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[レビュー]The Surge(ザ・サージ) (steam版)〈感想・評価〉

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トレーラー

 
評価:85/100
 

短評

 
 ソウルライクゲームと相性が好ましくない舞台選び。部位破壊システムがイマイチ機能しておらず作業になりがちな戦闘。不親切が目的化しているような分かり辛さなど、不満はそこそこ多い。ただ、ゲームとしてのポテンシャルは高く、ダークソウルよりもシステム的に洗練されている部分もあり、噛み締めれば噛み締めるほど味わいが増す一作。
 
 

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ダークソウルとは異なる方向性で完成度が高い成長要素

 
 本作はデモンズソウルやダークソウルに強い影響を受けているソウルライクゲームなので、基本部分はソウルシリーズとほとんど同じです(高難易度な点も)。敵を倒すとテックスクラップというソウルシリーズでいうところのソウルの代わりとなる経験値とお金を兼ねるものを入手でき、それでEXOエクソ-リグという、映画のエリジウム第九地区のパワードスーツほどまではいかない)や、コールオブデューティ アドバンスドウォーフェアのEXOスーツっぽい外骨格を強化していくというのが主な成長要素。
 
 ただ、ダークソウルのようなレベルを上げステータスにポイントを振って強化していくオーソドックスな成長ではなく、EXO-リグのコアパワー(レベルに相当)を強化すると、強化した分の数値をインプラントという強化アイテムの装着コストや、ギア(アーマー)の装備コストとして使える、という完全装備依存な内容。よくあるソーシャルゲームで例えると部隊編成やデッキ編成のコスト上限がコアパワーで、コスト上限が上がれば上がるほど使用コストの高めな強力なキャラやレアカードを大量に組み込めるようになっていく感じ。
 
 

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インプラント装着スロット

 

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 このため、ステータスの成長のさせ方である程度戦い方が固定されてしまうダークソウルに比べ、装備するインプラントを変えるだけでいつでも戦略をガラッと変えることが可能です。ダークソウルにおけるエスト瓶の役割をする回復機能もキレイにインプラントに一元化されており、どれくらいの量の回復インプラントを装備するのかもプレイヤーの判断に一任されます。回復インプラントを大量にセットしてゴリ押ししてもいいし、スタミナとは別個に用意された、敵を攻撃するごとに上昇していく多用な用途に使えるエネルギーゲージをやりくりしてテクニカルに戦ってもいいしと、武器を変えなくてもインプラントを調整するだけで様々な戦い方を試せるので、トライ&エラーが楽しいです。
 
 ボス戦ごとに立ち回りを体に叩き込むのはもちろんのこと、それ以前にどんなインプラントで挑もうかセッティングの段階から考える楽しさも加わり、ここら辺はうまくダークソウルとは異なる特色を出せており好感触でした(ただ、自由に戦略を選べる代償か、ダークソウルに比べるとボス戦の難易度がかなり低く、あっさり倒せてしまう)。
 
 

うまく刺激として機能させ切れなかった部位破壊システム

 
 本作が成長要素と同じくらい力を入れているのが部位破壊システム。
 
 これは、6つある敵の部位(頭・ボディ・右腕・左腕・右足・左足)に一定数のダメージを与えた状態でフィニッシュブローというエネルギーを消費するトドメの一撃を叩き込むことで敵が装備しているギアのパーツを入手でき、入手したのと種類・箇所が同じギア(頭なら頭、腕なら腕)がクラフトで作成可能になるというもの。
 
 

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敵をロックオン→部位ロックオンとロックオンが二段階になっている、できれば敵が装備しているギアの名前も一緒に表示してくれるとありがたかった
 
 部位破壊システム自体は他のゲームでもよく見かけますが、本作は部位ロックオン機能が細かかったり、武器の種類ごとに部位破壊時のフィニッシュブローモーションが異なるなど、力の入れ具合が明らかに違うことがプレイしていると体感で伝わってきます。
 
 足を部位破壊するためにはスライディング斬りなどの下段攻撃が有効とか、頭を攻撃するなら上段からの振り下ろし系の攻撃のほうが頭部にうまくヒットするなど、攻撃モーションが下から上へ斬り上げるのか上から下へ斬り下ろすのか注意したり、右腕を破壊したいなら右腕に当たるように側面に回り込むように立ち回るなど、ある程度考えながら攻撃しないとうまく狙った部位にダメージを与えられません・・・・・・と、言っても確実性はやや下がるものの、部位にロックオンして適当に攻撃していれば大体の場合は入手できるので、一度倒すと出現しなくなるような特殊な敵など、何がなんでも確実に入手したい部位があるという場合以外は、そこまで念入りに攻撃の角度や高度を調整しなくても特に問題はない程度ではあります。
 
 この部位破壊システムは慣れてくるとサクサク欲しいパーツが手に入り序盤はそこそこ楽しいのですが、問題は序盤~終盤まで入手できるギアにそこまで明確に性能差が無い点。なんなら序盤で入手できる程度のギアのまま普通にクリアも可能なので、とりあえず新しいギアを装備した敵と遭遇したら片っ端から部位破壊するものの、結局「この程度の性能か・・・・・・なら今装備しているギアでいいや」となってしまい、序盤以降はうまく刺激として機能しなくなります。
 
 このようなシステムを軸にしたいなら、もっとステージが先に進むごとに段階的にギアを交換したくなるような、目に見えてギアの性能差が変わっていくバランス調整でないと効果が薄いです。とりあえずクラフトやアップグレードに使う素材を確保するため頻繁に部位破壊はするものの、ほとんど同じギアをアップグレードして使い続けるだけなので、徐々に爽快さよりは素材集めのための作業感のほうが強まってきます(スクラップ集めと並行すると作業感はやや軽減される)。
 
 多分作り手の意図としては次から次に強力なギアに装備変更し使い捨てていくのではなく、インプラントなどと同様、プレイヤーの好みの戦い方に合わせ、その都度多用な選択肢の中から好みのギア(全部位を同種類のギアで固めるとかなり強力なセットボーナスが発生)を選ばせたいのだと思います。ただ、インプラントがコアパワーの上昇(レベルアップ)ごとにテンポよく次から次に強力なものに交換したり、新しいスロットに装備を追加していくなど成長の確かな手応えを提供し続けてくれるのに比べ、ギアはあまり良い循環を作れていません。
 
 一応ギアはバトルで、インプラントは探索で、と、入手方法を分けることで刺激が一カ所に固まらないようにうまく分散できてはいるものの、部位破壊して新しいギアの図面やクラフト素材を手に入れても特に嬉しくもないというバランスが深刻に感じました。明らかにギアのほうが入手やアップグレードに手間が掛かるのに、そこら辺に余るほどたくさん落っこちているインプラントよりも存在感が薄めでバランスがおかしいです。
 
 それに、部位破壊する・しないとは関係のない通常攻撃も、とにかく全体的に癖のある攻撃モーションな上に当たってもヒット感がいまいちなSEや反応で、ダメとは言わないまでも、ダークソウルのただ敵にダメージを与えられるだけで快感な小気味よいバトルと比べると雲泥の差。もし部位破壊システムがうまく刺激として機能してさえいればこの単調なバトルを幾分か緩和する・・・・・・どころか、派手なフィニッシュブロー演出と相まって、楽しいと感じさせることも出来たかもしれないのに、非常に勿体ないです。
 
 結局ギアとインプラントの重要度や装備の交換間隔の設定の仕方が逆なんじゃないのかという疑問が終始晴れることがありませんでした。
 
 

コズミックホラーテイストを部位破壊されてスカスカになったデッドスペース(一作目)のUSGイシムラを地図とロケーター(ナビゲーション)無しで歩かされるような探索部分

 
 本作最大の問題点はこの探索部分です!!
 
 最初のロケット部品のスクラップ置き場のようなステージは狭めの屋内と解放的な屋外のメリハリが気持ちいい上に、ロケットの廃部品をうまくステージ構造に利用していたり、ショートカットの作りが気が利いていて発見すると嬉しかったりと、歩いているだけでワクワクして楽しいのですが、問題はそれ以降のステージが工場や研究所・オフィスっぽい場所など、ことごとく景色が地味で魅力に乏しい点。
 
 

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 本作をプレイしていてつくづくソウルライクゲームというのはレベルデザイン以前に舞台の景観というものが重要なのだということに気付かされました。死にゲーなので当然何度も何度も同じ場所を繰り返し移動させられ続けるのに、こんな地味で退屈な景色ばかり連続すると気が滅入ります。何十回も再挑戦することになったとしても鑑賞に耐え得る、美術強度の高い舞台を用意しないと、ソウルライクゲームの高い中毒性だけがひたすら前に出てしまい、中毒性が無味乾燥気味で刺々とげとげしいです。フロムソフトウェアの世界トップクラスの圧倒的な美術センスでマイルドに中毒性を包み込み、この点を軽々とパーフェクトにクリアできているダークソウルと比べたら本作は最初のステージ以外は中毒性が中毒性のまま暴力的に襲い掛かってくるのでややプレイが重くなりがちな傾向があります。
 
 

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 プラス、プレイヤーをただただ迷子にするためだけに作られたとしか思えないような何度歩いても構造が頭に入ってこない縦に横にグチャグチャすぎるマップと、嫌がらせのごとくあらゆる箇所に大量に配置された敵(スクラップ集めしようとすると逆に便利)が常時牙を剥いてきます。ダークソウルのように特徴的な敵を要所要所に目印代わりに配置して位置を見失わないようにするなどの、地図がない代わりの丁寧な工夫などがほぼ無く、それどころかわざと方向感覚を狂わせるためだけに不必要なまでにリフトで昇り降りさせたり、似たような敵配置ばかり(そもそも敵の種類が少なすぎて目印にしようもない)で混乱させたりと、作り手の悪意が透けて見えてくるようです。さらに、次にどこに行けばいいのか最低限のアドバイスすらしてくれない凶悪な不親切さも相まって一周目を終えた際の本作への印象はかなり悪かったです。
 
 

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こんな見分けの付けようがない場所が数十ヶ所以上ある
 
 ・・・・・・ただ、マップの構造が頭に入った状態で二周目をやると一周目の不満点が驚くほど気にならなくなり、逆に良い部分だけが浮き上がってくるので、多分最初から周回プレイを前提としてバランス調整をしているのだと思います。インプラント装着スロット数が拡張され、武器やギアのアップグレード上限も引き上げられるため、二周目以降もモチベーションがまったく落ちません。そこに体感で気付けると、一周目の不満もほぼ解消され、作品を冷静に判断出来るようになりました(一周目をクリアした直後はあまりにも迷い過ぎてストレスで半ばブチ切れていた)。
 
 一周目はひたすら複雑極まりないマップで迷い続けるためややキツイ部分が多いですが、二周目以降は一周目とは比べ物にならないくらい本作のゲームとしてのポテンシャルの高さがしっかりと堪能でき、評価が大幅に向上しました。
 
 

最後に

 
 一周目クリアまで約25時間(と言っても15時間くらいはどこに行けばいいのか分からず迷ってうろうろしていただけ)。二周目はクリアまで約10時間強くらい(多分こっちが本来の適切なボリューム)。
 
 部位破壊システムの手間と報酬のバランスを改善し、全ステージが最初の舞台と同じくらい探索心をたぎらせるものだったら、もっともっと遥かに印象が上向いたと思います。
 
 ソウルライクというフォーマットによりもたらされるやや押しつけがましい中毒性に頼り過ぎなきらいもありますが、どんなに不満をぶつけても全て二周目以降で弾き返してくる頑丈さがウリな大変魅力的な一作。
 
 

余談

 
 これは、作り手の意図なのかどうか不明ですが、地味さがあまりにも突き抜けた結果、他のゲームではちょっと味わえないほど体温が感じられない、プレイヤーを冷酷に突き放すのみのうるおい成分ゼロの乾き切ったソリッドな作風に仕上がっており、これはこれでもはや独自の魅力なのかも。
 
 後、一周目の時点では気付けず、二周目でようやく理解できたのですが、ある場所である計画の賛成・反対を多数決しており、それがなぜ賛成多数になるのかという流れがほとんどブラックユーモア調で、しかもこんな面白いアイデアをそれほど分かりやすく強調もしないので逆に感心させられました。
 
 別段好みというワケではないものの、この頑固で融通の利かない硬質で乾いたプレイ感や演出を突き詰めたらどうなるのかちょっと見てみたい気もします。
 
 

ダークソウル&ソウルシリーズの影響の強いゲーム


 

The Surge (ザ サージ) 【CEROレーティング「Z」】 - PS4

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