エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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[映画・レビュー]アサシンクリード  〈感想・評価〉

トレーラー

 
評価:60/100

短評

 
 原作のブランドイメージを傷つけないように丁寧に映像化するのが目的化したかのような出来。原作を尊重しようとする意志は伝わってくるものの、作り手の資質が作品と噛み合っておらず、好ましくない結果に。
 

映像運動能力が低く、映画がパルクールできていない

 
 見る前はあのフードを被ったヘンテコな格好のアサシンをどのように映像作品内で違和感なく定着させるのか不思議でしたが、本作を見て唖然。まさか、アサシンを映像作品に寄せるのではなく、映画そのもののトーンをアサシンの風貌に寄せてくるという離れ業をしており、あまりにも強引過ぎる手法に呆気にとられました。
 
 このアサシンの風貌を映像の中で周囲から絶対に浮かせないよう全神経を注いでいることから、作り手が原作のゲームに敬意を表しているのがありありと窺えます。作品から受ける感触としてはデヴィッド・イェーツ監督に代わって以降のハリー・ポッターシリーズと酷似しており、美術ベースの硬質な演出タッチで、とても見やすい作りではありませんが、原作をやたら尊重し、美術周りにとことんこだわるタイプの監督が原作の映像化を手掛けるとこのようなアプローチになりやすいのかなぁと考えさせられました。
 
 とにかく、全編肩が凝りそうなほどガチガチに演出が硬く、しなやかさが皆無。パルクールで飛び回る映画なのにこの硬質さは相性が最悪もいいところ。しかも、編集がやたらせかせかしており、まるで改行だらけの芸能人のブログのような、隙あらばカットを割りまくる落ち着きの無さに辟易させられました。この編集のせいで頑張っているアクションシーンの緊張感はほとんど殺され、しかも現在の主人公と、アニムス内の過去のアサシンのシーンのカットバックがやたら多く、編集にイライラさせられっぱなし。
 
 ところどころちぐはぐな印象を受けるシーンもそこここにあり、アブスターゴの施設で目覚めた主人公が外を見ると俯瞰の映像になってこれ見よがしに巨大な施設が映るものの「この施設の巨大さは今の主人公の位置からは見えないよなぁ」とか、屋上からヘリが逃走するため飛び立つのを阻止しようとアニムス装置を駆け上り天井のガラスを割り(天井のガラスが簡単に割れることがそもそもおかしいですが)、ヘリへ肉薄するサスペンス展開になるのかと思いきや、ただ去っていくヘリを黙って見守るだけで「じゃあ、なんであんな凄い勢いでアニムスを駆け上ったんだろう?」とか、詰めが甘い部分がやたら目に付きます。全編俯瞰の映像がCG臭いのもノイズで、このせいでどれだけ美術を作り込んでも作り物感が拭えず、何かを頑張っても結局他の部分が足を引っ張るを繰り返し続け、ドラマが薄いのも相まって途中からほとんど作品に対する興味が失せてしまいました。
 
 アサシン教団のアサシンを描いているのに、まるでテンプル騎士団の資本で作られ、テンプル騎士の監修が入っているかのような窮屈さに支配されており、終始キツかったです。
 

最後に

 
 原作への最大限の配慮は伝わってきますし、アニムスによって先祖のアサシンの身体能力を会得する流入現象も映像的にしっかり処理されており工夫は理解できますが、一本の映画としてはとても楽しめない編集オンチアクション映画。
 
 

原作のアサシンクリードシリーズ

 

 
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