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[アニメ]僕のヒーローアカデミア 1期 〈感想・レビュー・評価〉

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OPアニメーション


評価:65/100

 
※原作未読
 
作品情報
放送期間(1期)
2016年4月~6月
話数
全13話
アニメ制作会社
BONES(ボンズ)

 

 

あらすじ

 
 世界中の人間が個性(特殊な能力)を持つのが当たり前となった世界。ゆえに個性を悪用し暴れるヴィラン(悪者)が社会問題化し、ヴィランを鎮圧するヒーローが持てはやされ、みなの憧れの職業となった。
 
 緑谷出久(みどりやいずく)通称デクは誰よりもヒーローに憧れる少年だったが、無個性(何の能力も持たない珍しい人種)として生まれたことでヒーローになる夢に限界を感じていた。しかし、デクの最も尊敬するヒーローの中のヒーロー、平和の象徴オールマイトと偶然出会ったことがキッカケとなり、デクは奇しくも憧れのヒーローへの道を歩むことに……。
 

ヒーローが職業化(プロ化)された世界

 
 表面上は記号的なヒーローもののパロディの寄せ集めにも見えますが、メッセージはこの上なく明瞭で、プロフェッショナリズム(プロ意識)を持つことの大切さ、貫くことのカッコ良さと、それを維持することの困難さという至極真っ当なもの。
 
 プロの象徴であるオールマイトはさながら持病に苦しみながら執筆に勤しむ漫画家にも、腱鞘炎の痛みに耐えながら作画するアニメーターとも重なります。
 
 最初見た時は「何て記号的な、アメリカンヒーローを間違って解釈してしまったしょぼいパロディキャラなんだ……」といった程度の印象しか受けませんでしたが、終盤のプロとしての振る舞い・踏ん張りに胸を打たれました。
 
 ただのヒーローもののパロディだと思っていたオールマイトが、実はパロディ的にすら見えるような王道スーパーヒーローというイメージをあえて受け入れて演じ、どんなにボロボロになっても周囲への配慮のため颯爽としたヒーロー像を崩さないという信念を持っていることが浮かび上がると、このキャラクターのプロ意識の高さに惚れ惚れします。
 
 終盤でようやく主人公のデクがなぜそれほどまでにオールマイトというヒーローに惹かれたのかの理由が分かりました。ヒーローの生き様を通してプロ意識を描くという少年漫画原作としては至って健全なアプローチで納得です。
 

ヒーローものとしてはちぐはぐな設定

 
 主人公は熱烈にヒーローに憧れていますが、そもそもこの作品のリアリティラインが低いこともあり、この世界がそれほど切実にヒーローを欲しているように感じません。
 
 ヒーローになりたいという、ヒーロー供給サイドの掘り下げばかりで、ヒーローを求める需要サイドの視点の描き込みが欠けており、バランスが悪いです。
 
 まるで主人公のデクがヒーローになりたいという願望を成就するために存在しているようなご都合主義の世界観設定にすら見えて、お膳立てが少々過ぎるきらいがあります。もっとヒーローの魅力を際立たせたいなら、なぜ世界がそれほどヒーローを切実に求めるのかという切羽詰まった事情を描写したほうがより主人公達にりっぱなヒーローに成長して欲しいという、見ている側の応援の熱量も高まったはず。
 

たった13話なのに話の推進力が不足気味

 
 序盤はデクが無個性ゆえにヒーローになれないという大きな悩みを抱え、その問題が話の推進力になっていたのに、途中であっさり解決してしまい、早い段階で目的が宙ぶらりんになるという問題が生じます。
 
 無個性の人間でも果たして生まれつき能力を持つ者と同様のヒーローになれるのか?という、非常に見る側が感情移入しやすい具体的かつ現実的な悩みを主人公と共有できる序盤はあっという間に終わります。そこからは自分もオールマイトのようなスーパーヒーローを目指すという漠然とした目的に移行するため、たった13話しかないのにも関わらず、すでに序盤から何を目的として話が進んでいるのか曖昧で、正直ストーリーが退屈でした。
 
 小目標を小刻みに設定するなどの工夫がないため、明らかに話の推進力が不足しています。OPアニメーションで主人公が雄英高校に入学するということはすでに確定しているのが分かるので、雄英受験にも緊張感が生じません。
 
 後、最初はわりとデク視点に絞って物語が語られますが、人数が増え出してからは群像劇スタイルのように視点があっちこっち飛びまくるため、まだどのような人物なのか紹介が終えていないキャラに視点が移るたび、居心地の悪さを覚えます。
 
 さらに途中からデクすら三人称的な視点扱いで描かれるようになり、誰視点で話を追えばいいのか混乱しやすいです。ここはもっと話の主軸となる視点を特定のキャラに絞って分かりやすくして欲しかったところ。
 

最後に

 
 
 作品の雰囲気にあったデフォルメの効いた抜群のキャラクターデザイン、アクションシーンの激しい作画などのビジュアル面は見応えがあるのに、設定や物語部分が弱く薄いため、結果的には画面の派手さほど盛り上がりませんでした。
 
 作品の最初と最後でオールマイトに対する印象が跳ね上がったのは、作り手が主人公よりもオールマイトに入れ込んでいるからなのかも。