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ドラゴンボールGT 〈感想・レビュー・評価〉

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OPアニメーション

 

評価:60/100

あらすじ

 
 かつて神様とピッコロが一つだった際に作られた強力な(星が)黒いドラゴンボールがピラフにより使用され、子供の姿となってしまう悟空。黒いドラゴンボールは通常の(星が)赤いドラゴンボールと異なり、使用した惑星内のみに留まらず、あちこちの銀河に飛び散ってしまった。
 
 界王様から黒いドラゴンボールは使用してから一年以内に集めないと星が消滅してしまうのだと警告を受け、悟空とトランクス、悟空の孫であるパンは地球を救うため、宇宙の彼方へと飛び散ったドラゴンボール集めの旅に出ることに……。
 

ドラゴンボールバイアスを無視したコメディ要素

 
 本作はキャラクターにわざとらしいコミカルなやり取りをさせる割りに、くすりとも笑いが漏れることがありません。それはドラゴンボールを見る際に、視聴者側の頭の中に存在するドラゴンボールバイアス脳内スカウターと言い換えてもいい)を前提としていないため。
 
 悟空達の頭をやたらごっつんこさせてみたり、落下物を衝突させて痛がらせたりと、やたら体を張ったチャップリンかジェッキー・チェンかという様な喜劇風やり取りが多いですが、そもそもフリーザやセルと平気でやり合えるような悟空達がちょこっと頭をぶつけた程度でダメージを負うわけもなく、アイデア自体が空回りしています。
 
 このような痛いはずのないことで痛がったり、本気を出したら負けるはずのない相手にわざわざ苦戦させてみたりと、マッチポンプ要素が多すぎ、辟易します
 
 ドラゴンボールとは常に読む側の想像・期待を上回る濃密なアイデアの宝庫のような作品であり、そのドラゴンボールをこのような低レベルで子供騙しな脚本で誤魔化そうとする姿勢に腹が立ちました。
 

構成の失敗

 
 前半の宇宙でドラゴンボール集めをするというスペースオペラ要素があまりにもお粗末だったため、中盤で仕切り直しを図ろうとしましたが、結局また失敗し、修正しきれないまま終盤に突入してしまう始末。
 
 前半何も積み上げられないまま中盤になだれ込んだツケは大きく、パンやトランクスなど、描きようによってはいくらでも魅力的に描けたはずのキャラの良さを殺し、まったく違う話が唐突に始まるというお粗末な構成に。
 
 出たとこ勝負の近視眼的な話に終始するのみで、そのせいでドラゴンボールという歴史の積み重ねによってドラマを紡ぐようなタイプの作品の魅力をことごとく殺してしまっている残念な構成力。
 
 ラストで元気玉を使用する際に、宇宙を旅した過程で出会った人たちから元気を貰いますが、あまりの数の少なさと印象の薄さに逆に驚かされました。
 

元気玉の感動、そしてDBロス、悟空ロス

 
 不満だらけの本作の中でも、素敵な拾い物もありました。それは子供のころは漠然としてしか捉えていなかった、元気玉認識が大幅にプラス方向に変化したこと。
 
 悟空が自分を応援する者達から元気を集めるという展開は非常にメタ的な意味合いを含み、あの元気玉を形成する大量の元気の中に、ファンの元気、つまり自分の元気も込められているのだと思うと、非常に感慨深いものがあります。
 
 悟空とファンが繋がる瞬間、それが元気玉という視聴者(の心)参加型の技なのだと、頭ではなく体が理解してくれたため、元気玉とはなんとドラゴンボールという作品の精神の在り様そのものを体現した素晴らしい技なのかと深い感動を覚えました。
 
 改めて自分はドラゴンボールという大傑作の魅力をきちんと把握できていなかったのだと反省させられるばかり。
 
 そして圧巻なのは最終回の余韻。ペットロスならぬドラゴンボールロス、悟空ロスを覚え、観終わって半日ほど脱力して動けなくなりました。最終回は視聴者からドラゴンボールや悟空という大切な存在を奪い去ります。ドラゴンボールや悟空がいかに自分の中で大きな存在なのか、それが消失するということがどのような意味を持つのか……人生において、失って初めてその存在の真の価値に気付くことは往々にしてありますが、このGTという作品の最終回はまさにドラゴンボールと悟空を失うという貴重な体験ができます。
 
 若干作り手の意図とは異なると思いますが、これはドラゴンボールファンならぜひ経験しておきたい通過儀礼のような機能を果たします。
 
 ドラゴンボールという作品の擬似的な死を経験することで、逆にドラゴンボールに対する自分の思いを整理することができます。この最終回の悟空ロスを経験したことで、ドラゴンボールという作品の掛け替えのなさに気付き、自分のドラゴンボール愛はより深いものとなりました。
 

最後に

 
 アニメ作品としては凡作、もしくは駄作の部類。ですが、本当に大切なことに気づかせてくれた貴重な一作でもあります。
 
 
DRAGON BALL DVD BOX DRAGON BOX GT編

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