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評価:55/100
ジャンル | シミュレーションRPG |
発売日(日本国内) | 2013年5月16日 |
開発(デベロッパー) | フェリステラ |
開発国 | 日本 |
ゲームの概要
この作品は、『サモンナイト』シリーズの開発元であるフライト・プランのスタッフが独立して立ち上げた会社フェリステラが制作したシリーズの5作目です。過去作との関連はなく、5から始めても問題ありません。
据え置き用から携帯機用のゲームデザインとなり、シナリオ・バトルともに過去作からスケールダウンしシリーズの魅力が激減しました。
これまでしっかりしていた箇所があらかた崩壊し、全体的に安っぽい続編です。
気色悪いキャラクターの掛け合い、魅力の乏しい舞台(世界観)、弱すぎるシナリオ(ドラマ)の三重苦
今作はシリーズ中でも最低な薄く・浅く・盛り上がらないシナリオです。しかも主人公に魅力も皆無でこれが『サモンナイト』なのかと落胆しました。
キャラクターの描き込みも浅く、主人公は最初からいい人で、どんな時でもいい人で、やはり最後までいい人であり続けるため、ドラマが生まれようもなくただのバカにしか見えません。
変化・成長という物語に必要最低限の要素が抜け落ち、聖人のような主人公を周りが察し、影ながら励まし支え続けるという気色の悪い関係性を延々と見せられ拷問でした。
主人公の周りにいるキャラクター達はすでに主人公と交友関係を深めた後の状態のため、基本的に対主人公の印象に変化が生じません。信頼しあっているという結果だけ見せられ、その信頼が生まれたプロセスは描写されないため、そこまで主人公が無条件に愛されている状態にプレイヤーが入り込む余地が皆無です。
漫画の『ワンピース』で例えると、すでにルフィとゾロ、ウソップ、ナミ、サンジ、チョッパーの間で揺るぎのない厚い仲間意識が形成された後のアラバスタ編から話が始まり、なぜこの人達がルフィに対し絶大な信頼を寄せているのかさっぱり分からないような状態。
へらへらしていて目先のことしか考えず、敵の陽動にあっけなく引っかかった主人公を「お前はそういう奴だから仕方がない」となぜか問い詰めもせず許してあげるプロ意識の欠片もない甘々なクズみたいな召喚士集団の言動にストレスしか溜まりません。
このゲームは、キャラクターたちのやり取りに対してプレイヤーがどのような感情を抱くのかという視点が完全に抜け落ちています。
舞台となるセイヴァールという街も、全体的に細部の描き込みが足りないため生活感もなく、舞台そのものがキャラクター化して浮き上がってきません。
リィンバウム(舞台となる異世界)の他の土地と比較・相対化されず、リィンバウムの中でもかなり特殊な街と言及されているのにも関わらず、セイヴァールの特殊性に実感が湧きません。
舞台を固定し動かさないのであれば、最初はほのぼのとしたいい街として描き、徐々に裏の顔が浮かび上がってくるなど、サスペンスフルな街演出をしないと淡白に感じます。
例えば初代『バイオハザード』のように、最初はただの郊外の洋館だと思っていた場所が実はアンブレラ社の生物兵器研究所のカモフラージュ用の建物だったと分かる、など。
人も街も最初と最後で特に印象が変わらないため、刺激にならず、記憶にも残りません。シナリオも薄々分かりきっていることが延々明らかになっていくだけのとろくさい展開で、特にスケール感が大きくなっていくワケでもなく退屈この上ありません。
シナリオは全体的にゲーム自体のボリューム不足のしわ寄せのためかこぢんまりとしており、傑作の2、3にはまるで及びません。
バトルからセッティングへ
今作のバトルは、狭くて代わり映えしないマップと、同じくバリエーションに乏しい敵ユニットが連続するため盛り上がりに欠けます。
召喚術のアニメーションカットインがこれまでの2DアニメーションからCGに代わり、派手さが鳴りを潜めてしまった点も残念でした。
携帯機向け仕様のためか、これまでのシリーズに比べ一戦一戦の時間を短縮しバトルそのものというよりはスキル・武器カスタマイズ・召喚術強化・パーティ能力セッティングなど、むしろバトル前の準備段階に手を加える要素を増やし、面白さの勘所をバトルからセッティングにズラしたような感触でした。
元々『サモンナイト』シリーズは、昔からレベルアップ時にボーナスポイントを割り振れ同じキャラでもどのステータスを伸ばすのか、どのようにクラスチェンジさせるのかなど、そこそこ自由度の高い成長要素があり、シミュレーションRPGとしての完成度は高めでした。
同じく、今作のセッティング要素にも一定水準の中毒性はあるものの、やはりそれだけで引っ張るにはまだプレイヤーが自由に弄れる部分が少なく、到底満足できません。
最後に
クリアまで約24時間ほど。
前作の4も失敗作でしたが、それを下回る続編を出され、もうシリーズへの興味がほぼ尽きました。
据え置きシリーズの続編を携帯機で出した時に生じるスケールダウンをなぞり、良い部分と悪い部分で圧倒的に悪い部分が勝ってしまっている典型的なダメ続編でした。
サモンナイト関連
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