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小説

神の左腕を巡る戦国悲劇 「小太郎の左腕」 著者:和田竜 〈書評・レビュー・感想〉

評価:80/100 作品情報 著者 和田竜 出版日 2009年10月28日 短評 戦国の狙撃手を巡る残酷なる物語 物語に束縛されるだけの小太郎はじめ、もろもろの不満点 最後に 和田竜作品 短評 戦国時代のとある地方を舞台に、戦国最強の狙撃集団である雑賀(さいか)衆の…

笑いと感動の痛快バカ忍術アクションコメディ 「忍びの国」 著者:和田竜 〈書評・レビュー・感想〉

評価:85/100 作品情報 著者 和田竜 出版日 2008年5月 短評 作家和田竜の見出した新境地 笑いに走りすぎてしまったがゆえにないがしろにされるもの 最後に 和田竜作品 短評 戦国時代、織田信長の次男織田信雄(のぶかつ)が、忍びの国である伊賀(いが)に攻…

父子が憎み殺し合う激烈なる戦国ホームドラマ 「南海の翼 長宗我部元親正伝」 著者:天野純希 〈書評・レビュー・感想〉

評価:80/100 作品情報 著者 天野純希 出版日 2010年11月26日 短評 卑怯と嘘と秘密主義の大きすぎる代償 コンセプトの面白さに対しやや弱めな語り 最後に 短評 戦国時代を舞台に、一度は四国統一を果たしたものの、その後は転落の一途を辿った長宗我部(ちょ…

村上海賊の戦国組織マネジメント 「秀吉と武吉 -目を上げれば海-」 著者:城山三郎 〈書評・レビュー・感想〉

評価:85/100 作品情報 著者 城山三郎 出版日 1986年 短評 組織を率いる者の重責がこれでもかと詰まった陰鬱な歴史小説 毛利家が分かる丁寧な歴史解説 タイトルと内容の深刻な齟齬 最後に 短評 戦国時代を舞台に、瀬戸内海の海賊である村上水軍(村上海賊)総…

罪がテーマのSF短編集 「罪人の選択」 著者:貴志祐介 〈書評・レビュー・感想〉

評価:80/100 作品情報 著者 貴志祐介 出版日 2020年3月27日 短評 貴志祐介のSF観が堪能できること請け合い もはや絶望がホラーですらある「夜の記憶」 植民惑星に蔓延する謎の信仰に迫る「呪文」 罪人が選ぶ答えはなぜいつも間違いなのか「罪人の選択」 人類…

歴史に残る爽快な負け戦 「のぼうの城 上・下」 著者:和田竜 〈書評・レビュー・感想〉

映画版のトレーラー 評価:85/100 作品情報 著者 和田竜 出版日 2007年11月28日 短評 一騎当千の武将率いる500の兵で2万の軍勢を迎え撃つ血湧き肉躍る忍城攻防戦 映画版との違い 最後に 余談 和田竜作品 短評 戦国時代の末期、豊臣秀吉が天下統一を目前に控え…

織田信長の命である、安土山に築城せよ!! 「火天(かてん)の城」 著者:山本兼一 〈書評・レビュー・感想〉

映画版のPV 評価:90/100 作品情報 著者 山本兼一 出版日 2004年6月14日 短評 お城作りもりっぱな戦だ!! 思っていたよりも盛り上がらないストーリー 最後に 短評 戦国武将である織田信長の居城、安土城作りを任された宮大工の岡部又右衛門(またえもん)以言…

想像力の限界を突き破り未知なる境地へ到達した超傑作SF叙事詩 「百億の昼と千億の夜」 著者:光瀬龍 〈書評・レビュー・感想〉

評価:120/100 作品情報 著者 光瀬龍 出版日 1967年 短評 始まりと終わり、そして永遠の物語 死にゆく世界が託す遺言 1960年代の小説とは思えない奇抜なセンス 原作小説とマンガ版との比較 最後に 短評 ギリシャ哲学・バラモン教・仏教・キリスト教・量子論と…

四谷怪談を文学として再創造した傑作 「嗤う伊右衛門(いえもん)」 著者:京極夏彦 〈書評・レビュー・感想〉

評価:90/100 作品情報 著者 京極夏彦 出版日 1997年6月1日 短評 この世の何も愛せない男と、愛が深い故に身を滅ぼす者たちの織り成す悲劇 原作があるゆえに強烈に滲み出る京極夏彦らしさ 最後に 京極夏彦作品 短評 歌舞伎や落語、演劇や映画など様々な媒体で…

答えのない人生に迷う者を時に厳しく時に優しく見守る作家、冲方丁の本領 「微睡みのセフィロト」 著者:冲方丁 〈書評・レビュー・感想〉

評価:80/100 作品情報 著者 冲方丁 出版日 2002年4月 短評 冲方丁の特徴を並べて展示した見本市のようなハードボイルドSF これって短編じゃん…… 最後に 冲方丁作品 短評 従来の人類である感覚者(サード)と、超次元能力に目覚めた新たな人類、感応者(フォ…

4つの短編から成る岡山の田舎残酷物語 「ぼっけえ、きょうてえ」 著者:岩井志麻子 〈書評・レビュー・感想〉

評価:85/100 作品情報 著者 岩井志麻子 出版日 1999年10月1日 短評 不快度MAX!! 人間の残酷さをこれでもかと暴く4つの短編 生々しい話と相性が悪い怪談的なオチ 最後に 短評 表題である「ぼっけえ、きょうてえ」はじめ、岡山の貧しい田舎を舞台に、女が凄惨…

詩と歴史書、そして義に生きた黄門様の生涯 「光圀伝 上・下」 著者:冲方丁 〈書評・レビュー・感想〉

評価:95/100 作品情報 著者 冲方丁 出版日 2012年8月 短評 日本の歴史書作成に携わった光圀自身の歴史を辿る 優れた詩人である光圀を詩的な文体で表現する心意気 時代小説であると同時にSFでもあるぶっ飛んだオチ 最後に 冲方丁作品 短評 江戸幕府初代将軍で…

超傑作!! 改暦に人生を捧げた囲碁侍の生き様 「天地明察 上・下」 著者:冲方丁 〈書評・レビュー・感想〉

評価:100/100 作品情報 著者 冲方丁 出版日 2009年11月30日 短評 守りに入らず何歳になっても新しい事に挑戦し続ける大切さを説く 人より多くの失敗を経験することの意味 最後に 冲方丁作品 短評 江戸時代の前期を舞台に、800年間も使用され続け、もはや暦の…

宴の仕上げは伊豆の百鬼夜行(妖怪行列) 「塗仏の宴 宴の始末 百鬼夜行シリーズ #6(後編)」 著者:京極夏彦 〈書評・レビュー・感想〉

評価:90/100 作品情報 著者 京極夏彦 発売日 1998年9月20日 短評 騙す側と騙される側、本末が転倒し続ける奇っ怪な宴の終焉 いくらなんでもトリックが雑すぎるという不満 最後に 百鬼夜行シリーズ 短評 前編にあたる『宴の支度(したく)』で登場した謎の宗…

小説2、3冊分に及ぶ大ボリュームの序章 「塗仏の宴 宴の支度 百鬼夜行シリーズ #6(前編)」 著者:京極夏彦 〈書評・レビュー・感想〉

評価:90/100 作品情報 著者 京極夏彦 出版日 1998年3月30日 短評 京極夏彦作品らしいどうかしている序章 シリーズでも最大級の知的興奮が味わえる妖怪の歴史講釈 ……とは言っても、やはり室内での会話が長すぎるという問題も 最後に 百鬼夜行シリーズ 短評 後…

人の時代が暮れ行き、妖しい夜に呑まれる帝都東亰 「東亰異聞(とうけいいぶん)」 著者:小野不由美 〈書評・レビュー・感想〉

評価:95/100 作品情報 著者 小野不由美 発売日 1994年4月 短評 小野不由美という作家の才能に戦慄する脅威の伝奇ミステリー 文明開花の光すら届かない深海の如き夜に喰われる帝都東亰 衝撃の二重構造ミステリー 最後に 小野不由美作品 短評 架空の明治時代に…

セカイをウラであやつるナゾのひみつそしき(笑) 「ヘヴィーオブジェクト 亡霊達の警察 #7」 著者:鎌池和馬 電撃文庫 〈書評・レビュー・感想〉

評価:60/100 作品情報 著者 鎌池和馬 発売日 2013年11月9日 短評 失笑を禁じ得ない、小・中学生が考えたような戦争の裏側で暗躍する謎の秘密組織(笑) オブジェクトの象徴であるオニオン装甲をあえて採用しないイレギュラーな機体たち 最後に ヘヴィーオブ…

一度始動したら止まらない巧妙なる殺人機構 「絡新婦(じょろうぐも)の理 百鬼夜行シリーズ #5」 著者:京極夏彦 〈書評・レビュー・感想〉

評価:90/100 作品情報 著者 京極夏彦 発売日 1996年11月 短評 手駒が自発的に動くように仕向ける洗脳、真実の中に混ぜられる毒の如き僅かな嘘……全てが犯人不在で稼働するよう装置化された自律犯罪機関 シンメトリックにデザインされた京極夏彦作品らしい神経…

ニコニコ動画の精神を完璧に小説化して見せた小粋な短編集 「南極点のピアピア動画」 著者:野尻抱介 〈書評・レビュー・感想〉

評価:85/100 作品情報 著者 野尻抱介 発売日 2012年2月23日 短評 夢追い人を全力で応援する超ポジティブSF短編集 硬派なSF設定と軽快な物語のコントラスト 最後に 短評 大きな目標に向かって挑戦する人を、ピアピア動画という動画配信サービスを愛するユーザ…

イースターズオフィスvsクインテット、死屍累々の激突 「マルドゥック・アノニマス #3」 著者:冲方丁 〈書評・レビュー・感想〉

評価:85/100 作品情報 著者 冲方丁 発売日 2018年3月20日 短評 イースターズオフィスの全エンハンサーが参加するクインテット狩りの幕開け バロットとウフコック、最良かつ最強のパートナー再び またまた膨大な組織&人物の相関図 最後に マルドゥックシリー…

禅問答のようなミステリー、ミステリーのような禅問答 「鉄鼠(てっそ)の檻 百鬼夜行シリーズ #4」 著者:京極夏彦 〈書評・レビュー・感想〉

評価:90/100 作品情報 著者 京極夏彦 発売日 1996年1月 短評 世俗から隔絶された禅寺で起こる僧侶連続殺人事件 そこにあるのに見えぬもの、意味があるのに読めない犯行に翻弄される『姑獲鳥の夏』のハイセンスなアレンジ版 またしても繰り返される苦痛極まり…

幾人もの記憶が複雑怪奇な模様を作る凶夢の巨大マンダラ 「狂骨の夢 百鬼夜行シリーズ #3」 著者:京極夏彦 〈書評・レビュー・感想〉

評価:90/100 作品情報 著者 京極夏彦 発売日 1995年5月8日 短評 髑髏や夢にまつわる怪奇譚、国譲りの神話、密教の怪しい儀式、フロイトとユングの精神分析が交差する壮大な伝奇ミステリー 常に眠気との戦いを強いられる壮大な前置き&説明群 ミステリーとして…

予想を上回る第三世代オブジェクトの衝撃 「ヘヴィーオブジェクト 第三世代への道 #6」 著者:鎌池和馬 電撃文庫 〈書評・レビュー・感想〉

評価:80/100 作品情報 著者 鎌池和馬 発売日 2012年6月8日 短評 ヘヴィーオブジェクト オブ デューティ ブラックオプスもしくはゴーストプロトコルな汚れ仕事に徹する巻 ぜひ映像で拝みたかった第三世代オブジェクト、ブロードスカイサーベル 感動的なものの…

オブジェクトが一切登場しない番外編 「ヘヴィーオブジェクト 死の祭典 #5」 著者:鎌池和馬 電撃文庫 〈書評・レビュー・感想〉

評価:70/100 作品情報 著者 鎌池和馬 発売日 2011年11月10日 短評 技術や武器の見本市と化したオリンピック 新キャラであるマリーディ=ホワイトウィッチのお披露目会 長編にしてしまったせいで逆に欠陥が露呈する残念な完成度 最後に ヘヴィーオブジェクト…

匣、箱、筥の[はこ]尽くし幻想奇譚 「魍魎の匣 百鬼夜行シリーズ #2」 著者:京極夏彦 〈書評・レビュー・感想〉

評価:100/100 作品情報 著者 京極夏彦 発売日 1995年1月 短評 匣が匣を呼ぶ匣、匣、匣の匣物語 デザイナー京極夏彦のデザイン小説 魍魎の如き一筋縄ではいかない事件関係者たち どうしても気になる違和感 最後に 百鬼夜行シリーズ 実写映画版 短評 匣(はこ…

資源問題の話に焦点を絞り切れなかった惜しい巻 「ヘヴィーオブジェクト 電子数学の財宝 #4」 著者:鎌池和馬 電撃文庫 〈書評・レビュー・感想〉

評価:75/100 作品情報 著者 鎌池和馬 発売日 2011年9月10日 短評 オセアニアの埋蔵資源を巡る政治的陰謀の面白さを台無しにするハーレム水着回 存在感のある資本企業の第二世代オブジェクト、ディープオプティカル 意外にもSFしている信心組織の内情 最後に …

戦前・戦中・戦後と繰り返される不可解な身投げ事件の謎に刀城言耶が挑む 「幽女の如き怨むもの 刀城言耶シリーズ #6」 著者:三津田信三 〈書評・レビュー・感想〉

評価:85/100 作品情報 著者 三津田信三 発売日 2012年4月23日 短評 刀城言耶は脇役で主役は遊女という、花魁残酷物語 遊女という題材から導き出される答えはミステリーではなくホラー ミステリーはオマケのようなあっさりさ 最後に 刀城言耶シリーズ 短評 刀…

マルドゥック・シティをかき回す地殻変動の予兆 「マルドゥック・アノニマス #2」 著者:冲方丁 〈書評・レビュー・感想〉

評価:85/100 作品情報 著者 冲方丁 発売日 2016年9月21日 短評 『スクランブル』のカジノ、『ヴェロシティ』の抗争に匹敵する犯罪組織へ潜入を試みるスリル 『アノニマス』というシリーズの方向性を決定づける、ハンターという発明 法律の横やりがない単調な…

新生09チームが謎の殺人ゲームの黒幕を追う新シリーズ第1巻 「マルドゥック・アノニマス #1」 著者:冲方丁 〈書評・レビュー・感想〉

評価:80/100 作品情報 著者 冲方丁 発売日 2016年3月24日 短評 ヴェロシティに似た作風同様にボイルド化していくウフコック どこの誰か分からないエンハンサーの能力説明を延々聞かされ続けるやや退屈なアクション 最後に マルドゥックシリーズ 短評 作風は…

マルドゥックシティ犯罪レポートな短編集 「マルドゥック・フラグメンツ」 著者:冲方丁 〈書評・レビュー・感想〉

評価:80/100 作品情報 著者 冲方丁 発売日 2011年5月10日 短評 マルドゥック・シリーズを整理し、補足し、予告する短編集 ひたすら繰り返されるワンパターン展開 最後に マルドゥックシリーズ 短評 6つ収録されている短編の半数以上が過去作の『マルドゥック…