか言動が不審であった。
 
 怪しいと思い始めた矢先、先程自分を追い越していった車が道の脇に不自然に停車しているのを発見する。不審に思い車を止めようとするも突然ジョンが停車を阻止。なぜこんなことをするのかと問いただすと、ジョンは先程の車の持ち主を惨殺したと告白し……。
 

全てなんとなくの雰囲気だけで話が進むとんでもサイコスリラー

 
 本作を見る前はてっきりヒッチハイカーがまともなのか危ない人間なのか判断が付かないという展開で引っ張るタイプのサスペンスなのかと思っていたら、いきなり冒頭から本性を現して主人公を脅しだし、話がとんでもな方向に向かいだすため、早い段階で馬鹿馬鹿しくて興味が失せました。
 
 展開の荒唐無稽さばかりが目立ち、怖いというよりもずさん過ぎてバカバカしいという印象のほうが強烈に前に出てきて、まったく映画に乗れません。
 
 途中から犯人がヒッチハイカーであるという設定自体が放り投げられ、ただの狂人に付け狙われるだけの展開になり、スリラーとして雑すぎて白けました。
 
 スティーブン・スピルバーグ監督の『激突!』で例えれば、犯人がトラックから降りてきて素手でぶん殴ってくるような、それをやったら台無しだろうということを平気でするので、付いて行けません。
 
 サイコスリラーを志向している筈なのにあまりにも起こる展開に溜めがなさ過ぎて、いきなりどでかい事件の犯人の濡れ衣を着せられても、もはや犯人のジョン・ライダーが賢くて怖いというよりも、警官が状況証拠だけで犯人を決めつける無能のバカにしか見えません。
 
 ジョン・ライダーという主人公に試練を課す、人間なのか何かの象徴なのかすら分からない正体不明の男はルトガー・ハウアーの演技に丸投げし過ぎで脚本がアシスト出来ておらず、若干『ブレードランナー』のセルフパロディにすら見えます。
 
 見た目はそれほど怖くないのに振る舞いが怖いというほうがサスペンス的なのに、見た目も怖いしやっていることもただの暴力なため、ただの安っぽいスラッシャーにしか見えません。
 

シナリオと比べロケーションや撮影は圧巻

 
 舞台となる荒野はしっかり映画的に風景を切り取れており豪華そのもので、ところどころ景色に目を奪われる箇所もありました。
 
 ただ、それが何か作品的に相乗効果を生んでいるかと言えば、凶悪な殺人鬼と警察に追われ誰にも理解されない孤独を大自然の中でぽつんと佇むことで表現するというありきたりな効果という程度。
 
 結局、終始話がデタラメすぎるためそもそも感情移入などできず、警官に追われながらところどころ綺麗な景色があるなくらいの印象しか受けませんでした。
 
 撮影も1カットたりともしょぼい絵というものがなく、映画的にきっちり仕上げているのに、だからといって映画として何か魅力があるかと言われると微妙。
 
 牢屋の中で目覚める際にジョンが車のガラスをノックする音と銃声が重なるという編集も絶妙で、ジョン・ライダーの来訪をノックで表現するという手法も場面とバッチリ合う鮮やかな手並みでハッとさせられました。
 
 他にも牢屋の鍵が開いていることに気づくシーンを長回しで自然に見せるなど、演出や撮影は全体的にハイレベルなのに、なぜかそれが面白さに一つも結びつかないのが不思議でした。
 

最後に

 
 映像作品としては悪くないのに、勢いとルトガー・ハウアーの演技に頼りすぎなせいで試みがことごとく不発しているのを見せられ退屈でした。
 
 サスペンスとしては緊張感が足りず、スラッシャーとしては暴力描写をきちんと描かずどっちつかずな内容。
 

 

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