エンタメ不感症の患部に巻く包帯

ゲーム、海外ドラマ、映画、アニメなどの、エンタメ作品総合レビューブログ

[レビュー]Mass Effect(マスエフェクト)3 (Xbox360版) 〈感想・評価〉

トレーラー

 
評価:75/100

短評

 
 2に比べシューター周りが改良され単純な銃撃戦の迫力が増したものの、内容は2とほぼ同じ路線で、新鮮味はほとんど無し。三部作のラストのわりに迷走感が漂い、全体の作りもシリーズで最も雑なため、余韻もイマイチ。
 

最終章なのに半端ではない迷走感

 
 三部作の締めの作品なのでこれまでのシリーズで積み上げてきた壮大なスケールが本作で結実する・・・・・・と思いきや、ゲーム開始直後からこれまでの話の流れからすると首を傾げたくなる展開ばかりが続き、出端をくじかれます(どうやら前作のDLCなどの出来事がそのまま本編に続いているらしい)。
 
 2で主人公のシェパードが所属していた民間組織であるサーベラスはもはや2で描かれた姿とはほとんど別物と変わり果て、ただの非人道的な虐殺集団化しており、あまりの急な変貌ぶりにきょとんとさせられるだけ。一応前作でもサーベラスはまっとうな組織ではないという点はしつこく描かれていましたが、今まであった組織への違和感に丁寧な落としどころを作って納得させてくれないまま、すでに変貌した後の手が付けらない対話不能な状態を見せられるので意味不明なだけです。
 
 シリーズの積み上げ以外の部分でも雑さが目立ちます。人類がマスエフェクトというテクノロジーに出会い太陽系外へ進出するきっかけとなった火星のプロセアン遺跡という感慨深い場所が舞台となり、どうなるのかとワクワクしていたら、これを別段掘り下げもせず、ある物を入手したらハイ終わりとなり、ガッカリさせられました。このような絶対に手を抜いてはいけない箇所をことごとく軽く流したり、細々とした部分に手抜きが散見されたりと迷走感&雑さが半端ではありません。
 
 1・2とずっと引っ張ってきたリーパーという機械生命体との銀河規模の全面戦争に突入するという流れに持っていくのを急ぎ過ぎた弊害はあまりにも大きく、三部作のラストなのに、あらゆる未決着な設定をただ単純化させて雑にねじ込み、乱暴なシナリオで強引に押し通すだけの構成となってしまい、シナリオはぶっちぎり過去最低な出来でした。
 

ゲームとしては退化の一途、シューターとしては進化の一途

 
 1でRPGとシューターが手と手を取り合って良好な関係を築けていたのに、2でゲームの主導権をシューターが奪いバランスが崩れてしまったのがショックで、あまり2には良い印象を受けませんでした・・・・・・しかし、今作はシューターとしてはさらに2よりも磨きがかかり刺激が増しました。
 
 軽くてしょぼかった銃の発射音は改善され射撃に迫力が増し、弾丸のヒット時のSEも、敵が被弾した際のモーションもより強化されヒット時の手応えがぐっと向上しました。1に比べ操作性が格段に向上したのに感動させられた2に対して、今作は単純な射撃そのものの快楽性が増したことに驚かされます。1にあった銃器へ強化パーツが装着でき、ある程度自分好みの武器調整が出来るという要素が復活したり、2ではミッションクリアしないと経験値が貰えなかったダメ仕様が多少改善され、ミッション中でも細かく経験値が入手でき、レベルアップしたら得られるポイントをその場でアビリティ強化に振り分けられたりと、やや一作目返りの傾向が強く、シューター周りは遊びやすくなりました。
 
 それに、拒絶反応が出るくらい大嫌いだった、前作のダメージを喰らうと画面が血で染まるというスペースオペラという題材とまったく噛み合っていなかった不快な処理は多少改善され、一作目のようにライフとシールド残量をUI上に表示しつつ、被ダメージ時の処理も分かりやすく画面を赤くはするものの、2ほど無神経では無くなった点は嬉しかったです。
 
 ただ、やはり2と同じで戦闘がただ先に進むために次から次に湧いてくる、倒しても何の感情も湧かない敵を延々処理するだけの単調な作業であるという点に大きな違いはありませんでした。敵をバイオティックアビリティ(超能力なようなもの)でカバー状態から無理矢理引きずり出したり、敵に応じて弾薬アビリティを交換して対処したりという本シリーズ独自の面白味はしっかりあるので、もう少しリニア型ならリニア型でコールオブデューティのキャンペーンモードのようにドラマ性を大幅に盛るとか、シチュエーションに凝るとか、なんならデッドスペースのようにホラー的な緊張感を加味する、など何かしら工夫してくれないと、目的が基本大味なことも相まって単調さに押し負けてしまいます。
 

ギャラクシーマップを巧みに使った環境演出

 
 宇宙を銀河(ギャラクシー)・星団(クラスター)・惑星系と分けて表示し、銀河におけるファストトラベル地点の様な働きをするマスリレイを経由して移動するという、マスエフェクトシリーズお馴染みのギャラクシーマップ。
 
 前作にも恒星が巨大化しているという惑星系に駆け付けると本当に巨大な恒星があって視覚的にビックリさせられるというようなマップを用いたうまい環境演出がありました。しかし、今作では前作で何度も何度も光景が目に焼き付くほど見せられた、イルーシブマンの背後に佇む、サーベラス(地獄の番犬ケルベロスの英語読み)という組織名の象徴のような地獄めいた赤色超巨星が実際にギャラクシーマップ上にデカデカと表示されるので、感動がケタ違いです。
 
 何度も映像だけで見せられ続けた赤色超巨星の近くにあるイルーシブマンの根城に殴り込みをかけるという展開が、このギャラクシーマップを用いた演出によってぐっと緊張度が増し、最終決戦ムードを盛り上げる効果を発揮しています(厳密に言うとここが最終決戦場所ではない)。
 
 もっともっと、このようなマスエフェクトシリーズでないと味わえない宇宙のスケールを利用した贅沢な感動を味わいたかったです。
 

不満あれこれ

 
 プレイしていて一番イライラさせられるのは今作から追加されたローリングです。左スティックを倒しながらダッシュボタン(カバーボタン)を押すとローリングするという機能が追加されたせいで、ちょっとでもスティックを上方向以外に倒しながらダッシュボタンを押してしまうとローリングしてしまい、ただダッシュしたり障害物に張り付きたいだけなのに延々とローリングが出続けるので、操作に慣れない序盤はストレスで発狂しそうになります。
 
 目の前の障害物に向かってカバーボタンを押すとスティックがやや右に倒れており右にローリングし、もう一回張り付こうとすると今度はスティックがやや左に倒れているので左にローリングしと、序盤は目の前の障害物にただ張り付くだけでもスティックを倒す向きに気を使わなくてはならず、苦労させられます。ダッシュボタンとカバーボタンとローリングボタンと決定ボタンを全て同じボタンに設定するという適当なボタン配置で、かつ二回連続でダッシュボタンを押したときだけローリングが出るなどの工夫もないので、終始誤動作でローリングが出続けて鬱陶しいことこの上ないです(しかも戦闘中はカバーがメインなので別段ローリングなんて使いもしない)。
 

最後に

 
 クリアまで約20時間弱。
 
 もはや一作目のスペースオペラとしての品の良さは完全に消え失せ、2の方向性をより強化したHalo(ヘイロー)風の宇宙大戦争ドンパチシューターになってしまいましたが、シューターとしては出来がいいので、そういうものだと割り切ってしまえばそこそこ楽しめます・・・・・・が、もう作品自体がどこに向かっているのか皆目分からないほど迷走しているので、まとまりや高級感は皆無に近いです。
 
 これまでのシリーズから特にこれといって情報が足されるワケでもないため目新しさはなく、三部作の締めのわりにラストを盛り上げるための積み上げも不足気味で、ただただ勢いまかせで最終決戦に持っていこうとした強引さにより空虚さだけが際立つ残念な出来。
 
 一作目は昔のドラマ版のスタートレック風味の抑制の効いた渋い作品だったのに、二作目以降はスタートレックと言ってもJ・J・エイブラムス監督によるリブート版以降のド派手アクション路線スタートレックになった(これ見よがしなレンズフレアまで入るようになった)ので、一作目の渋さに魅了された自分としては、前作と同じで今作もまったく好きになれませんでした(リブート版のスタートレックはSFアクション映画としては大傑作ですが)。

マスエフェクトシリーズ

 

 

マスエフェクト 3 - Xbox360

マスエフェクト 3 - Xbox360

 
マスエフェクト 3 - PS3

マスエフェクト 3 - PS3

 
マスエフェクト 3 -特別版- - Wii U

マスエフェクト 3 -特別版- - Wii U