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冒険家アドルの絶海の孤島カナン諸島冒険記 イース ナピシュテムの匣(はこ) (PS2版) 〈レビュー・感想〉

プレイ動画

 

評価:65/100

 
作品情報
ジャンル
アクションRPG
発売日(日本国内)
2005年3月10日(PS2版)
開発(デベロッパー)
日本ファルコム
開発国
日本

短評

 
 古典的とも言えるほどのオーソドックスで無難な作りのアクションRPGなため、最低限の面白さは確保されており安心してプレイできる。
 
 しかし、複数のエメラス剣(魔法剣)を切り替えながら戦うというコンセプトがうまく機能しておらず、このゲームならではのゲーム体験というものが欠けておりインパクトがない。
 

あらすじ

 
 冒険家アドルは、船での航海中に巨大で荒々しいカナンの大渦に飲まれ、大渦内に存在するカナン諸島に漂着した。
 
 アドルは未開の地カナンを冒険する過程であらゆる文明の祖である先史文明エルディーンと、かつてエルディーンに存在した翼を持つ神々である有翼人たちの存在を知る。
 
 有翼人が造り上げ、カナンの地に封印したとされるナピシュテムのはこの秘密とは……。
 

設定の面白さを生かし切れない薄味のシナリオ

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 本作は大渦に囲まれ容易に侵入できない未開の地カナン諸島という舞台や、先住民であるレダ族が暮らす集落と、大渦に飲まれ漂流して流れ着いた外来の者たちが築いた街の間にやや険悪なムードが流れているなど、興味を惹かれる設定が多いです。
 
 にもかかわらず、結局用意した素材をうまく料理できておらず、盛り上がりに欠けます。
 
 レダ族側と漂流者側のそれぞれの主張の食い違いや、文化的なバックグラウンドの差異などを際立たせるように作られていません。そのため、何となく見た目が違うものの同じような物の考え方をしている者同士にしか見えず、結局この設定を最大限生かしきれていません。
 
 もっとレダ族側のアルマに対する信仰心と、信仰に対して無理解な漂流者たちといった、価値観が摩擦する描写を丁寧に描き込むことで緊張感を持たせて欲しかったです。
 
 それに、プリレンダムービーを多用し、大スペクタクルを演出しようとしているものの、いかんせん物語自体が弱く、かつエルディーンという古代文明の説明不足と、ナピシュテムの匣を狙うエルンストという敵が終盤唐突に登場するため掘り下げ不足過ぎるなど問題が山積しており、うまくスケールを出せていません。
 
 全体的にカタルシスに必要な丁寧な設定・描写の積み重ねが足りず、起こっている出来事は派手な割に受ける印象は軽いです。
 

致命的なエメラス剣の存在感不足

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 本作の最大の問題は、本来なら売りになるはずの三本のエメラス剣(魔法剣)を戦闘中に切り替えながら戦うというシステムがまったく機能していないことです。
 
 まず、三本の剣にさほど違いがないため、戦闘中に武器を切り替える利点がありません。斬撃モーションに多少の違いがあるのと、剣技というその剣固有の技(連続攻撃回数が多い・溜め攻撃ができる、など)が設定されている程度で、ハッキリ言ってどの武器を使ってもほぼ同じ程度の感触です。
 
 それぞれの剣が風・炎・雷の魔法を使うため、属性のようなものが設定されているのかと思いきや、特に存在せず敵に応じてエメラス剣を使い分ける必要がそもそも皆無で意味がありません。
 
 これはエメラス剣を強化していくという武器の成長要素を採用しているため、プレイの仕方によっては三本の剣に威力の差がついてしまい、弱いエメラス剣を使っても効果的なダメージを与えられないという状況が起こらないようにする配慮だと思います。
 
 そのせいで剣によってダメージが与えられない敵、極端に相性が存在する敵などがおらず、どの剣を使っても同じように倒せてしまい、プレイヤー側にどのように剣を使い分けるか考える余地(相手の弱点をつくという快感)がありません。
 
 剣を強化するといっても、結局細かいパラメータや能力を弄れるワケでもなく、ただ単に均等にレベルアップさせていくだけという味気ない武器強化もどきで退屈です。
 
 プレイヤー側に武器強化プランを自由に考える余地がない武器強化に面白味があるはずもなく、ただ強化に使うエメル石が溜まったら強化して貰うという機械的な作業をくり返すだけでガッカリでした。
 

レベルデザインは◎ ジャンプ周りの操作性×

 
 イースシリーズだけに、レベルデザインは秀逸で、弱い敵の中に強い敵が混じって一撃死させられるとか、平気で強い敵がいるエリアが隣接し、そこに迷い込んだら一撃死と、気を抜いているとあっさりゲームオーバーになる緊張感の作り方などは好きでした。
 
 自分はマジメにプレイしていると問題ないものの、気を抜くとあっさりゲームオーバーさせられるというバランス設定が一番好みなので、このバランス調整がしっくりきます。
 
 フロム・ソフトウェアのゲームのようにマジメにやっていてもゲームオーバーさせられるまでいくと人を選ぶものの、イースのバランス設定の置き所は絶妙で、これを味わいたくてイースをやっていると言っても過言ではないほどです。
 
 ただ、ジャンプを多用するようなマップが多い割に、ジャンプボタンを押してもスムーズに入力を受け付けず落下するというケースが多発し、ここはストレスしか感じませんでした。
 
 通常時には問題ないのに、なぜかギリジャン(端っこギリギリでジャンプ)する時だけうまくジャンプできなくなるため、嫌がらせみたいで不快でした。
 
 しかも、普通のジャンプすらうまくいかないのに、やや遠い位置にある宝箱を回収するのに必要なダッシュ斬りジャンプというテクニックが面倒で、延々宝箱を目の前に落下し続けるという拷問のようなマップにコントローラを投げつけたくなる瞬間が多々ありました。
 

不満あれこれ

 
 本作はややレベル依存過ぎなバランス調整がされており、最初は強かった敵がレベル上げをしただけで雑魚化してしまうのが極端です。このせいでRPGとしての成長の快感を重視し過ぎて、アクションゲームとしての堅実さを破壊してしまっています。
 
 成長の快楽とアクションゲームとしてのバランスのどちらをどれくらいの比重で配分するのがベストなのかという点は好みが別れるものの、今作はやや成長要素(RPG要素)に偏り過ぎで、アクションがないがしろです。
 
 次に、どうしても看過できない不満はメニュー画面を開く際に若干ロードが入ることです。
 
 ロードの長さはどんな傑作でも駄作に変えてしまうほど強力なマイナス要因で、本作もメニュー画面を開く際に一瞬待たされる苦痛が徐々に蓄積され、メニュー画面を開くのが段々と億劫になってきます。
 
 アクセサリーの変更や、アイテムの使用、スロットに装備するアイテムの変更など、メニュー画面を開く頻度が高いため、この部分はかなりのストレス源になります。
 
 

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最後に

 
 設定の面白さの割にほぼ盛り上がらないストーリーに、オーソドックスであるということが目的化したようなアクションRPG部分と、無難な出来以上の感想がありません。
 

余談

 
 本作は、村人などモブキャラが全員フルボイスという国産RPGにしては破格な豪華さで、そこは驚かされました。
 
 そのため、もう少しこのフルボイスであるという豪華さを利用したイベントを入れて欲しかったです。