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[レビュー]ライズ オブ ザ トゥームレイダー(steam版) 〈感想・評価〉

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プレイ動画

 
評価:80/100

短評

 
 グラフィックの質が劇的に向上したことや、前作にはなかったダッシュ機能や新アクションが追加された点など、進歩した箇所も多い。しかし、怒涛のアクション展開をウリにしていた前作に比べ、マップを広くしたり、探索・やり込み要素を増やしたせいで、ずば抜けたテンポの良さが損なわれてしまった。他のアクションゲームと比較した場合は特に不満はないものの、前作と比較するとゲームプレイの密度が低下したため、物足りなさを感じてしまう。
 
 

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ゲーム主導のシンプルな高密度リニアアクションから、ややオープンワールド寄りの雑多な作りに

 
 ゲームを開始してまず何よりも驚かされるのが第7世代機(Xbox360)と第8世代機の縦マルチのゲームとは到底思えないほど、前作からのグラフィックの進化が凄まじい点。縦マルチタイトルの中ではメタルギアソリッドⅤ:ザ・フォントムペインなどと並び間違いなく世界トップ級のキレイさだと思います(知らない状態で第8世代機専用タイトルと言われてもまったく疑いもしない)。
 
 冒頭のコールオブデューティー モダンウォーフェア2を連想させられる雪山でのアイスクライミングは、テクスチャの精細さも相まって本当に氷壁にピッケルを突き刺してクライミングしているような臨場感を味わえました。
 
 

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 ピッケルを使ってクライミングするというアクション操作自体は前作と同じなのにも関わらず、これが別物なのだと納得させられるほどの進化を感じ取れます。カメラワークも前作から引き続き、優秀な撮影監督が監修しているのかと思うほど、その場その場に合った適切な角度と距離でララを捉えてくれ、ビジュアル周りに不満は特にありませんでした。
 
 ・・・・・・ただ、グラフィックの綺麗さは目を見張るものがあるものの、リズミカルな進行テンポによってもたらされる高密度の怒涛のアクション展開が見事だった前作に比べると、今作は余計なシステムを足してアクション以外の手間を増やしてしまい、やや雑多な印象が増した感があります
 
 前作のリブート版トゥームレイダーはXbox360版をクリアしてから4~5年くらい月日が経っていたため、傑作だったという記憶以外は内容の細部までは覚えていませんでした。なので、復習がてらsteam版をもう一度クリアしてから本作をやろうと、久しぶりにプレイし直すことに。すると、前作は2013年のゲームとは思えないほど色褪せず、未だに圧倒的な面白さは健在。俄然本作への期待値が上がりに上がりまくった状態で開始すると、冒頭のアイスクライミングの迫力で度肝を抜かれ、もう期待値がはち切れんばかりに上昇。これは大傑作間違いなしと思ったら・・・・・・正直、その後は冒頭の感動を超えることは一切ありませんでした。
 
 前作の、リニア型ゲームが得意とするゲーム側が主導権を握りゲームプレイのリズムを掌握する怒涛の高密度アクションを後退させ、マップを広くして探索要素を強化したような作りにガッカリさせられ、モチベーションが回復するまでかなりの時間を要しました。マップが大幅に広くなった弊害でイベントの合間合間の移動テンポが悪化し、前作では皆無だった、オープンワールドゲームにありがちな移動時に緊張感が途切れてしまうゲームプレイのたるのようなものがやたら目立ちます。この興味が先へ先へではなく、広いマップに拡散してしまう、ゲームの推進力を移動に時間が掛かる広いマップがぶった切る感覚はあまりこのシリーズで味わいたくはありませんでした。
 
 ダッシュが使えないという前作で不満だった部分が改善されたり、今作からオブジェクトにロープを引っ掛けてスイングして遠くの場所に移動するなど、システム周りや操作性周りが強化されたり、新規に追加された要素も多々あり、魅力が増した箇所も多いですが、やや失った魅力のほうが勝る印象です。
 
 

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 前作はたいまつで何かを燃やすというアクションと、燃えやすい木造建築が多い和風の舞台を利用し燃え盛る建物からの脱出という、火を用いてアクションとシチュエーションにいんを踏まるせるような心地良さがあったりと、並みのアクションゲームを凌駕するほどセンスが優れていました(後は、嵐によって脱出できない舞台設定と、強風を利用する謎解きやシチュエーションを連動させる、など)。
 
 今作はそこら辺の密度やセンスが後退し、ややグラの綺麗さや新規システム、やり込み要素の物量で誤魔化されている感があり、諸手を挙げて大絶賛という気分にはなれません。前作の、他のゲームを圧倒するリズミカルなアクションのテンポこそが何よりも貴重なゲーム体験だと思ったので、わざわざありがちな探索・やり込み要素を足し、ステルス要素を増やして平均化させなくてもいいのにと、歯痒さを感じました。
 
 

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悪い意味で増してしまったUBIっぽさ

 
 素材を組み合わせてアイテムを作成するクラフト要素自体は大好きですが、今作から追加されたフィールド場にある素材を拾ったり、動物を狩って皮を剥ぎ、特殊弾薬や携行できる弾薬数を増やすポーチを作ったりといった、いかにもUBIのファークライシリーズっぽい取って付けたようなクラフトは、別段ウリであるアクション面を強化するワケでもなく、必要性をさほど感じません。
 
 前作から量だけ増やした出来の悪いスキルツリーもどきも、ただのおつかいでしかないサブイベントも、広いマップに隠されたドキュメントやアイテムを探すといったいかにもUBIっぽい薄いやり込み要素など、そもそもUBIですらこれらをまともに機能させられていないので、本作でもボリュームの水増し以上の意味を見出せません。総じて今風なクラフトやオープンワールドっぽい要素を考え無しに継ぎ足した様な雑なシステム構成は、前作のアイデアの機関銃掃射のような、考えるよりも先に手が勝手に動いてしまう豪快なアクション群の楽しさの足元にも及びません。
 
 別に本作に限った話ではないですが、なぜ世界中のゲームは、それほど洗練されているワケでもないUBIのオープンワールドの作り方をお手本にするのか理解に苦しみます。
 
 

トゥームレイダーの信条

 
 システム回りに比べると重要度的にはやや下がるもののどうしても気になったのはアサシンクリードを劣化させたようなストーリーの味気無さです。出てくるキャラクターは全員記号的でペラペラな薄さで、話も底が浅く、退屈。終始どうでもいいマクガフィンくらいの存在感しかない秘宝を、アサシンクリードにおけるアサシン教団もどきの様な集団と協力し、テンプル騎士団(アブスターゴ)もどきみたいな組織と奪い合うという「同じような話をアサシンクリードで何回も見たし……」という内容でうんざりでした(不死の預言者や秘宝という設定も、どこかアサシンクリードのかつて来たりし者やエデンのかけらの設定に似ている)。
 
 ここら辺はUBIのゲームのほうが圧倒的に舞台設定やコンセプト作りのセンスが上です。影響を受けなくてもいいシステム部分は影響を受け、受けるべきコンセプト部分はスルーなため「なんでUBIのイマイチな部分だけ忠実で、優れた部分は無視なんだよ!」とツッコミたくなりました。
 
 クォンタムブレイクもそうでしたが、敵組織のキャラクターが素っ気無さすぎて、戦闘に何のドラマも生じません。
 
 

 

 

 「トゥームレイダーってこんなにシューターとしてつまんなかったっけ?」と思うほど、うじゃうじゃ湧くだけの敵との銃撃戦は前作よりも遥かに単調。
 
 

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 出来もしないのに話のスケールを大きくしようとしたため、センスの無さとスカスカな印象だけが増すという残念な結果に。これなら、呪われた島からの脱出という、サスペンスとしてはオーソドックスでスケール的には小ぢんまりとしているものの、最終目標が飲み込みやすく、まとまりがあった前作のほうが遥かにマシでした。
 
 

最後に

 
 クリアまで約10時間強ほど。前作がクリアまで約8~9時間だったので、ボリュームは気持ち増している程度(それでも体感で前作よりボリュームが増えたのは分かる)。
 
 やたら不満が多いものの、それでも単体のアクションゲームとして見れば超一級な出来なことは確実。しかし、前作のほぼ非の打ち所がない特盛りアクション体験が感触として残った状態のまま本作をプレイしてしまったので、欠点ばかりが目に付き最後までイマイチ乗り切れませんでした。
 
 自分としては、シンプルさを犠牲にするだけの邪魔な要素ばかり増えた今作よりかは、ド派手アクションとリズミカルなテンポが堪能でき、終始超楽しかった前作のほうが遥かに好きです。
 
 

 

ライズ オブ ザ トゥームレイダー 【CEROレーティング「Z」】 - PS4

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