エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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[レビュー]仁王(steam版) 〈感想・評価〉

トレーラー

 
評価:85/100

メモ

 
・オフ専なのでオフライン用の要素のみプレイ
 

短評

 
 ソウルライクゲームながら、もはやダークソウル3と比較してもなんら劣らぬほど、アクションゲームとして高いポテンシャルを秘めている。ただ、ソウルライクゲームの良さを破壊するような改悪をそこここでしてしまっていたり、システム同士がケンカしている箇所があったりと、本来作品が持つ魅力をうまく発揮し切れておらず惜しい。
 
 

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物語の舞台であることを捨て、手堅くボリュームを取った質より量のミッション制

 
 本作はフロム・ソフトウェアのダークソウルシリーズに影響を受けたソウルライクゲームです。なので、主人公であるウィリアム・アダムス(日本名は三浦 按針みうら あんじん)の生まれ故郷であるイギリスから始まるプロローグ部はさすがに別として、日本に舞台が移ってからは、当然ダークソウルのような、ひたすらマップが繋がり続けていく構造なのだろう……と、思い込んでいたら、最初のボスを倒すと突然日本地図が映る場面に移行し、きょとんとさせられました。
 
 

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 この系統のゲームは説明っぽさをやたら嫌い省く傾向が強く、ここまで露骨にゲーム丸出しの地図画面が表示され「なんだこれ?」と困惑させられたのは初めて。ですが、徐々にこれはボリュームを確保するために、一度クリアしたステージをサブミッションで使い回すための仕組みなのだと分かり合点がいきました。
 
 構造としてはダークソウルよりも、むしろ同じソウルライクゲームであるザ・サージのエリアをクリアすると他のエリアにロードを挟んで移動しなければならないタイプに近く、それをさらに一つ一つのエリアのボリュームを減らし、数を増やし、エリアごとの繋がりを廃して無遠慮に地図画面から直接ミッション選択制にした作り(個々のステージをダンジョン化したとも言える)。
 
 

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 サブミッションの多くはメインミッションで使ったマップを、今度はスタート位置や敵配置を変えて再利用というバイオハザード リベレーションズシリーズのレイドモードのような作り。この使い回すことを前提としたかのようなマップのメリットは、ボリュームを膨大な量確保できる点。デメリットはメインミッションの連続性が断ち切られたことで物語が極端に分断され、薄まり、殺されてしまう点。
 
 ダークソウルという美意識の塊の作品に真正面から勝負を挑むのを避け、あえてゲーム感丸出しの仕様にし、密度の濃さよりも膨大なボリューム確保に走るという姿勢は、無双シリーズのようなとにかく武将の数を増やしたがる、質より量体質の印象が強いコーエー・テクモ(のコーエー寄り)っぽいので、なるほどダークソウルをコーエー・テクモが作るとこういうマップの構造になるんだなと妙に納得してしまいました。
 
 なので、ダークソウルのように漂う空気にまで物語性が染み込んでいる濃密さを本作に求めてしまうと、暗い作風はなんとなくの雰囲気止まりで、ストーリーの推進力もほぼステージ攻略中には存在せず、やや肩透かしを食らいます。
 

 

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残心はじめ、熱気が伝わってくる剣戟アクションの作り込み

 
 本作で最も優れていると感じたのは、ダークソウル3にすら匹敵するほどのバトルの駆け引きの魅力です。特に一番好印象だったのは残心という、を攻撃した直後にタイミングよくボタンを押すことで消費した分のスタミナゲージ(本作では気力ゲージ)が大幅に回復し、再びゲージが回復するのを待たず、そのまま次の攻撃動作(もしくはガード)に移れるというシステムです。
 
 似た感触のシステムで言うと、ギアーズ・オブ・ウォーのリロードの途中でタイミングよくボタンを押すと一瞬でリロードが終了するアクティブリロードに近く、丁度このアクティブリロードから面倒さだけを抜き、チャンバラ版に改良したような感じ。
 
 気力ゲージとにらめっこしながら的確に攻撃を加えたり防御したりという、ソウルシリーズの一撃一撃が致命傷となる緊張感はそのまま踏襲しつつ、攻撃後にゲージが回復するのをじっと待ち続ける時間をプレイヤーのボタン入力で省略させ、攻撃動作を連続できるようにしたことで、より戦闘が忙しくなり、アクションの手応えが増しました。
 
 この戦闘にリズムが生じる残心の魅力は革新的で癖になります。
 
 その他にも、完全に回避性能だけが特化して高いせいでガードをほぼ使う機会が無かったザ・サージに比べ、気力ゲージに注意しつつ攻撃を的確にガードで凌ぐのも楽しいし、掴んでくる投げ技系の攻撃は回避しなければならなかったりと、敵がガードと回避をそれぞれ要求してくる攻撃を繰り出してくるため、両方バランス良く使わされ刺激的でした。
 
 やはり、一流のアクションゲームは攻撃だけでなく、敵の動きを観察させ、どの攻撃をガードし、どの攻撃は回避するのか思考させる、防御面の工夫にも隙がありません。
 

突如ゲームがバイオハザード6化する恐怖体験

 
 本作で致命的な問題に思えるのが、ソウルライクゲームとして、一部改悪としか思えないような変更が加えられており、このせいで余計なストレスが半端ではなく増した点。
 
 まず、意味がまったく分からないのが、ダークソウルで言う篝火かがりびとなる、チェックポイントであるやしろで回復アイテム(仙薬)が補充されない、ただの消費アイテム制な点。しかも、仙薬はショップで購入することも出来ず、敵がドロップしたり、ハクスラ要素があるので、余った武器・防具などを社に奉納し、アムリタ(経験値、ダークソウルで言うとソウル)に変換した際に少量入手できるといった、限られた手段でしか入手できません。
 
 

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 そのため、序盤は仙薬不足で、ザコ敵戦相手ですら手こずり、ボス戦ともなると戦う度に消費するので、PS2時代のモンスターハンターでボス戦ごとにハチミツを探しに狩り場に足繁く通うが如く、周囲のザコ敵から何度も何度も作業プレイで倒しては入手しなければならず、たまったものではありません(モンハンのハチミツ集めは好きでしたが)。
 
 この回復アイテムを補充制にしなかった問題はずっと尾を引きます。中盤以降は陰陽スキルという回復魔法のようなものを覚え、これは逆に社で補充される回数制なため、結果仙薬の消費量が激減し、割と大量に余り出すのですが、それでも序盤仙薬不足で苦しんだ記憶が残っているため、無意識的に仙薬を温存して戦おうとする癖が付いてしまいます。そのせいで幾度となく仙薬を使っていれば普通に助かった場面でも温存しようとして変な死に方をしたり、ちょっと強めのボスなどがいるサブミッションでは湯水のごとく消費し、しかも途中でミッションを辞めても消費した分は返還されないので、もう仙薬を消費するのが怖くて怖くて仕方がありません。
 
 ラストステージなんて、ボスととんでもない回数戦わされるため、その都度大量の仙薬を消費し、自分の場合は在庫すら尽きてしまい、もうアイテム所持上限数の半分くらいしかない状態で無理やり押し通してクリアしたので、気が気ではありませんでした。このラストステージのストレス量はバイオハザード6(以下BH6)級で、空気がまったく読めない鬱陶しいだけのボス戦がしつこく苦痛で、仙薬は湯水のごとく消費しあれよあれよの内に枯渇し、なにも楽しくないボス戦を延々とやらされ「つまんないからさっさと終わってよ!!」とストレスでイライラしっ放し。
 
 興味深いのはBH6はシューターで、こちらはチャンバラアクションでまったくジャンルが違うのに、ボス戦がしつこく、回復アイテム(BH6の場合は弾薬も)が不足し使いたくても使えないという状況が重なるとほぼ同種のストレスが発生するというのが分かったこと。「あれ、このストレスどこかで体験したことあるぞ……そうだBH6とまったく同じやつだ!」と、ストレスの性質でゲーム体験が繋がるという貴重な経験をしました。ただ、もう二度と味わいたくはありません。
 
 回復アイテムが補充制で無くなった点以外も、わざわざアムリタとお金を別々にして、経験値もお金もソウルに一元化して管理しスッキリしていたソウルシリーズの良さを殺している点も気になりました。
 
 さらに、ハクスラ要素を入れてしまったせいで敵がドロップする大量のアイテムを拾うという行為が作業化してしまい、せっかく探索でアイテムを探すこと自体は楽しいのに、アイテムを拾うことそのものが味気なく感じてしまうのも勿体ないです(入手できるアイテムもそもそも探索の報酬として物足りないのも問題)。
 
 アイテム回収がやや味気ないという不満にも通じるのが、ゲームプレイ全般がやたらパサパサと乾燥したようなつやが足りていない手触りな点。移動時などドタバタと忙しなく移動するようで、もう少しダークソウルのように一歩一歩重々しく落ち着いた歩調で歩けないのかと不満でした。
 

最後に

 
 クリアまで約45時間弱。ボリューム的には相当だったダークソウル3すら凌駕し、プラスDLCもそこに加わるので、恐ろしいほどのミッション量とシステム周りの物量があり、ボリューム不足を感じることは皆無だと思います。ただあまり変わり映えしないステージ内容のせいで途中でゲームが息切れし出すので、中盤以降はやや作業プレイ化しがちです。
 
 同じソウルライクであるザ・サージよりも遥かにゲームとしてのポテンシャルは高いのに、結局終わってみるとザ・サージは回復アイテムが気持ちよく使えないとか、ボスがしつこいなどの論外のバカみたいな不満はなかったせいで、印象としてはさほど変わりません。自分としては探索の面白味を妨害してしまうハクスラ要素よりかは、ザ・サージの成長要素と連動させたインプラントやギアのセッティングのほうが洗練されていて魅力的でした。
 
 ただ、不満は多いものの、やはりダークソウル3にすら匹敵するほど残心を用いるバトルの駆け引きは素晴らしかったり、登場人物が心情吐露する際に流れる影絵風のアニメーションムービーは品が良く、マップの景観もしょぼさを感じさせない水準に仕上げており、ビジュアル面も抜かりない、大変力が篭った力作で、充分過ぎるほど楽しめました。
 

ダークソウル&ソウルシリーズの影響の強いゲーム

 

 

 

 

仁王 Complete Edition|オンラインコード版

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仁王 Complete Edition 初回限定版 - PS4

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