エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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[映画・レビュー]刑事ジョン・ブック 目撃者 〈感想・評価〉

トレーラー

 

評価:75/100

あらすじ

 
 親戚の家を訪ねるため慣れない都会にやってきたアーミッシュ(ドイツ系の厳格な非暴力主義キリスト教集団)の母子だったが、子供のサミュエルが偶然駅のトイレで警官が殺される殺人事件を目撃してしまったため、目撃者として捜査に協力させられることに。刑事ジョン・ブックはサミュエルの証言で犯人を特定するも、そのせいで犯人に襲撃され重傷を負う。ジョンは目撃者を消そうとする犯人からサミュエルを守るため、アーミッシュの母子と共にアーミッシュの暮らすコミュニティに潜伏することに。ジョンとアーミッシュ達との奇妙な共同生活が始まる……。
 

抑制が効いた品の良さ

 
 会話シーンなどはやたら顔のアップが続き画面が窮屈だなと思うと、シーンの変わり目などで非常に映画的で強度の高い引きの絵をインサートすることで映画全体を引き締めるような効果を感じさせるなど、そこここで作り手の技量が光ります。
 
 寄せと引きの画面をスイッチする編集の緩急が非常に巧みで、それはそのままサスペンスのカットバックのセンスにも通じているようで、緊張と緩和のスイッチもお手の物。冒頭から終わりまで映画的な間を外さないため「なんて品の良い映画だ!」という幸福感に包まれっぱなしでした。
 
 ただ、冒頭に見事なサスペンス的な見せ場があるせいで、その後もサスペンスを見るつもりで構えていると、途中はあまり緊迫感のあるような場面がなく、少々肩透かしでした。
 
 後、映画の冒頭が少年サミュエルの視点なのに、途中からサミュエルが関係なくなり、母親のレイチェルを巡る恋の鞘当てになるため、「サミュエルはどこに行った?」という疑問が終始頭から離れません。恋愛にウェイトを置くのならもう少し冒頭から母親のレイチェルのほうを印象づけるような撮り方をしないと、視点がころころ移って混乱します。
 

ホビット庄? 異文化交流サスペンス

 
 アーミッシュの暮らすコミュニティは、絵的な風景も、生活描写もしっかりと異文化に見えるため、非常に没入しやすい見事な作り込み。映画冒頭ではアーミッシュを好奇な目で見る通行人と同じような目線で異様な集団程度にしか思っていなかったものが、終盤では血の通った人達と認識できるようになり、見方が大幅に変化しました。
 
 抑制の効いた演出と禁欲的なアーミッシュの生活の相性が良く、相乗効果が生まれているのもより作品にプラスに働いています。
 
 それと、驚かされたのは牧歌的な風景とシンセサイザーのBGMが抜群に合っていること。厳格なルールで生きるアーミッシュの規則的な生活習慣と、一定の規則正しいリズムでビートを刻み続ける電子音楽は相性が良いのか非常に意外でした。
 
 ラストのアクションもしっかりラップ家の中で生活して学んだ知識で都会の人間を撃退するという展開が取り入れられており、これだけでもジョンがアーミッシュに馴染んでいるということが伝わる脚本が鮮やかです。
 

最後に

 
 全編隙のない映画的なムードに包まれ、非常に幸福な映画体験を味わえる良作サスペンス。
 
 ・・・・・・ただ、これはどうでもいいことですが、序盤に都会の景色をやたらローアングルで撮るカットが多く、これはアーミッシュの子供から見た都会の文明の異質さを極端なローアングルで表現しているのかと思っていたら、アーミッシュのコミュニティに戻ってもローアングルなため、単に癖なのかと多少ガッカリしました。
 

 

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