エンタメ不感症の患部に巻く包帯

ゲーム、海外ドラマ、映画、アニメなどの、エンタメ作品総合レビューブログ

[レビュー]Outlast(アウトラスト)2 (steam版) 〈感想・評価〉

f:id:chitose0723:20171125201517p:plain

トレーラー

 
評価:75/100

短評

 
 長所も短所も両方一作目からさほど変化せず、続編としてはややパンチが弱めなものの、前作から引き続きプレイヤーを飽きさせることのない怒涛の勢いは健在なためクリアまでは一切退屈しない。
 

 

f:id:chitose0723:20171125202351j:plain

ホラー版のDATURA(ダチュラ)のような様相となった二作目

 
 多少の新要素(敵の位置を音で把握できるビデオに内蔵されたマイク機能、自動回復が無くなり消費アイテムである包帯を使って手動で治療、など)が追加されてはいるものの、ベースのシステムはほぼ前作を踏襲しており、真っ暗闇な場所をライト代わりのビデオカメラの暗視撮影モードを頼りに、入手量が限られたバッテリーをやりくりしつつ、攻撃手段がないのでひたすらステルスで隠れながら敵をやりすごして進むか、発見されたら全力疾走で逃走する、を繰り返すのみ。
 
 前作から相変わらずホラーゲームなのにも関わらず、ちょいちょい入る敵からの逃走イベントが死にゲー的な作りのため、ホラー要素を相殺してしまいホラーとして怖いのはほんの最初だけというのも前作と一緒。
 
 ホラーは鮮度が命なのでプレイヤーのシステムに対する慣れに非常に弱く、逆にシステムに対する慣れを要求してくる死にゲーとは本来なら相容れないはずなのに、アウトラストシリーズはこの二つをごっちゃにしてしまっているため、ホラー要素が極めて一過性です。同じ箇所でゲームオーバーを繰り返してしまうと体がゲームオーバー慣れしてしまい、一瞬で舞台や敵、シチュエーションに対する鮮度を消費し尽くすので、序盤で一定数殺され、ゲームオーバー慣れしてしまったら後はただのちょっと恐怖風味のあるステルスアクション化してしまいます。
 
 ホラーゲームなのに序盤でホラー要素を消費し尽くし、ステルスアクションが作業化しやすいという弱点を抱えている上に、今作はシナリオがやたら宗教色が濃く、ただの会話内容すら何を言っているのか理解できません。・・・・・・ただ、前作の企業が非人道的な人体実験をしているという話も興味を惹かれたかと言えばまったくだったので、ストーリーにさほど魅力も推進力もないという点は大して変わらず、大きなマイナスにも感じませんでした。
 
 それよりも、すでにこのシリーズの手法に前作で慣れ切ってしまったせいもあるのか、今作は作り手のサスペンスセンスの無さや、サスペンステクニックの引き出しの少なさがやたら気になりました。惨劇の舞台となる狂信者集団の村は、バイオハザード4の序盤の村にそっくり(途中で湖?を向こう側まで渡らなければならないという展開までそっくり)で設定的に新鮮味もない上に、登場する村人(狂信者)達は、狂気の舞台の役者としては存在感があっさりしており、舞台・役者ともに華がありません。起こることは大体汚い物かグロいものが画面に映るか、狂信者に追っかけ回されるか、高いところから落下するか、主人公の過去のトラウマらしい記憶の断片のようなシークエンスがちょいちょい挿入されるかくらいで、延々これをルーティンするため、アイデアが序盤からすでにスタミナ切れしているような苦しさを感じます(血の雨が降るというビジュアルは好きでしたが)。
 
 ただ、序盤でホラー要素が薄まろうが、サスペンスの作り方にバリエーションが無かろうが、そこはプレイヤーをゲームプレイに没入させることに関しては怪物級であるアウトラストシリーズなので、一度やりだすと一瞬で小気味よいテンポと心地よい緊張に魅了され、ゲームの止め時を失ってしまいます。単純な没入度で言ったらバイオハザードシリーズを軽く凌駕し、今作もちょっとだけ触ろうとしたら気付くと5時間ぶっ続けでプレイし終盤近くまで進めてしまい自分で自分の尋常ではない没入ぶりにビックリさせられました。
 
 途中で自分の意志で中断することすら不可能になるほど没入させられたゲームと言えばPlaydeadのLIMBO(リンボー)INSIDE(インサイド)がそうでしたが、共通点と言えば、途中でゲームプレイが途切れることがない全てのシークエンスが切れ目なく繋がっているという構造です。
 
 今作は、前作にはあった気を失ったら違う場所からゲームが再開する、といった切れ目のようなものすら無くなりました。狂信者達の村から突然主人公の記憶の断片シークエンスへ飛び、それが終わるとやや強引に次のステージに移行し終わっているという、ステージ間の移動を主人公の記憶の断片シークエンスを挟むことでダイナミックに省略するというけれん味のある演出で、一作目より没入度をさらに強化しようという意図が窺えます。前作の舞台が室内だったのに対して、今作は屋外なので、前作で感じた狭い壁を通り抜けたり、ちょっとした段差を飛び越えると敵が突然追跡を止めてくれるといった室内ゆえの不自然さが消えると同時に、次から次に流れるように舞台が移っていくため、より敵に追われるという展開から次のシークエンスに移る際の繋ぎ目に違和感がなくなるなど、ゲームの作りとしてはより自然になりました。・・・・・・ただ、前作の精神病院も狭くて視界が遮られることからもたらされるヒリヒリするような圧迫感が魅力的だったので、舞台として室内・屋外どちらがいいのか甲乙はつけがたいです。
 
 前作と同じで今作もホラー要素を死にゲー要素が阻害しているで、ホラーとしては物足りないですが、そもそもホラーゲームとしてアウトラストを捉えるより、魔性の没入度と中毒性を発揮するホラー要素をちょこっとアクセントとして取り入れているホラー風味ノンストップステルスアクションゲーム、と考えたほうがいいのかなぁと、アウトラストシリーズに対する認識が今作をプレイすることで若干改まりました。
 
 

f:id:chitose0723:20171125202315j:plain

 

f:id:chitose0723:20171125202331j:plain

 

f:id:chitose0723:20171125202443j:plain

 

f:id:chitose0723:20171125202500j:plain

 

f:id:chitose0723:20171125202519j:plain

 

f:id:chitose0723:20171125202539j:plain

最後に

 
 クリアまで約6~7時間ほど。
 
 長距離走者であるフルプライスゲームに対し、短距離走者であるインディペンデントゲームらしい、下り坂を一気に駆け下りるかのような心地よい疾走感を実現できており、一作目と同様に大変素晴らしい作品でした。
 

 

Outlast Trinity (輸入版:北米)

Outlast Trinity (輸入版:北米)

 
Outlast Trinity (輸入版:北米)

Outlast Trinity (輸入版:北米)