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[レビュー]龍が如く3 〈感想・評価〉

 

トレーラー

 
評価:75/100

短評

 
 シリーズのお約束を踏襲するだけでシナリオ・システムともに目新しさが足りず、過去作に比べるとややパワーダウン気味。相変わらず龍が如くシリーズお馴染みの街を散策する楽しさは健在だが、全体的にやや薄味のプレイ感。
 
 
 

地域密着型ヤクザが暮らす地元風味を醸す沖縄繁華街と、不動すぎて柔軟性に欠ける神室町

 
 今作も2と似た構造で、基本は神室町(かむろちょう)をメインにストーリーが進行しながら、沖縄の那覇市にある国際通りをモデルとした琉球街(りゅうきゅうがい)という繁華街も探索可能という作り。ただ、神室町に腰を据えながら大阪に遠出していた2と異なり、主人公の生活基盤が沖縄の方にあるため、今作は沖縄がホームで神室町のほうがややアウェイ感を醸しています。
 
 この神室町の申し子のような主人公の桐生一馬にも関わらず、プレイ中神室町が若干アウェイの場所に見えるという利点をもう少しうまく生かし、東城会が暴力主義となり荒れ果て、かつてとは印象が一変してしまった神室町という設定に利用して欲しかったです。龍が如くシリーズは主人公が久しぶりに神室町に帰ってくるとそこは見た目は同じでも中身がかつての見知った神室町ではなくなっており、なぜこの様に変貌してしまったのか?という謎をサスペンスとするため、沖縄の人間となり、異なる視点を獲得した桐生一馬から見た神室町に対する違和感は格好のサスペンス演出となったのにそこを利用しないのは勿体ないです。
 
 神室町への認識変化が乏しいという問題にも関連しますが、神室町のコンセプトがあまりにも不動過ぎるという点がそろそろ気になり出しました。一作目の段階で街としての完成度が高すぎたため、変えたくても少しでも弄ると全体のバランスが崩れ兼ねず慎重になるあまりに、ほとんど地理的に変化がなく、せっかくマップの作り自体は見参と同じく全体がシームレスとなり、新鮮味があっても良さそうなのに、いつもの神室町感が拭えません。確かに神室町をあちこち散策するのは相変わらず楽しいですが、それは一作目の出来の良さに依存し、ひたすらそれを引っ張り続けているからで、龍が如くシリーズの核であるはずの斬新なものを作りたいというコンセプトからはやや逸脱気味な印象を受けます。元々神室町という魅力的な街は新しいものを作りたいという意志の産物であり、ひたすらお化粧直しされながら手を変え品を変えのテコ入れで再生産し続ける対象にするのは街に失礼な気がします。
 
 初登場となる琉球街のほうは初見はやや味気ない駅前アーケード商店街程度の印象でしたが、観光地であるという浮ついた空気感と同時に、地域密着型ヤクザが暮らす地元風味も備わっており、あちこち散策して回るうちに印象が上向きました。見参の祇園の様に見た目のインパクトを前面に出すよりも、散策していく過程で違う表情が徐々に浮かび上がってくるという街演出のほうが舞台の雰囲気が体に馴染み、より愛着が湧きます。地元感が強い琉球街はナンバリングシリーズでは神室町に次いで魅力的だと思える新エリアでした。
 
 
 

安定したマンネリバトル

 
 今作もお馴染み過ぎる必殺技のヒートアクションの爽快感頼み&鬱陶しいだけのQTEを足した単調で特に魅力もないバトルシステムですが、唯一驚かされたのはシンボルエンカウントでバトルに突入する際にバトル画面に切り替わらず、エンカウントが発生した場所がそのままシームレスに近い形でバトルエリアになるという処理。戦闘時だけ周りに置いてあるオブジェが武器として使用可能となり、終わると画面が切り替わり戦闘中破壊したオブジェが元に戻るという、画面切り替えが戦闘終了後にだけ限定されるという進歩が見られ、嬉しくなりました。正直リアルタイム戦闘が一番好ましいですが、なるべく街を散策している通常状態とバトル状態を切り離さず処理しようとする意志が感じられ、非常に好感触です。
 
 後は、見参から十字キーに武器を割り当て戦闘中に瞬時に武器を持ち替えられるというシステムや、ベース武器(今作から防具も)に素材を合成して新しい武器・防具を生み出す武器・防具チューニング(武具クラフト)など、幾つかのシステムが引き継がれています。ただ、見参にはあったお金で武器の攻撃力を強化していくという要素はなく、新武器をクラフトする部分だけが持ち越されている分、見参に比べそれほどプレイのモチベーション維持に繋がっていません。
 
 非常に細かいことですが、クラフト周りで問題だと感じたのはクラフト用のレシピを入手してもお店のリストに新しい武器情報が追加されない点。リストに表示させるにはクラフトする際のベースとなる武器を所有していなければならず、これのせいでレシピを入手しても、いちいちレシピを見てどんなベース武器が必要かチェックさせられ面倒です(例えば、バットというベース武器と釘という素材で釘バットをクラフトする際、バットを所有していないと釘バットの情報がリストに表示されない。釘バットという完成形からこの武器を作るにはバットと釘が必要という情報を得られない)。自分は最初これが分からず何個レシピを買っても店のリストに新武器情報が追加されないため、素材はたんまりあるのにクラフトができないという状態に悩まされました。新しくリストに追加された武器情報を見ながら必要となるベース武器や素材をプレーヤーに認識させる作りでよかったのに、なぜそうしなかったのか謎です。
 
 見参は戦闘のメインが剣だったので常に剣を複数所有しており、新しい剣を見つけたら確保するという習慣が自然と形成されますが、今作は戦闘のメインは素手なので、ある程度武器は意識しないと入手ささらず、その性でせっかく武器クラフト要素が追加されても武器を能動的に探すという習慣がついていないことが足を引っ張ります。リストが不便なことと、武器の修理代がバカ高いこと、序盤に丁寧なチュートリアルを入れていないことなど複数の要因により、うまくやったら龍が如くシリーズの単調なバトルに、デッドアイランドダイイングライトの武器クラフトの様な刺激をもたらしかたもしれないのに残念な結果に。
 
 他にも、ボスが固い上にノックバック無効状態で猛攻してくるのが面倒くさいとか、適当過ぎる成長システムなど、不満は相変わらず尽きませんが、ストーリー進行のテンポや、街を散策する楽しみを奪わないのであれば別段バトルに評価軸を置いていないので許容できる程度です。
 
 
 

1と2でできていたことすらことごとく失敗している残念なシナリオ

 
 今作のガッカリさせられる要素の中でも特に酷いのが1と2の要素を焼き直して劣化させたようなシナリオです。サスペンス要素は一作目で死亡したキャラクターとそっくりな人物が現れるという無理矢理なとんでも展開で、先が気になるというよりかは設定がバカバカしすぎて白けたり、ミステリー的な要素は後でオチが分かるとミステリーと呼ぶのを躊躇させられるほどのご都合主義ぶりで、物語の謎が明らかになればなるほど話への興味が失せていくという散々な内容。2もそうでしたが、出来もしないのにポリティカルサスペンス的なスケールの大きい国際組織のようなものを出し、その描き方があまりにも杜撰すぎて見ていて苦痛でした。
 
 ムービーはひたすらストーリーの説明に終始するだけで退屈極まりなく、途中つまらなすぎて2回ほど寝てしまいました。これなら会話ウィンドウにテキストを表示してくれたほうが自分の任意のタイミングで読み進められまだテンポがいいと感じるほど。ムービーでストーリーを延々グダグダ説明するのをやめ、キャラクターや舞台の掘り下げやその他ゲームパートの満足度に貢献する様な描写だけに絞って欲しいです。龍が如くシリーズをやっていて、これほど全編眠気に悩まされ続けたのは初めて。終始ゲームプレイではなくムービーで感情に訴えて感動させようとする下品なやり口に辟易させられっぱなしでした。
 
 その他にも、ラスボスとして立ちはだかる存在が、キャラクターとしては非常に魅力的なのにシリーズ恒例の背中の刺青にまつわるエピソードの掘り下げがなかったり、話し的にもさほど桐生と絡まず、これまでのシリーズで立ちはだかってきたライバル達ほどの因縁が生じずラストバトルが盛り上がらない点が致命的。このあーだこーだあって、最後に街を一望できるほどのやたら高い場所でお互いの刺青を晒しながらどつき合いで決着を付けるという龍が如くシリーズで最も痺れる瞬間が生きず、余韻が非常に淡泊です。
 
 
 

不満あれこれ

 
 見参から気になっていましたが、移動モーションがやや硬すぎてまろやかさに欠ける点。街を延々と移動し続けるゲームだけに、移動モーションは操作していて心地よさや軽やかさを伴う柔らかい動作のほうが好ましく、正直バトルシステムよりも街の散策の快適さに直結する移動操作の調整のほうに力を入れて欲しいくらいです。
 
 
 

最後に

 
 クリアまで約20時間ほど。
 
 不満がやたら多いですが、やはり龍が如くシリーズだけに、街を散策している時は幸福感に包まれ心が躍りますし、No.1キャバ嬢をつくろう(キャバつく)という軽めの育成SLG的なやり込み要素にハマり、店のNo.1になるまでぶっ続けで数時間キャバ嬢を育て続けてゲームを止められなくなったりと、なんだかんだ文句を言いながらも楽しませて貰いました。
 
 
 
 

龍が如くシリーズ

 

 

龍が如く3

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龍が如く3 PlayStation3 the Best

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