エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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[レビュー]ドラゴンエイジ オリジンズ(Xbox360版) 〈感想・評価〉

トレーラー


評価:75/100

短評

 
 海外RPGの優れたコンセプトに、国産RPGのバトルの面白さを足した様なハイブリッド的な作りで完成度が高い。突き抜けた魅力は無いが、堅実な作りで及第点は確実に取る手堅い作品。
 

苦手なマルチルート・マルチエンディング

 
 自分は物語というものは長期連載の漫画や結末を決めないで始めるサスペンスドラマなどを除いて、絶対に覆せない一つの結末があることにより全体が締まるという考えなのでマルチエンディングというものが根本的に好きではありません。それプラス、マルチルートやマルチエンディング型のシナリオにありがちな、選択によってルートが分岐する際に話が破綻しないようにあらかじめ予定調和的な区切りのようなものがイベントの前後に付けられているのがどうにも物語的なリズムをぶった切る要因になっている印象を受け苦手です。一本道ゆえに強力に引っ張り続けられるシナリオと、選択肢が存在するゆえにどの選択肢を選んでも破綻しないようにバランス調整されているこじんまりとしたシナリオだと一本道の強引さを好いてしまいます。
 
 しょせん置き換え可能な程度の設定をそここに配して、そこに誰(何)を配置するか、プレイヤーが選んでいるようにみせかけて、実はただ単に選ばされているだけ。そのような物語の骨格にはさほど影響を与えはしない、登場人物などを自分好みに配置できる程度の自由度では上質な一本の物語の満足度には遠く及んでくれません。
 
 ラスボスのアーチデーモンと戦わずに和解するや、アーチデーモン側について人間を滅ぼす、などの選択肢は無し。ダークスポーンとして生まれ、ダークスポーンの正義を信じるエピソードも無し。結局固定された正義と悪の二元論の中での狭い自由度でしかないため、何かを選択する喜びや苦悩が予定調和的で希薄です。
 
 シナリオのカタルシスを重視せず、海外のRPGに多い世界観のディテール掘り下げ系(架空の歴史の作り込み)をメインにした指輪物語タイプで、そのことも展開のつまらなさに拍車を掛けています。選択肢によって展開が変化する面白さを提供したいのであれば、このようなディテールを彫り込みプレイヤーに口述で説明したり、劇中の書物で読ませたりするタイプよりも、もっとストーリーのうねりを体感させるような、物語を言葉で語るのではなく、肌感覚でプレイヤーに訴えるような作り方のほうがしっくりくるはず(クインテットの天地創造のような感じ)。
 
 選択肢多用のシステムをもっとうまく機能させたいなら、世界観設定の深みよりも、まず興味を持つような目先の展開の面白さを重視するアドベンチャーゲーム的なアプローチのほうが理に適っているのではないかと考えさせられました。
 

一見シームレスに見えてその実エンカウントに近い敵の配置

 
 ダンジョンの特定の場所でエンカウント的に戦闘が発生するシチュエーションの作り方はクロノトリガーに近い印象を受けました。一戦一戦、敵の配置や種類に応じて細かく戦略を変えるスタンスは非常にシンボルエンカウントのシステムのそれに近いです。
 
 狭いダンジョンで戦闘を強要され続けるため、やらされている感がやや強めなのは問題ですが、その分シームレス型のゲームにありがちな先程手こずった敵と再戦したらなぜかあっさり倒せてしまう。など、非常に雑なバランスを回避し、誰を先に倒すか、どのタレント(技のようなもの)を使うか、味方をどう守るのか、作戦をどう設定するか、プラスやはり適度な運要素などで戦いの結果がある程度合理的に決まるため、一戦一戦のバトルが計算されている満足感があります。
 
 エンカウント型のゲームで生じる同じ構成の敵パーティと延々連戦させられるというマンネリは覚えづらく、エンカウント型の作り込まれたバトルデザインの妙と、シームレス型の一度として完璧に同じシチュエーションの戦闘はないというマンネリ回避戦略をうまく融合させており、心地良かったです。
 
 ベイグラントストーリーウィッチャー(一作目)に似た、アクション的な要素はあるものの、反射神経を要求されるタイプではない準アクションRPG型で、アクションの爽快感よりも敵に応じたセッティングの楽しさに力点を置いたタイプな点も非常に自分好みです。
 
 派手さはないものの確かな堅実さがあり、バトルが退屈に感じる瞬間はクリアするまでほとんどありませんでした。
 

作戦で設定できる行動が中途半端で惜しい

 
 味方NPCへ細かい行動の指示が出せるというシステムはファイナルファンタジー12のガンビットを想起させる非常に魅力的な点ですが、いかんせん痒いところにまったく手が届いてくれません。条件を設定し、その条件を満たすと特定のアクションを取るという部分はまんまガンビットですが、この条件というものが非常に少なく、高度な作戦を設定したくても困難です。気絶(死亡のような状態)した味方を復活させたくても気絶した味方をターゲットにする条件が無かったりと、条件に設定できる項目がきちんと完備されていないのが大きな不満点。
 
 結局回復アイテムを大量に生産で作成し、自分や味方のHP・MPが減ったら使いまくるという設定にさえすればどんな敵でもある程度はごり押しで倒せてしまえるため、ただの戦闘中の回復管理システムになってしまっている感すらあり、FF12のガンビットの圧倒的な楽しさに比べると見劣りします。
 

最後に

 
 クリアまで約30時間弱。
 
 どこを取っても及第点で満足度は高いものの、どこに注目してもそこまで突出した面白味や斬新さはないため、実はアピールが難しい作品。
 

ドラゴンエイジシリーズ

 

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