エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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[レビュー]テイルズ・オブ・エクシリア2 〈感想・評価〉

トレーラー

 
評価:70/100

短評

 
 システムは新規に追加されたものはことごとく不発気味で、前作から受け継いだものは改悪が目立つ。シナリオも前作譲りで低水準な上に、マップなどの素材はほぼ前作の使い回しなため新鮮味も薄く、前作の満足度をさらに下回る出来。
 

改悪、改悪、改悪の改悪地獄なシステム群

 
 バトルシステムは前作に比べ大幅にアクション寄りにシフトし、バトルの派手さ・爽快さに重点が置かれており、自分としては成長システムとバトルがそこそこ良好な関係を築いていた前作のほうが好みです。
 
 前作でテイルズシリーズにしては珍しく存在感を発揮していたリリアルオーブという成長システムは廃止され、代わりにほとんど投げやりで適当なだけのグレイセスのそれを改悪させたようなアローサルオーブというものに変更されました。これはバトル終了後や、フィールドやダンジョンの探索ポイントで入手できるエレメンタルコアというポイントをアローサルオーブにセットしたアブソーバーで各属性値に変換し、その属性値が一定まで溜まるとスキルや技を取得できるという、やや分かり辛いシステムです。レベルアップにスキルや技・術の取得を完全に連動させていたリリアルオーブと違い、アローサルオーブはフィールド上の探索ポイントさえ探せばエレメンタルコアをほぼ無尽蔵に入手できるため、別段バトルをせずともフィールドを走り回ってさえいればガンガンスキルや技・術を取得できます。そのためフィールドやダンジョン探索に意識を向けさせるという利点のようなものもあると言えばありますが、リリアルオーブに比べ、成長の手応えはほぼ皆無です。
 
 テイルズシリーズはまるで成長システムをプレイヤーへの負担か何かだと捉えているのか、グレイセスの称号や、前作のリリアルオーブなど、なぜかやたらプレイヤーが弄らなくても勝手に平均的に成長していくよう自動セッティング機能を持たせたがります。それはたまに思い出したらアブソーバーを交換するだけの今作にも通じ、これは成長システムへの不信なのか、アクションへの自信なのかは量りかねますが、「成長システムなんてどうでもいい、大事なのはアクションだろ!」という、テイルズシリーズのやや傲慢なアクション頼り姿勢を体現しているように感じます。そこそこ好感を抱いていたリリアルオーブからこれほどまでに粗悪なものに変更され軽くショックを受けました。
 
 バトルシステム周りはリンクシステムはそのままなものの、それと絡めたリアルタイムキャラ交換システムは廃止されパーティが四人固定制に。さらに主人公のルドガーだけ双剣・ハンマー・双銃(二丁拳銃)の三つの種類の武器の装備スロットが設けられ、それをウェポンシフトというバトル中のリアルタイム武器交換システムによっていつでも変更可能だったり、骸殻(がいかく)能力という専用の変身システムが搭載されていたりと、もはや他のキャラはただのルドガーのオマケのような扱いに格下げされました。
 
 確かにルドガーの使う双剣は非常にスピーディで気持ちよく、ウェポンシフトの使い勝手も上々で、強力な変身システムも派手で爽快感があると言えばありますが、そのせいでバトル全体がかなり大味になった印象です。リンクゲージを溜めてオーバーリミッツ状態でリンクアーツをひたすら連携させそこから秘奥義を発動させ、さらに骸殻(がいかく)ゲージを溜めて変身し、猛攻の締めにまた秘奥義を出すと、ほとんどのボス敵のライフを大幅に削れてしまうので、ただ単にボス戦前にゲージを溜めておき、いきなり強力な攻撃を浴びせれば押し切れてしまいます。バトルはほぼ武器交換と変身可能なルドガーだけの独壇場で、これなら各キャラにそれぞれしっかり役割が与えられていた前作のほうが遥かに丁寧で良かったです。
 
 まるで仮面ライダー鎧武ガイムで新型のゲネシスドライバーが登場したことにより、旧式の戦極ドライバーを使うアーマードライダー達が戦闘について行けなくなるように、ルドガーという規格外の特殊仕様のキャラを入れてしまったせいでその他の前作キャラがただのサポートのための数合わせのようになってしまい、かわいそうです。
 
 

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ルドガー

 

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エル

 

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分史ミラ

 

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テイルズ・オブ・アンリミテッドブレイドワークス

 
※ここからやや前作・今作のネタバレが含まれます
 
 
 
 バトルシステムがアクションに寄ったように、ストーリーは旅や冒険を通じて成長していくというRPG的なスタイルから、ひたすら身内同士のドラマに終始するアドベンチャーゲーム寄りにシフトしました。
 
 ストーリーはほぼ前作をクリアした前提の作りで、世界観設定もストーリー展開も、メインキャラクターも前作クリア後の延長線上で、そのまま継続します。前作のキャラクター達が主人公のルドガーと出会うくだりは何の工夫もやる気もなく、ほとんど予定調和的に勝手に合流していくので、不自然極まりなく、ここはもう少し作品を引き締めるためにも前作キャラはある程度最初は異物として扱ってほしかったです。前作キャラがダラダラ出てきてダラダラ合流するので、前作のダメさをそのまま引きずるようで不快です。
 
 前作からの最大の変更点は、カオスヘッドの妄想トリガーのような制限時間付きの二択の選択肢が追加されたこと。その影響でほとんど感触としては前作とは別物の、RPGにアドベンチャーゲームを足した様な仕様に変わり果てました。主人公のルドガーはプレイヤーに感情移入させるためと、あるトリックのために相づちや掛け声以外はほぼ無口で何もしゃべらないという、キャラクター同士のやり取りを大事にするテイルズシリーズとしては異様な存在な上に、プレイヤーにえぐい選択をさせるためだけに犠牲になるキャラが何人か設定されていたりと、シナリオ全体がこの選択肢システムに掻き回されてぐちゃぐちゃになってしまった感があります。
 
 この選択肢システムはテイルズシリーズのジュブナイル的なキャラクターの精神的な成長を描くコンセプトとは非常に喰い合わせが悪く、危機的な状況の仲間を見殺しにするとか、家族を殺す・殺さないとか、えぐい選択肢を選ばせることが目的化してしまっており、あまりキャラクターの人間的な成長と連動しておらず、うまく機能しているとは到底思えません。えぐい選択肢は確かに選ぶのが辛く、何を選んでも罪悪感が付き纏うので、それをもってゲーム体験と言えなくもないですが、海外のゲームの様に複数のイデオロギーを提示し、その中からプレイヤーが考えて選ぶという類のものではなく、ただ目の前の人間を殺すというすでに確定した展開で、プレイヤーの手を汚させるためだけに殺す・殺さないの選択肢が出るので、選んだというよりもただ強制的に選ばされているだけに近いです。
 
 別にファンタジアだって殺す・殺さないの選択肢など選ばなくとも、相手の背負った物の重さを噛み締め、ただクレスたちと同じで、自分の星や大切な人達を守ろうとしていただけのダオスを倒さなければならなかったことの罪悪感でクリア後やるせない気持ちになり、深く考えさせられました。いちいち殺すということを選択肢で選ばせなくても、シナリオさえちゃんと出来ていれば勝手にプレイヤーは想像を働かせるので、えぐい選択肢自体はそれほど必要だとは思えません。選択肢を選ばされたことで感触が体に残っているシーンも多くあるので、一概にダメとは言いませんが、やはりこんなものに凝るくらいだったら、他のまったく出来ていない部分をもう少し作り込んで欲しかったです。
 
 選択肢システムへの悪印象とも関連するのが、今作から追加された分史世界というパラレルワールド設定や、その他キャラクター描写のずさん極まりなさ。前作の世界観設定やシナリオ構成も無残でしたが、その感想はほぼ今作にも当てはまる……どころかやや増しているくらい。
 
 シュタインズゲートの平行世界設定の面白さを10000分の1くらいに薄めたような1ミリたりとも興味が湧かない絶望的なほど作り込みが浅いパラレルワールド設定に、主人公のルドガーと最重要のキャラであるエルという少女の関係性描写のあまりの薄さや、この二人の関係性の掘り下げをなぜか邪魔する前作キャラクター達と、シナリオは破綻の一歩手前。
 
 特に気になったのはルドガーとエルの描写が致命的に弱い点。この二人の関係性は本作で最も重要なのにも関わらず、この二人に割くべき尺は引き続き登場する前作キャラたちに分散してしまうので、ルドガーとエルの話なのに、ゲームとしては延々前作キャラの、前作で解決できなかった悩みや問題をひたすら解決するお手伝いをするというサブエピソードや、ルドガーと前作キャラ、もしくはエルと前作キャラの絡みだらけで、あまりルドガーとエルが直接的に絡むことがありません。この二人が誰がどう見ても血が繋がっている家族よりも遥かに深い絆で結ばれている関係に見えないと、エルの父親の選択と、ラストのルドガーの選択(真ED)が決定的に違うということがまるで際立たず、台無しもいいところ。
 
 これは前作で成長しきったキャラ達がやたらエルに対して優しく接しすぎるため、ルドガーのエルへの思いやりが陰ってしまうという問題もあると思います。どうしても前作をクリアしていると各キャラがどのような苦悩を乗り越えてきたのか理解できてしまうため、結局無口で何もしゃべらない、何を考えているのか分からないルドガーよりも、前作キャラ寄りの視点になってしまいがちです。ルドガーとエル、分史ミラ以外全員見知った前作キャラだらけのパーティにしてしまったパーティ構成の欠陥と、ルドガーとエルが決定的に絆を深める、二人だけの印象的なイベントを段階的に丁寧に演出できなかった不備がかなり痛いです。穴だらけのシナリオを安易な泣かせ演出とえぐい選択肢の刺激で誤魔化すくらいなら、もっと根本部分を作り込んで欲しかったです。
 
 ただ、マイナスなだけでなく、前作キャラ関連で良かった点ももちろんあります。自分的に前作から評価が劇的に向上したのが今作で初めて仲間に加わるガイアス王でした。まさか前作のラスボスをボケ担当として投入してくるという奇策に驚き、前作でミラでやろうとして失敗していた天然の堅物キャラがその生真面目さゆえにボケをかますという役回りを、ガイアスに声をあてる声優の置鮎龍太郎さんの演技力も相まってきっちりこなしており、ギャップもテクニックも見事でした。ほぼ前作の威厳のあるキャライメージを崩さないまま、元ラスボスのボケ担当という難しい役をこなし抜いたガイアスは、テイルズシリーズでもかなり上位の好きなキャラになりました。
 

最後に

 
 クリアまで約30時間弱ほど。
 
 システムは改悪だらけ。設定をさばき切れず、振り回されるだけのシナリオは前作譲りの低空飛行ぶり。素材は前作の使い回しな上にパラレルワールドと称して使い回しのマップをさらに使い回したりと散々。
 
 前作同様、テイルズっていつからこんな作り物であることを隠そうともしない無味乾燥の世界を歩かされ、イマイチなシナリオを苦痛に耐えながらやるゲームになってしまったのかと、プレイしていて悲しくなりました。列車や駅のイラストなどは魅力的なので、もっともっと普通に見知らぬ世界を列車で旅しながら、ルドガーとエルが心を通わせていく過程を丁寧に描いて欲しかったです。
 

テイルズオブシリーズ

 

 

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