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[映画]スティーブ・ジョブズ (2015) 〈感想・レビュー・評価〉

 

トレーラー

 
評価:85/100
 

奇抜な構成で語られる変人スティーブ・ジョブズの伝記

 
 アップル社創設者の一人であり、コンピューターを一般に普及させ、次はピクサーも作り、今度はコンピューターで作ったアニメーションで世界のアニメ史もちゃっかり塗り替えてしまうという、直接的・間接的に一体常人の何億倍世界に影響を与えているのか考えるだけで気が遠くなる偉大なイノベーターであり変人でもあるスティーブ・ジョブズ。
 
 本作は、そんな変人スティーブ・ジョブズの人生の転機となる1984年のMacintosh、1988年のNeXTcube、1998年のiMacという三台のパーソナル・コンピューターの発表会直前の関係者とのやり取りを三回繰り返し描き、その中からいかにジョブズが他の人間とは異なるビジョンを持っているのか、そしてどんな苦悩を抱えているのかを浮かび上がらせるという変わった構成の伝記映画です。
 
 この、アニメを作るのも、音楽を管理するのも、それどころか日常すらも全てコンピューター中心の世界を作る手伝いをしたジョブズを描くのに、ジョブズを象徴するPCの発表会直前だけを切り取るという、スタイリッシュで未来的ですらある構成のカッコ良さに痺れました。
 
 冒頭から偉大なSF作家であるアーサー・C・クラークが未来予想を語るという、ジョブズの功績と、本編で際立つ未来以外は眼中にないジョブズと、今しか見ることができない他の人間の対比を象徴するようなシーンが流れ、もうここからしてセンス良すぎで鳥肌ものです。
 
 この時間が一気に飛ぶ大胆な構成と、時間経過をしっかり演技で体感させるジョブズ役のマイケル・ファスベンダーの体当たりの頑張りが相まって、2時間程度の尺で、かつ撮影は脚本などに比べるとややあっさり気味なのにも関わらず、まるで3時間クラスのボリュームの伝記映画を観終わった後に近い余韻が残ります。
 
 ・・・・・・あえて不満を言うなら、この強く印象に残ってくれないややあっさり流れ過ぎな撮影が物足りないのと、結局映画の着地は市民ケーン系統の本当に大切なことは世界を変えることではなくもっと身近にあるというありきたりなものな点(本作の脚本のアーロン・ソーキンが以前書いたソーシャルネットワークがもろに現代版市民ケーンそのものだったので、着地の方向性は違うもののどうしても既視感が強い)。
 
 
 

最後に

 
 スタイリッシュで超カッコいい構成始め、実在した人物を描く伝記映画なのに映画として斬新という、守りに入らない姿勢がジョブズ的で素晴らしい傑作。
 
 
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