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[レビュー]仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX(メガマックス) 〈感想・評価〉

 

トレーラー

 
評価:85/100
 
 

短評

 
 細かいストーリーの整合性など度外視し、テンポの良い活劇だけで勝負を挑む真っ向勝負姿勢が潔い傑作ヒーローアクション映画。
 
 
 

勢い重視を象徴するかのような傾斜画面

 
 映画の第三の男で有名な画面に不穏さや緊張感など異質な感触を出すためにカメラを傾ける撮影テクニックは、坂本浩一監督作品ではサスペンスよりかは低予算でアクションシーンに躍動感を出すための手段として用いるのをよく見かけます。本作はこのテクニックの使い方が非常に巧みで、特に冒頭の仮面ライダー1号・2号の戦闘シーンは撮影の距離感が近すぎず遠すぎずの絶妙な位置で、味方と敵が画面の前後や左右に展開するというシンプルな構図も相まって美しさすら感じました。
 
 装飾やキャラ付けが派手な平成ライダーよりかはデザインがシンプルな昭和ライダーのほうがこの撮影の過剰さをいい塩梅に中和できて相性が良いのか、昭和ライダーの戦闘シーンはどれも惚れ惚れするほどキレがよくカッコいいです(単に平成ライダーのほうがデザインが凝っている分スーツが重くてスーツアクターの人が動きづらいだけかもしれません)。
 
 これをあまりやり過ぎると映像作品として極端に奇抜で安っぽくなってしまうという副作用もあると思いますが、アクションや編集のテンポの良さでうまく誤魔化せているので、マイナス面はほとんど気になりません。
 
 
 

フォーゼパートの演出が一部雑

 
 オーズWはテレビシリーズ終了後の後日譚的な話ということもあり、多少強引な展開ながらも、登場人物たちの立ち振る舞いはすでに完成されておりまとまって見えるものの、フォーゼパートだけやたら演出を役者の演技に丸投げしているのか、若干見ててキツイシーンが多いです。
 
 演技指導が行き届いていないのか、撮影のテイクをちゃんと重ねていないのか、役者の人がどんなテンションで演技していいのか迷っている様が透けて見える箇所がそこここにあり、そのノイズのせいで何度も現実に引き戻される瞬間がありました。フォーゼは主要登場人物が多く、キャラも極端に味付けが濃いため、他の作品よりも丁寧な演出のフォローが必要なのに、それがまるで足りていません。
 
 ここだけ勢いで誤魔化そうとする手法がもろに裏目に出てしまっており、そこが気になってドラマがいまいちストレートに響いてきませんでした。
 
 
 

最後に

 
 外してはいけない勘所さえ押さえてしまえば多少粗があっても勢いで見せ切れてしまうという作り手のしたたかな戦略が頼もしい、仮面ライダー映画どころか普通にアクション映画としても傑作な一本。