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[レビュー]ディビジョン(steam版) ニューヨーク マンハッタン島という超巨大な狩り場 〈感想・評価〉

 

トレーラー

 
評価:90/100

メモ

 
・オフ専なので、ソロプレイのみ
 
 

短評

 
 史上希に見るほどの大傑作になれたかもしれないのに凡庸なバランスに落ち着いた本編と、アップデートによって追加されたワールドクラス制による圧倒的中毒性のやり込み要素のギャップが激しいTPS型のオープンワールドハクスラRPGシューター。
 
 

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ハクスラというジャンルの適応範囲を大幅に広げる画期的な試み

 
 倒した敵がランダムにドロップする装備を次から次にレアリティの高い強力なものに交換していくというハクスラ部分は非常にディアブロ3の影響が強いです。装備できる武器がレベル制限制(本編のみ)だったり、戦闘中に任意で使用できるスキルに好みのMOD(追加効果)が設定できる要素、レベルが上がるとタレント装備スロットが解放されていく部分や、不必要な装備を解体するとクラフト用の素材になり、それをリサイクルし新しい装備をクラフトする部分など、ほとんどディアブロ3そのもの。
 
 ディアブロ3以外にも、ボーダーランズ的なハクスラとRPGシューターの混ぜ方部分や、デッドスペースを意識しているっぽいUIに、クラフト用の素材入手ポイントに定期的に素材が補充される部分がソーシャルゲームのログインボーナスのような仕様だったりと、様々なゲームの影響が見受けられます。
 


 
 デッドスペースのような傑作ゲーム群からの様々な影響の受け方や詰め方がスマートな点も優れた要素ですが、それよりも凄いと思った点はボーダーランズという中毒性が強く完成度が高いハクスラRPGシューターがすでに先行して存在する中で、それとは異なるハクスラというジャンルのゲームへの組み込み方の戦略です。
 
 ドルインフル(人工的に改良された天然痘)によるパンデミックによって隔離されたニューヨークマンハッタン島という舞台設定を生かし、臨時の復興拠点となる施設である郵便局を復旧させるため街を探索していくのですが、この復旧作業と連動するように成長要素やハクスラが置かれているため、ハクスラ単体の刺激のみに頼った作りをうまく回避し、舞台設定と関連付けができています。
 
 自分としては、このくらいの巨大な規模の、かつリアリティラインの高めな作品でも大好きなハクスラという要素がしっかり機能するということを証明してくれただけでも賞賛したいくらい。
 
 ジョージ・A・ロメロ監督が開発したゾンビのいる世界に寓話性を盛り込むというコンセプトにより、低予算ホラー映画の代名詞的なジャンルなのにも関わらず、充分深みがあり見応えのあるゾンビものというジャンル。そこに、ロメロゾンビの美点を損なわないまま、詩的な映像美や魅力的なキャラクターが織り成すドラマを盛り込み大衆化させ、ゾンビものの可能性を押し広げてしまったアメリカドラマのウォーキング・デッドの衝撃に近いものを感じました。
 
 パブリッシャーはUBIで、開発はUBIではなくスウェーデンのMASSIVE(マッシブ)ですが、ほとんどUBIのゲームへのスタンスと似ており、正直見分けがまったくつきません。
 
 郵便局が復旧していくごとにスキルやそれを強化するMOD、タレント(セットしないと効果を発揮しない効果)やパーク(一度取得してしまえば、セットしなくても自動で永続的に発揮し続ける効果)が解放されていき、それに合わせて入手した装備を組み合わせ、自分好みのセッティングをしていくという流れは、ハクスラがただのハクスラから、舞台設定とシステムを呼応させる次世代のハクスラに至ったのだという感動があります。
 
 ・・・・・・ただ、ワガママを言えば、もう少しハクスラそのものにも意味を付加させて欲しかったです(武器商人が大量の改造武器をばら撒きまくって性能差が極端な武器があちこちに出回っている、など)。
 
 

空虚さが目立つマンハッタン

 
 本作で最も惜しいと感じるのは、肝心の舞台となるマンハッタンのキャラクター化の失敗です。ただ単にパンデミックによって崩壊した後のマンハッタンの街並みを丹念に作られた美麗なグラフィックで見せられるだけで、視覚的には贅沢なものの、興味の持たせ方としては物足りず、この街についてもっと知りたいという好奇心を刺激してはくれません
 
 

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 主人公はマンハッタンに派遣される第二波のディビジョンエージェントで、ほぼ壊滅状態の第一波のエージェントたちの中には街や市民を救うという使命を放棄し裏切る者もいるなど、映画の地獄の黙示録(もしくはその影響が強いゲームのスペックオプス:ザ ライン)っぽいことをやろうとしている節がありますが、これがなぜか本編では完全ほったらかしな作りなので理解に苦しみます。この部分をメインにして舞台設定を調整したらまだ物語的なサスペンスが生じる余地もあったと思いますがそれも叶わず。
 
 現状はアサシンクリードのようにフィールド内の全建物に昇れてパルクールで駆け回ることが出来るというアクション的な手触りもなく、ただ贅沢に金をかけて見た目が超豪華なだけの、オープンワールドが目的化しているゲーム以上の印象がありません(ハクスラやトレハンのためにうろつくダンジョン的な場所としては贅沢過ぎますが)。
 
 パンデミックによって封鎖されたという割にまったくウィルスによる汚染をゲーム的に表現する気がなく(せいぜい汚染エリアに侵入するのに郵便局をある程度復旧させ、フィルターレベルを上げなければならないといった程度)、フォールアウトシリーズにおけるガイガーカウンター演出のように、危険地帯に近づいているということをもっと体感的に表現して欲しかったです。
 
 マップのそこら編にパンデミック発生時の混乱を垣間見れるエコー(過去の出来事をAR?で再現したもの)や、音声データやらが配置されており、それを回収することで一応事件の発端を覗けるものの、ただ本編が薄いことの言い訳にしか見えず、物足りないです。
 
 昔のバイオハザードのようにファイルに謎解きのヒントが隠されており、先に進むため片っ端からファイルを読んでヒントを探しているとそこに事件発生時の状況が書かれていたり、関係者の日記が読め、自然と理解が深まる・・・・・・と、いったゲームプレイにドキュメントを読むという行為を組み込んでいるならまだしも、本筋とは一切関係ない独立したドキュメントをただあちこち回収して回る行為に意味があるとはまったく思えません。
 
 

アップデートにより追加された、ワールドクラスという衝撃のエンドコンテンツ

 
 実はこのゲーム、発売直後に一度クリアしていたのですが、その時は本編だけで疲れ果て(本編をソロプレイでやると中盤以降は敵が固すぎて拷問のようなバランスになるため)、そこで止めてしまっていました。
 
 ですが、その後にアップデートされてエンドコンテンツが大幅に拡充されたという情報を聞き、再び最初からプレイし直すことに。今度はレベル30のカンストまでやり、アップデートにより追加されたワールドクラスという街中の全エリアを徘徊する敵が最高レベルに統一され、どの敵も最上級の装備をドロップするようなバランスになるモードに切り替えたら・・・・・・
 
 
 なんと、世界が激変!?
 
 
 ワールドクラスになると街中のただのザコ敵でさえ強力な装備をガンガンドロップするため見る見るうちに装備が強化されていき、あんなに固くて高火力でほぼ出合い頭に瞬殺され、ストレスばかりが溜まっていた敵が、入手した直後の強力な銃の試し撃ち用の動く的みたいな存在になるため、もう街をただ徘徊して装備を充実させていくのが楽しくて楽しくて仕方がなくなります(本編で敵の固さに苦労させられたご褒美にすら感じる)。
 
 ワールドクラスはレベルが廃止され、ギアスコアという装備に設定されたスコアが強さの基準となります。スコアの高い装備を集め一定のギアスコアまで達すると、1~5まであるランクを手動で上げられ、ランクを上げると敵がさらにスコアの高い装備を落とすようになる、という流れをランク5まで繰り返します。
 
 

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右下の271というのがギアスコア

 

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 本作が凄いのは、これが特定のダンジョンなどを潜らないといけない、などというプレイエリアの縛りがない点。オープンワールドの全エリアどこでもザコ敵から最強クラスの装備を集められるため、街をただブラブラ散歩しながら出会った敵を倒していくだけで装備が充実し、ただミッションの目的地まで素通りするだけだった弱い敵しか出現しないエリアですら最強の装備を狙える狩り場と化し、存在感が増します。
 
 さすがにワールドクラスのランク5まで行くとただのザコ敵からドロップする武器では物足りなくなりますが、それでもレベルは上がらないものの、経験値を一定量集める度にキャッシュというレア装備とフェニックスクレジット(ワールドクラス以降に主に使用するお金)が貰えるアイテムが手に入るため、やはりブラブラしているだけでも楽しめます。
 
 マンハッタンの街演出が空虚だと前述しましたが、ワールドクラスになるとこの街が超贅沢な世界最高のオープンワールドダンジョン化するので、クリアするまで感じていた不満があらかた吹っ飛んでしまいます。
 
 冗談抜きで本編よりもクリア後のワールドクラスに移行した後のほうが楽しさが10~20倍ほど上昇するため、あんなに不満たらたらだった本編、延いては本作そのものへの印象が180度変わってしまいました。ここまでアップデートによって別物級にまで変貌されてしまうと、他のゲームの感想で何回かディビジョンはハクスラなのに中毒性がイマイチと書いていたのに、それが覆り、困ってしまいます。
 
 

不満あれこれ

 
 コールオブデューティー アドバンスドウォーフェアでも同じ欠点がありましたが、遮蔽物の陰に隠れた敵を強調表示させる機能(CoD AWではグレネード、こちらはスキル)を際立たせるためか、とにかくカバー状態の敵が豆粒のように小さくて見え辛く、ストレスばかり溜まる点。
 
 このような作り手が押し付けたい特定のシステムのため、プレイヤー側に大きな負担を強いてくるような作りは本当に止めて欲しいです。一応スキルを使用すると敵の居場所が丸分かりになり有利に戦えますが、逆にスキルを使わないと敵がいる方向は表示されても、目を凝らさなければ姿が見えず、ストレスのほうが圧倒的に勝ってしまいます(ノーマルスキルは二つしかセットできず、変更にやや手間取る)。自分は視力が悪いので、室内の暗い場所や広けた場所で遠くにいる敵などは姿がまったく見えず、敵がいるっぽい場所(レティクルの色が変わる場所)にひたすら当てずっぽうで弾をばら撒いたり、オートで敵を攻撃してくれるスキルや敵を足止めするスキルがクールダウンするのをひたすら長時間待ったりと、無茶苦茶な戦い方をしなくてはならず、勘弁して欲しいです(本編ではちょっとでもカバー状態から出ると瞬殺されるため敵に接近することすら容易ではない)。
 
 敵の居場所を常にプレイヤーにサーチさせたいなら、クールダウンに時間が掛かり連続使用できないスキルではなく、もっと手軽にいつでもサーチできる機能をデフォルトで入れるなど、もう少し工夫が欲しいところ。シューターをやる際は基本オートエイム設定は切るようにしていますが、本作は遠くの敵の姿がまったく見えないのでやむを得ずオートエイムに頼った戦い方をしなくてはならず、不満でした。
 
 

最後に

 
 クリア(厳密にはクリアはないのでメインミッションを全て終える)まで約30時間強。その後さらにレベルを30まで上げてカンストさせるのにプラス数時間ほど。
 
 ハクスラがその真価を発揮するワールドクラスに移行するまで計35時間ほどかかるので、そこまで辿り着くのは辛いですが、一度味わうと作品評価が劇的に変わるため、払う労力に見合った価値は十分過ぎるほどあります。
 
 ワールドクラス解放以降の中毒性を序盤から発揮できていたら究極のハクスラゲームとして歴史に刻まれていたかもしれない非常に惜しい一作。
 
 

余談

 
 システム構成がディアブロ3とそっくりなため、アクションRPGとRPGシューター、ハイファンタジーと現実のニューヨークを元にしたオープンワールドという違いはあるものの、ディアブロ3のハクスラやクラフトが肌に合う場合はコチラも合い、逆にこちらが合う場合はディアブロ3も高確率で気に入ると思います(バイオハザード4とデッドスペースの関係に似ている)。
 
 

ハクスラゲーム


 

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